夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

愉快な仲間達

2015年04月06日 | 音楽




休日のある日、モノレールからなだらかな多摩丘陵を見下ろしながら招かれたお花見会場に向かう。
背の高い竹林の間から見事な桜が咲き誇っている。

一つ前の駅で降りて川沿いに歩いていらっしゃいと勧めてくれたIさん。
目黒川の桜も満開だろうが、緑あふれる住宅地を流れる川沿いの桜も素晴らしい。

三代目となる材木店の経営者であるIさん、ゆったりした事業所スペースの一角にテーブルと椅子を並べて宴会を準備してくれていた。
やおら仏花を取り出したと思ったら道路沿いのお地蔵さんへと向かう。

この辺りは戦時中米軍による空襲の爆撃を受けたところ、防空壕の中で42人が亡くなられた慰霊碑と地蔵が祀られている。
見事な桜が満開だったが、心ある人々から地蔵へお花が添えられている。
宴会をはじめるにあたって、お花を添えるところがIさんの人柄と経営者らしい細やかな配慮だ。

どういう集まりになるのか予備知識はなかったが、三々五々思い思いの酒肴を手にした人たちが集う。
地元で飲食店を営む方、その常連さん、シンガーソングライターとシンガー、日蓮宗の若いご住職などなど。
どうやら共通項は「飲み仲間」ということらしい。

ビールからワイン、焼酎と日本酒まで酌み交わし、取り止めなく会話が続く。
普段からお店でワイワイやっている人たちだから、桜を見るという場所が変わっただけのことかもしれない。

前日から準備されたというお店の経営者のプロフェショナルお重から、買い込んできたグルメたちの食材の数々。
持ち寄りパーティの楽しさは、思いがけない食材に出会えることにもある。

やがて冷え込んできて空き缶に空気穴を開けた即席の野外薪ストーブを用意してくれた。
それから段ボール箱の四隅に串を通す加工を始めたIさん、何を始めるのかと思ったら「燻製箱」を用意してくれた。
そこへざっくりと切ったチーズを並べて「燻製チーズ」の出来上がりを待つ。

一人地元の人ではなかったYさん、私の伴奏で歌ってもらったら「カラオケとは違って気持ち良かった」と。
ウクレレのにわかレッスンを行い、その場で一曲弾けるようになった。
仲間たちからやんやの喝采を受けてYさん、予想外の自己発露にまんざらでもなさそう、
これが講師冥利に尽きるというものだ。

彼女の潜在的な音楽への感覚、能力はカラオケでは開花できないと思う。
つまり「音楽世界へ入り込めるか、否か」が重要な分かれ目であって、音楽好きであるはずの多くの人々はここで諦めてしまう。
彼女は一曲を歌って「音楽の中に入る」体験をし、一曲を弾いて「音楽をやる楽しさ」を実感した。

夜空を背景にして満開の桜を仰ぎ、焚き火を囲みながら輪になって酒を飲む。
これが千年、万年のヒトの歴史の中で擦り込まれた感覚ではないだろうか。
南伊豆パラダイス・カフェの野外スペースで焚き火を囲みながら酒を飲んで楽しかったのも、国籍を問わずヒトのDNAに擦り込まれているからだと思う。

さて企画してくれたIさん、シンガーのYさん、シンガーソングライターのSさんと演奏した一曲を紹介しよう。

打ち合わせもなく、顔を見ながら演奏する、、、、、聴衆は愉快な仲間たち。
そう、暖かい仲間の応援があればこそすべてのことはうまくゆく。

iさん、ありがとう。

帰りの川沿いの路、月を仰ぐ八重桜が美しかった。
美しい人と一緒だったらなあとため息をつきながら、嗚呼。




Hana by 2015Y,I,S,Y