私の歩く旅 

歴史の背景にある話題やロマンを求めて、歩く旅に凝っています。ねこや家族のこともちょこっと。

近江八幡とヴォーリズ1

2012年04月30日 | 御雇い外国人 建築家
私は、休みを利用して時々、節約旅行に出かけます。
歩く旅がメインですが、季節ごとに売り出される青春18切符の大ファンでもあります。

春、ちょうど桜の咲く頃に、近江八幡に出かけました。
東京から快速電車と普通電車を利用し、静岡、豊橋、名古屋、大垣を経て、7時間かけて近江八幡へ。

滋賀県の近江八幡は1585年(天正13年)に豊臣秀次が八幡山に城を築き、
その城下町として発展しました。
琵琶湖の水運を利用し、近江商人が活躍した商人の街です。

こんなのどかな水郷の街に明治38年2月2日、ウィリアム・メレル・ヴォーリズは英語の教師として
アメリカからやって来ました。
後にヴォーリズ建築として日本の建築界、さらには、医療、教育、製薬に大きな影響を与え
蒼い目の近江商人とも呼ばれたキリスト教の宣教師です。

ヴォーリズは明治13年、アメリカのカンザスで生まれました。
2歳ごろから両親に伴われて長老派の教会に通い、後に洗礼を受けました。
両親とも熱心なクリスチャンで、特に母親のジュリアは自身が海外に行き、キリスト教を
伝道したいと願っていたようです。

ヴォーリズはもともと身体があまり丈夫ではなかったため、7歳の頃、両親は彼のため
気候のよいアリゾナ州に家族で移住しました。
その後、彼の勉強や将来を考えてコロラド州デンバーに移りました。
ヴォーリズはデンバーの高校を卒業すると建築家を目指し、コロラド大学に入学しました。
実はヴォーリズは名門マサチューセッツ工科大学への入学が決定していたのですが、
家族の負担を考え、地元の大学に進んだということです。

大学3年生の明治33年(1902年)、ヴォーリズに人生の転機が訪れます。
彼はコロラド大学の代表として『海外伝道学生奉仕団(SVM)』の
第4回世界大会(カナダ・トロント)に参加しました。
ここで、ヴォーリズは中国の宣教にかかわっていたジェラルディン・テイラー女史の講演を聴きます。
テイラー女史の義父は中国奥地宣教団の創始者であったジェームズ・ハドソン・テイラーです。
彼女は義和団事件を通して多数の宣教師やクリスチャンが殉教したことを話し、
「自ら一切を投げ出して進むべき道を妨げているものは何なのでしょうか?」
と聴く人に語りかけました。

ヴォーリズは衝撃を受けました。
自分が志した建築家になるという夢は、もしかしたら本来担うべき自分の道を
妨げているのではないか、、、と。

この大会後、彼はコロラド大学にもどり、すぐさま、建築科から哲学コースへ転科をしました。
建築家の夢を捨て、海外宣教を生涯の道と決めたのです。


ちなみに、この大会にはのちに関西学院大学を大きく発展させた
カナダ人のC.J.Lベーツも参加しており、ヴォーリズと同じように海外宣教に進む
決意をしました。
(ヴォーリズとベーツ関わりについては、また別の時に、、ということで。)

大学卒業後、ヴォーリズはコロラドスプリングズのYMCAの主事補となりましたが、
明治37年(1947年)にヴォーリズはニューヨークの国際YMCA本部に海外での就職を依頼し、
海外学生奉仕団を通して、日本の滋賀県が英語の教師を求めていることを知ります。
彼はただちに承諾。
翌年明治38年の1月10日には、サンフランシスコから汽船チャイナ号に乗り、
19日をかけて1月29日、横浜港に着きました。
2月2日、17時間の汽車の旅をして、やっと近江八幡に到着しました。

当時、近江八幡の駅周辺は民家や旅館が数軒あっただけで、あとは田畑が広がる場所でした。
24歳の若き英語教師は、その風景を見て唖然としたということです。
「寒い、寂しい、頭痛がする、誰も知っている人がいない、しかしもうここにきてしまったのだ、、、」
と、ヴォーリズは日記に書いているそうです。

彼は近江八幡にあった滋賀県立商業学校の創立から12人目の外国人英語教師として着任しました。

しかし、宣教に燃える若いヴォーリズは、近江八幡に赴任してわずか6日後の2月2日
自宅となった魚屋町元の家で最初のバイブルクラスを開きました。


さて、ヴォーリズのお話は次回に続きますが、、、、

先日近江八幡を訪ねた時の写真を紹介したいと思います。
最初の写真は平成3年に「国重要伝統的建造物群保存地区」の指定を受けた街並みです。




上の写真は八幡堀。
時代劇のロケ地としても有名です。



駅から徒歩20分ぐらいのところにみるべき史跡、街並み
ヴォーリズ建築が集まっています。
私は2日かけて、じっくりと街を歩きました。



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参考文献
http://socyo.high.hokudai.ac.jp/More_HTML/Hosokawa/essa/essay296.html
http://library.kwansei.ac.jp/e-lib/seisho/relation/015/index.html
http://www.ifsa.jp/index.php?GMerrell
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ハドソン・テーラー
http://vories.jp/







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