新しい一年が始まって、私の身の上にもいろいろな変化が出てきています。
昨年4月から仕事を一切やめ、休養に入りました。
今考えれば、一生で一番ゆっくりと時間が流れた1年だったような気がします。
旅行もたくさんしました。
旧居留地を尋ねて、長崎から函館まで回りました。
どこも素敵でしたけれど、
今日はその中からアントニン・レーモンドが建てた建物を探訪してみたいと思います。
アントニン・レーモンドはチェコ生まれの建築家ですが、大学を卒業するとアメリカに移住します。
そこで、アメリカ人建築家 F.ロイドと出会い
ロイドが設計した帝国ホテル建設のため、いっしょに来日します。
その後、レーモンドは日本各地にたくさんの優れた建築を残し、
現在では「日本の現代建築の父』と呼ばれています。
さて、下の写真は昨年、横浜居留地を訪ねた時の写真で、レーモンドが設計した
エリスマン邸です。
萌葱色の可愛い外観です。
大正14年から15年にかけて建設されたもので、当時は和館付の洋館でした。
サンルームも窓が大きくて光がいっぱい入ってきます。⬇
実は最近、所用でよく行く聖路加国際病院もレーモンドの設計でした。
ただ、あまりにも装飾が少な過ぎると、途中で解雇され、立教女学院のチャペルを設計したバーがミニーに
引き継がれたのだそうです。
さて、来年度お世話になる東京女子大学の歴史的建造物もレーモンドの作品です。
東京女子大学と言えば、初代学長はあの500円札に肖像画が使われた新渡戸稲造です。
写真は本館で“QUAECUNQUE SUNT VERA”(すべて真実なこと)と壁に刻まれています。
いつ見ても美しい建物です。
大学内には7つの歴史的建造物が建てられています。
下記の写真、ライシャワー館もそのひとつです。
この通路も素敵ですよね。
秋はこんな感じです。⬇
さて、有形文化財に指定されなかったレーモンドの建物は取り壊され、新しい校舎に変わりました。
卒業生や職員によって保存する会が設立されたようですが、残念ながら取り壊されてしまいました。
そのとき、東京女子大学の卒業生、作家の永井路子さんが残したことばが下記です。
歴史的建造物の保存に対して、本質を問うものだと思います。
ホンモノは、「残さないでよかった」ことは一度もなく、
「残してよかった」か「残せばよかった」しかない
── 永井路子
にほんブログ村
にほんブログ村