医事新報という開業医が多く読んでいる医者向け専門雑誌がある。
その中のケーススタディで
「糖尿病の食事制限で大好きなパンを食べられず 元気がなくなっている」
この場合、在宅での生活指導をどうすればいいかというものだ。
設定として認知症があり、圧迫骨折、Hba1c 6.5% 腎機能はほぼ正常
という状態。Hba1c はほぼ正常(つまり血糖の平均値は正常)
もちろん年齢や状態を考え、本人の気持ちを優先というような答えがあるのだが、
パンを食べることで、糖尿病が悪化すると説明したほうがいいようなことが書いてある。
しかし、そんな医学的な正論を展開する状況ではないだろう。
年齢を考慮すれば、むしろ好きなようにパンを食べさせるようにすべきであって、
そのためには医療はどう関わるのかということではないだろうか。
いまの医学は年齢、社会的な背景、本人の意向を無視しがちで、型どおりの食事指導自体が意味が
ないと思うのだが。
高齢者に対して、大量の投薬、過剰な食事制限を強いているケースがあまりに多い。
むろん高齢者に関して信頼できる疫学データはほとんどない。
それでありながら、高齢者に医学の正論で管理していくのはどう考えておかしい。
高齢者には医学以前の問題を重要視すべきではないか。
つまりその人の生き方、心情ということだ。