米山公啓のブログ

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これが高齢者に対する平均的な考えなのだろうか。

2014年10月27日 16時25分05秒 | Weblog

医事新報という開業医が多く読んでいる医者向け専門雑誌がある。

その中のケーススタディで

「糖尿病の食事制限で大好きなパンを食べられず 元気がなくなっている」

この場合、在宅での生活指導をどうすればいいかというものだ。

 

設定として認知症があり、圧迫骨折、Hba1c 6.5% 腎機能はほぼ正常

という状態。Hba1c はほぼ正常(つまり血糖の平均値は正常)

 

もちろん年齢や状態を考え、本人の気持ちを優先というような答えがあるのだが、

パンを食べることで、糖尿病が悪化すると説明したほうがいいようなことが書いてある。

 

しかし、そんな医学的な正論を展開する状況ではないだろう。

年齢を考慮すれば、むしろ好きなようにパンを食べさせるようにすべきであって、

そのためには医療はどう関わるのかということではないだろうか。

 

いまの医学は年齢、社会的な背景、本人の意向を無視しがちで、型どおりの食事指導自体が意味が

ないと思うのだが。

 

高齢者に対して、大量の投薬、過剰な食事制限を強いているケースがあまりに多い。

むろん高齢者に関して信頼できる疫学データはほとんどない。

それでありながら、高齢者に医学の正論で管理していくのはどう考えておかしい。

 

高齢者には医学以前の問題を重要視すべきではないか。

つまりその人の生き方、心情ということだ。

 

 

 

 

 


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