散歩と俳句。ときどき料理と映画。

俳諧文久千三百題[秋・冬]その一

『俳諧文久千三百題』の「秋乃部」と「冬乃部」である。
当然「春」「夏」もあるはずだが、骨董市の露店にはこの二冊しか並んでいなかった。
一冊500円。 パラパラとページを繰ると、私にはとても読めないくずし字で、
俳句(発句というべきか)がぎっしりと並んでいる。
これを暇なときに解読するのも楽しいかもしれないと、二冊とも買い求めた。

和装本。天地180ミリ、左右117ミリ。秋の部は132ページ、冬の部は122ページに跋文が2ページ、奥付が見返しに刷ってある。
かがり糸はそれぞれ違うところをみると、あとからの補修によるものだろう。

秋の部には255の季語(季題)と俳句が1402句、
冬の部には288の季語と1266句が収められている。
句稿部の初めに「三戒堂芳草撰 潤雨堂草甫校」と記載されているが、これは秋の部だけで冬の部にはない。
冬の部の最後に跋文が二ページと奥付が見返しに印刷されている。 欠落したページや破れもないし状態はそれほど悪くはない。
かがり糸が緩んでいることと、あとからの補修によるものだろうが糸の違いが見られる。

国立国会図書館のデータベースによると、著者は芳草と潤雨堂草甫となっている。
出版地は江戸で、版元は鈴木喜右衛門。出版年は1864年とあるから元治元年である。
「共同刊行:英文藏(ほか)」との注記もある。
ところが早稲田大学古典籍総合データベースでは発行は文久3(63)年、出版地、出版者は不明。
おそらくタイトルの「文久」から、文久最後の3年としたのだろう。
文久時代はわずか3年しかない。元治は次の元号である。
区分的には幕末ということになる。
この慌ただしい世相のなかで詠まれた句を約5000句集めたものがこの本(春夏秋冬の四部)なのだろう。
明治維新まであと4年しかない。 版元の鈴木喜右衛門は日本橋で多くの書物を刊行している。
共同刊行の英文藏は下谷御成道の書肆である。これは冬の部の奥付に記載されている。
この奥付には興味深いことが記されている。それについては次回みていきたい。

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