街を歩けば障害物
散歩したいと出かければ
犬が棒に当たるように
本屋、ブティック、喫茶、カラオケ
興味があってもゆとりがない
街を急いで公園へ
すきまは時間をウォーキング
障害物を乗り越える
スマホ開けば障害物
情報得たいと開いたら
パンドラの箱を開けるように
ニュース、コマーシャル現れる
メールにライン、ブログ、ゲーム
開いてほしいと待っている
時間もメモリー、プライドも
目的さえも忘れ去り
スマホの中をさまよって
すきま時間をサーフィング
障害物と遊んでる
山道で小石を拾った
カケラの形と
混ざりあった結晶は
カンブリア紀より遥か前から
長い地質時代を生きてきたしるし
地殻を形作った岩盤が
地球内部で変成し
マントル対流に乗った
プレートで移動し
地表に現れてからは
傷つき壊れ、風化し
自然からも疎外され
僕の手のひらで落ち着いた
僕は敬意を払い
そして自然に戻す
小石は何も言わない
乾いた日が反射し
秋風が騒いでいる
体は生きている象徴
体が亡くなれば
拡散して自然となる
C,O,N,H、陽子、電子、クオーク
それは無に近いが無ではない
相互作用の「空」間
体は生命だけでなく
主体のありか
体は主体を制約し
心をつくる
一寸の虫でも5分の魂
体が亡くなれば
心は浮遊するのか
否、
体のない全ての主体
神に戻る
だから神は心のありか
だけど身体は心を惑わす
だから無心となって祈る
神に戻らんとして
神の声を聞くため
戦後、バラックが建て込んだ
路地からみた花火
単純さの繰り返しだったが
希望の象徴のように
消えても夢が残った
いま、きれいに整備された
河原の打ち上げ花火
芸術作品の象徴のように
あでやかだが
音楽のように
消える時間芸術
音楽は再現できるが
絵画も残るが
花火は再現不可能な
空しさだけが残る
ボーリング場の大きなピンが
ビルの上に突っ立っている
かつて林立していたピンは
ほとんどなくなって
唯一のピンになってしまった
そこは最初のボーリング場
初めて僕がボーリングして
64点出したところ
ボーリングブームに乗って
雨後のタケノコのように増えた
ボーリング場
僕の最高点212点を出した
地元のボーリング場は
撤退してマンションになった
そのマンションさえ
建て替えの時期が迫っている
最初のボーリング場が
最後のボーリング場で
唯一のボーリング場
そのピンはいま
ブームの喧騒を懐かしみ
バブルの崩壊に泣いた
幾多の後輩たちの屍を
生きた化石のように眺めている