それまでの
ざわめきと笑顔が消え
急に真剣になる
スタート!
ランナーはひしめき
力強く地面を蹴る足音が
ひと塊になって聞こえる
沿道の人々の声援と
賑やかな激励の演奏
給水場で足を止めると
体がふらつき 足が張り
急ぎ足でペースを戻す
まだ10キロか
小雪が舞い始めたが
肌には汗が染みつく
集団はだんだん広がり
田園や里山の風景が見える
やっと中間の折り返し
30キロ地点
なぜこんな馬鹿なことを
お前はしているのか
と思いつつひたすら走る
足は重く頭はぼやけ
歩き始める人があちこちに
焦るな ここで
持続可能なスピードは
このペースだ
と言い聞かせる
あと2キロという声
もう完走できる
気持ちはラストスパート
そしてゴール
やったよ 今年も
歳に勝ったよ!