新快速降水帯を追いかけて芦屋に着けば雨なお激し
強いチーム勝ってほしいと願うけど運が左右の高校野球
尾根筋のいや清かなる新緑になお消え去らぬ崖崩れかな
物質が生物になるウィルスに神の意志さえ潜んでいるや
ホタル採り今はカメラでホタル撮り茂みに入ればまなこが光る
打ち水にアオスジアゲハ舞い降りて梅雨明け宣言伝える如く
立花を朝風香るとなびくとは兵庫県民こいのぼりかな
低気圧居座る春の等圧線蜘蛛の巣のごと列島覆う
花粉症黄砂にpm2.5悩みの勝る春霞かな
咲き初めし桜見舞いし花冷えを知らぬが如く花咲き続く
来ぬ人を待ちて眺めるコンクリの隙間に積もる松落葉かな
芦屋川川辺の桜散りゆけど遠く彩る山桜かな
とめどなく川辺の桜散りゆけど遠く彩る山桜かな
加齢とはかくなるものやガラス拭き肩カクカクと音がするごと
雲の端を黄金に染めて昇る陽を元日ならで崇めたきかな
葉を落とし枝に実満たすセンダンの無数の願い託すがごとく
葉を落とし実ばかりなるセンダンの無数に託す命なるかな
センダンの実は花のごと枝になり無数に託す命なるかな
大寒の空に向かいて遥かなる明日に祈るや去年(こぞ)の空蝉
大寒の空に向かいてありし日の夢を叫ぶや去年(こぞ)の空蝉
喜寿過ぎて春告草に若き日の君を思いてこころ騒ぎぬ
雪か雨か天気予報の悩ましき狭間に思う春の訪れ
すきま時間スマホ相手にゆとりなしネコは不思議にわれを眺める
谷間より風さわさわと登り来て吾とめざさん最高峰へ
飛んでくるどんな球も受けて取る微睡む夢のわが若さかな
ゆえなくもゆき去りし君花となり落葉となりぬ思い出の森
知らされし喪中ハガキに君はなお森の紅葉の中に息づく