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文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

春2024(俳句)

2024-03-30 12:33:23 | 俳句

蕾をば花と見なして花見かな

色づけば桜あるらし山の陰

色づけば桜ありけり山の肌

春遅し急ぎ色づく桜かな

雨粒や花それぞれに雪柳

雨の中桜どうしの会話かな

雨降れば話の弾む桜かな

 

石垣にかかる藤花のたくましき

石垣にかかりて落ちず藤の花

可憐なる花で作るやカリンの実


年寄りは立っている

2024-03-29 09:53:49 | 自由詩

若者は座っている

疲れを装って

眠ったふりをしたり

スマホを見ていたり

そのとき若者の体は

エネルギーと情報が混ざりあって

ひたすら生き物のように

けだるいオーラを発する

 

年寄りは立っている

元気さを装って

つり革にぶら下がったり

窓の外を見たり

そのとき年寄りの体は

重力を膝に受けながら

窓の外の景色の流れに

ひたすら人間のように

干からびた感性を目覚めさせる

 


異界列車

2024-03-25 12:34:41 | 自由詩

電車は満員なのに

誰も話す者はいない

スマホをしているのか

眠っているのか

 

立っている者だけが

知っている

窓の外はモヤが海面まで降りて

海とひとつになって

電車は白い知らない世界に

向かっている

 

皆はそのことを知らない

もちろん時間が消えていることも

時計を見ないから