家の近くの 皮膚科に向かい
昔からある ビルに登れば
知らぬ町並み 目に飛び込んで
景色新たに こころも動く
車は多く 人は少なく
騒音多く 笑い声なく
駅ターミナル システム化して
ビルの谷間の わが家は見えず
かたち変わらぬ 島山なれど
海峡またぐ 橋実現し
淡路橋げた 四国は過疎化
レジャーランドで 再活性化
市場原理の 格差社会も
トイレ快適 エアコン完備
良くも悪くも 成長なくも
30年の 確かな進歩
家の近くの 皮膚科に向かい
昔からある ビルに登れば
知らぬ町並み 目に飛び込んで
景色新たに こころも動く
車は多く 人は少なく
騒音多く 笑い声なく
駅ターミナル システム化して
ビルの谷間の わが家は見えず
かたち変わらぬ 島山なれど
海峡またぐ 橋実現し
淡路橋げた 四国は過疎化
レジャーランドで 再活性化
市場原理の 格差社会も
トイレ快適 エアコン完備
良くも悪くも 成長なくも
30年の 確かな進歩
街の中を歩いていると
新しいビルが生まれている
タワマンも工事中
町並みの様子は変わった
でも
行き交う人々は
いつも同じように見える
若い学生、サラリーマン、OL
壮年、熟年、老年
みんな昨年と変わらない
周りからみて僕だけが
年を取っている
孤独な
時(とき)の旅人のように
だが同級生に出会うと
みんな僕と同じように
シワが増え 髪の毛が後退し
血管が浮き出るように
皮膚が薄くなり
顔が崩れ
僕と同じ時間を歩んでいると
安心する
だから年を取るほど
同窓会をしたくなる
孤独を癒すために
スマホを見ている人と出会うと
ぶつからないか不安
おそらくまっすぐ来るだろうから
よければいい
でも相手は僕のことを知らないから
よけた方に来るかも知れない
僕が真っ直ぐしか行けないなら
相手はよけてくれないだろう
安心して交差点を渡れるのは
僕が相手を見ているからでなく
相手が僕のことを見ていると
僕が信じるから
そんな信頼が
一瞬の出会いに生まれて
小さな社会をつくっている
散髪に行くたび
時の流れの速さを感じる
2か月に1回がすぐ来る
頭は見えないけれど
きっと何かが変わってる
中学生のとき
丸刈りにした
おとなになってから
毛を分けた
白髪がめだつようになったので
親戚の結婚式のとき
毛を染めた
高齢になって毛染めをやめると
頭が真っ白になった
そんな白髪も減ってきた
頭は人生劇場のシンボル
散髪に行くたび
刈り落ちる毛
時の流れの速さを感じる
散髪に行くたび
きっと何かが変わってる
劇場の舞台のように
春雨は新緑を洗い
鮮やかさを増す
その下を一羽のカラスが
独り淋しく餌を探す
人はそれを絵や詩にする
だが
鮮やかさや淋しさは人の意味づけ
自然から見れば
人の意識に意味はなく
自然は無心に生き
過酷さで傷ついても
永い時間(とき)のカサブタが治し
無為のなかで進化する
だが
人類は文明で進化する
体や心や文明の災いも
傷つけばカサブタを創るが
気がつけばカサブタを剥がし
心身の傷は治らず
文明はその災いを露呈し
自らの傷を深めていく