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よこさんのページ

文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

成長なき進歩

2025-06-14 11:09:28 | 自由詩

家の近くの 皮膚科に向かい

昔からある ビルに登れば

知らぬ町並み 目に飛び込んで

景色新たに こころも動く

 

車は多く 人は少なく

騒音多く 笑い声なく

駅ターミナル システム化して

ビルの谷間の わが家は見えず

 

かたち変わらぬ 島山なれど

海峡またぐ 橋実現し

淡路橋げた 四国は過疎化 

レジャーランドで 再活性化

 

市場原理の 格差社会も

トイレ快適 エアコン完備

良くも悪くも 成長なくも

30年の 確かな進歩

 

 


街なかの孤独

2025-06-13 13:53:07 | 自由詩

街の中を歩いていると

新しいビルが生まれている

タワマンも工事中

町並みの様子は変わった

でも

行き交う人々は

いつも同じように見える

若い学生、サラリーマン、OL

壮年、熟年、老年

みんな昨年と変わらない 

周りからみて僕だけが

年を取っている

孤独な

時(とき)の旅人のように

 

だが同級生に出会うと

みんな僕と同じように

シワが増え 髪の毛が後退し

血管が浮き出るように

皮膚が薄くなり 

顔が崩れ

僕と同じ時間を歩んでいると

安心する

 

だから年を取るほど

同窓会をしたくなる

孤独を癒すために

 

 

 

 


小さな社会

2025-05-30 08:36:05 | 自由詩

スマホを見ている人と出会うと

ぶつからないか不安

おそらくまっすぐ来るだろうから

よければいい

でも相手は僕のことを知らないから

よけた方に来るかも知れない

僕が真っ直ぐしか行けないなら

相手はよけてくれないだろう

 

安心して交差点を渡れるのは

僕が相手を見ているからでなく

相手が僕のことを見ていると

僕が信じるから

 

そんな信頼が

一瞬の出会いに生まれて

小さな社会をつくっている

 

 

 


散髪に行くたび

2025-05-23 09:38:13 | 自由詩

散髪に行くたび

時の流れの速さを感じる

2か月に1回がすぐ来る

頭は見えないけれど

きっと何かが変わってる

 

中学生のとき

丸刈りにした

おとなになってから

毛を分けた

白髪がめだつようになったので

親戚の結婚式のとき

毛を染めた

高齢になって毛染めをやめると

頭が真っ白になった

そんな白髪も減ってきた

頭は人生劇場のシンボル

 

散髪に行くたび

刈り落ちる毛

時の流れの速さを感じる

散髪に行くたび

きっと何かが変わってる

劇場の舞台のように

 

 

 

 

 


無為の意味

2025-05-06 17:47:14 | 自由詩

 

春雨は新緑を洗い

鮮やかさを増す

その下を一羽のカラスが

独り淋しく餌を探す

人はそれを絵や詩にする

だが

鮮やかさや淋しさは人の意味づけ

自然から見れば

人の意識に意味はなく

自然は無心に生き

過酷さで傷ついても

永い時間(とき)のカサブタが治し

無為のなかで進化する

だが

人類は文明で進化する

体や心や文明の災いも

傷つけばカサブタを創るが

気がつけばカサブタを剥がし

心身の傷は治らず

文明はその災いを露呈し

自らの傷を深めていく