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文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

カマキリとヤモリ

2023-11-29 15:06:33 | 自由詩

白いブロック塀に

ヤモリがへばりついて

やや傾いた午後の日差しを浴びながら

うとうとしていた

どこからともなく

ブロック塀の上にカマキリがやってきた

2匹の生き物は

何の関わりもない世界で

秋の日を楽しんでいた

 

ふとヤモリは喉を動かしてあくびをし

少し斜めに向きを変えた

カマキリは塀の上を少し移動した

なぜかそれに導かれるように

やもりが壁をヒタヒタと登っていった

そしてブロック塀の上に登り着いたとたん

待ち構えていたようにカマキリは

ヤモリに鋭いカマを下ろした

2つのカマの下でヤモリは完全に抑えられ

身動きが取れなくなった

 

カマキリは三角の頭をつけて

ヤモリを麻痺させ

やがて ゆっくりと

その口でヤモリを吸いだした

ヤモリはゆっくりと

その内臓を失っていった

 

なぜヤモリの動きを予想するかのように

ヤモリの上にカマキリが来たのか

どうしてヤモリが登っていったのか

カマキリにとっては偶然の幸運

ヤモリにとっては全くの不運

 

2つの宿命の縮図のように

骨だけになったヤモリが

夕日に吠える恐竜のように

ブロック塀の上で

威厳を保っている

 

 

 

 


落葉のように

2023-11-27 08:38:41 | 自由詩

 

落葉を掃除しながら

限りない落葉に

空を見上げる

風が紅葉を騒がせ

命の最後をかざるかのように

舞い上がり

そして落葉となって

とめどなく降り

路上に模様をつくり

川面に錦をつくる

 

そんな落葉を眺めていると

ふと自分の体が軽く浮き上がり

生きる力が蘇ってくる

人生も時の流れに浮かぶ

紅葉のひとひらだから

ときに舞い上がり

いずれ落葉となる

あるがままに生きれば

時が錦を織ってくれるのだから