白いブロック塀に
ヤモリがへばりついて
やや傾いた午後の日差しを浴びながら
うとうとしていた
どこからともなく
ブロック塀の上にカマキリがやってきた
2匹の生き物は
何の関わりもない世界で
秋の日を楽しんでいた
ふとヤモリは喉を動かしてあくびをし
少し斜めに向きを変えた
カマキリは塀の上を少し移動した
なぜかそれに導かれるように
やもりが壁をヒタヒタと登っていった
そしてブロック塀の上に登り着いたとたん
待ち構えていたようにカマキリは
ヤモリに鋭いカマを下ろした
2つのカマの下でヤモリは完全に抑えられ
身動きが取れなくなった
カマキリは三角の頭をつけて
ヤモリを麻痺させ
やがて ゆっくりと
その口でヤモリを吸いだした
ヤモリはゆっくりと
その内臓を失っていった
なぜヤモリの動きを予想するかのように
ヤモリの上にカマキリが来たのか
どうしてヤモリが登っていったのか
カマキリにとっては偶然の幸運
ヤモリにとっては全くの不運
2つの宿命の縮図のように
骨だけになったヤモリが
夕日に吠える恐竜のように
ブロック塀の上で
威厳を保っている