蜘蛛の巣や列島春の等圧線
朝風になびく県民こいのぼり
風情より悩みの勝る春霞
立花を朝風香るとなびくとは兵庫県民こいのぼりかな
低気圧居座る春の等圧線列島からめて蜘蛛の巣のごと
花粉症黄砂にpm2.5悩みの勝る春霞かな
目的もなく図書館に行く
書棚の間を歩む
すると
いろんな本が僕に
語りかけてくる
「興味があるんじゃないの?」
「読んでくれないの?」
ふと僕は立ち止まって
本を手にとる
宇宙や生命、山や川
神話や歴史、英雄や城郭
社会や人間、経済や経営
絵画やクラシック音楽
小説や詩歌、短詩形
子供の頃から学生時代
社会人から後期高齢者まで
積み重ねた知識は薄れても
そんな心のアーカイブスを
呼び覚ます書棚は
心の散歩道
友ヶ島が浮いて見える
淡路島の山襞の間に
見たこともない稜線が
うっすらと見える
節分の寒波
季節のせめぎ合いが
新しい景色をつくる
そして
僕の目も新しくする
突然会えなくなった人の面影は
数多(あまた)なる思い出の
水面に浮かぶ泡沫(うたかた)
虚ろな心に浮かんで
揺れて定まらない
だけど
時の流れは
水面を落ち着かせ
面影は静かに浮かび
やがて写真のように定着する
そして悲しさも寂しさも超えた
心の遺影となる