よこさんのページ

文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

新しい資本主義に求めたいこと

2021-10-26 14:38:15 | エッセイ

 わが国の会社員の給与水準は、1990年代中頃をピークに減少している。その背景に派遣労働者などの増加があることは否めない。思えば95年、当時の日経連はコスト削減のために非正規労働者の増加を提言した。自民党政権は、新自由主義のもとに労働者派遣法を改正し、さらに関係学界は派遣労働者などを組織から自由な仕事人として支持した。これらによる派遣労働者などの増加は、今や低所得と雇用不安、労働組合組織率の低下などにより、給与水準を下げ、それが購買力の低下となり、わが国にゼロ成長をもたらしている。

最近、経団連は「ジョブ型雇用」を推進しているが、正規労働者をも仕事人にして、賃金の増加を抑制する恐れがある。

 岸田政権は新しい資本主義を唱え、成長なくして分配なしと言うが、分配がなければ成長はない。企業は仕事の集まりでなく、人の集まりであり、能力の発揮が成長には不可欠である。人的投資と正当な分配を企業に促して欲しい。

 

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クロアゲハへの挑戦

2021-10-09 14:41:46 | 自由詩

濃紺の樹冠の上から

舞い降りてきた クロアゲハ

アメリカデイゴの花弁に

頭ごと突っ込んで 蜜を吸う

 

その開閉するしなやかな羽の

赤い斑点が僕に挑戦する

僕は指で羽を摘まみ

クロアゲハを快楽の淵から

引きずり出した

 

お前の斑点は脅しに過ぎぬ

無力さを知れば許そう

 

無言のクロアゲハは

放心したように

舞い上がった

樹冠の上の遠くの空に

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日常

2021-10-05 00:15:08 | 俳句

丘に登れば 今日も悔いあり セミの声

コオロギの昼間の声の暑さかな

コオロギや暑さをよぎる風の声

去りゆける蝶のメールや秋深し

恋文の蝶は去りゆくメールかな

秋風に寂しき蝶のメールかな

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ジョブ型雇用制度導入の課題

2021-10-01 19:40:25 | エッセイ

経団連は「ジョブ型雇用」の企業への導入を促進している。ジョブ型雇用は職務分析によって賃金と生産性の関係を密接にするが、経済や企業、労働へのデメリットが大きい。

かつて日経連は、雇用柔軟型労働者として派遣労働者などの非正規労働の増加を提言した。それを学界が「仕事人」と呼んで持てはやし、政府が新自由主義政策の一環として推進した。その結果、企業の内部留保が増大する一方、所得格差を拡大し低成長の一因となっている。ジョブ型雇用はこれを正規労働者に広げる恐れがある。

経済学的には、限界生産性(追加労働の生産性)と賃金を一致させれば利益が最大化する。原理的には昇級が不要になり、賃金が抑えられる。しかし職種別の生産性を明らかにすることは困難である。例えばシステムエンジニアとプログラマーのいる職場での生産性は、重要度でランク付けできる程度であろう。むしろ職種別の需給により市場賃金が形成される可能性が高い。市場賃金は企業内の生産性と一致しないため、生産性が低い企業では、採用困難や人件費増嵩により労働倒産する恐れがある。大企業等では、市場賃金を上回る生産性が利益を増加させるかもしれないが、相対的賃金の低下は労働者のモチベーションを低下させる懸念がある。

ジョブ型雇用の効果としてよくあげられるのは、労働者が企業を自由に移動できることである。それは自由の意味や労働の意義をはき違えている。労働の自由とは本来、目的をもって社会に貢献するという労働の意義を発揮できる主体性である。

ジョブ型雇用を制度化する場合、長期雇用の効果を踏まえ、賃金に反映させる必要がある。どの企業でも即戦力として役立つ高度な専門職は別として、企業に必要な専門性は企業特殊能力であり、長期的に育成される。すなわち、長期雇用により労働者が企業のアイデンティティである理念や文化を共有し、企業が労働者の能力開発に努めることが有効である。それは人を重視するわが国文化に適合するとともに、労働者の創意工夫が技術革新等への環境適応能力を高め、経済成長と所得格差の縮小に寄与するであろう。

少なくともジョブ型雇用が利潤増加の手段となり、人件費の低下や所得格差を拡大するものであってはならない。ILOのフィラデルフィア宣言には、「労働は商品ではない」という原則がある。ジョブ型雇用が社会的目的を失った労働として商品化され、企業をさまよう存在にならないように願いたい。

 

 

 

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眞子様の婚姻に見る皇室の人権

2021-10-01 19:38:55 | エッセイ

秋篠宮家の長女、眞子様のご結婚が実現の運びとなり、まずはお祝いしたい。しかし、一時金の辞退や儀式も行われないという事態に至った経緯を考えると、皇室の立場と基本的人権ということを考えてしまう。

両性の合意のみに基づくという婚姻の自由は憲法で保障されており、皇室もその例外ではないだろう。一方、皇室典範による男性優位、あるいは職業選択や居住、選挙権など、皇族は様々な面で人権が制約され、あるいは象徴としての立場や品位を保つために自制されているように思われる。

いま、政府では皇室のあり方が検討されている。天皇は男系男子であるべきだという原理主義的な意見もあるが、かつて多くの女性天皇が存在したということや時代変化を考えれば、皇室典範を改正する必要がある。そこに女性天皇を認めることや、皇族が主体的に一般国民になる選択の自由、その際の支援や警備等の限度など、権利の拡大や制約の根拠を明確にする必要があると思う。

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