小便男
彼女がそう呼ぶ
クソ女
彼がそう呼ぶ
異臭を放ちながら
一緒に楽しんだあと
尻を拭えば
悪臭とは
金輪際かかわりたくない
名前を失った風に
カラスはいまや消え去り
ただウグイスの声だけが
青空を支配している
小便男
彼女がそう呼ぶ
クソ女
彼がそう呼ぶ
異臭を放ちながら
一緒に楽しんだあと
尻を拭えば
悪臭とは
金輪際かかわりたくない
名前を失った風に
カラスはいまや消え去り
ただウグイスの声だけが
青空を支配している
ボーリング場の大きなピンが
ビルの上に突っ立っている
かつて林立していたピンは
ほとんどなくなって
唯一のピンになってしまった
そこは最初のボーリング場
初めて僕がボーリングして
64点出したところ
ボーリングブームに乗って
雨後のタケノコのように増えた
ボーリング場
僕の最高点212点を出した
地元のボーリング場は
撤退してマンションになった
そのマンションさえ
建て替えの時期が迫っている
最初のボーリング場が
最後のボーリング場で
唯一のボーリング場
そのピンはいま
ブームの喧騒を懐かしみ
バブルの崩壊に泣いた
幾多の後輩たちの屍を
生きた化石のように眺めている
ひとときの幸せや苦しみは
時とともにやがて記憶から去り
思い出の森の中の
夜ごとの夢を紡ぐ欠けらとなる
けれど節目となる大切な思い出は
日々の生活の片隅に佇み
呼べばすぐによみがえり
今を意味づける日常の友となる
だけど心が離れてしまった人の
懐かしい思い出は
至福と悔恨
夢と日常の狭間にあって
近づけばいつも陽炎のように
逝きし日の迷宮の中の
行方定まらぬ世界にたゆとう
屋上から見れば
老若男女が
ありんこのように
動き回っている駅前
自由に入り乱れているが
ありんこのように
それぞれは目的に向かっている
もし、ここにミサイルが飛んできたら
一斉に人々は散り乱れ
ガザやウクライナのように
人々は嘆き悲しむ
低成長で貧しくなっても
戦争で散り乱れるより
平和こそ大事
利益による成長より
命がつながることが
自分が良いと思った作品が
選ばれないのは
選者の感性に合わないから
読者の感性に合わないから
いいえ
自分の感性で
自分の作品を選べないから
作品は自分のもの
自分を放棄することは
人間を放棄すること
だから自己満足でよい
選ばれなくても