よこさんのページ

文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

清潔な装い

2024-07-24 19:05:18 | エッセイ

小便男

彼女がそう呼ぶ

クソ女

彼がそう呼ぶ

異臭を放ちながら

一緒に楽しんだあと

尻を拭えば

悪臭とは

金輪際かかわりたくない

名前を失った風に

カラスはいまや消え去り

ただウグイスの声だけが

青空を支配している

 

 

 


唯一のピン

2024-07-01 10:11:44 | 自由詩

ボーリング場の大きなピンが

ビルの上に突っ立っている

かつて林立していたピンは

ほとんどなくなって

唯一のピンになってしまった

そこは最初のボーリング場

初めて僕がボーリングして

64点出したところ

 

ボーリングブームに乗って

雨後のタケノコのように増えた

ボーリング場

僕の最高点212点を出した

地元のボーリング場は

撤退してマンションになった

そのマンションさえ

建て替えの時期が迫っている

 

最初のボーリング場が

最後のボーリング場で

唯一のボーリング場

そのピンはいま

ブームの喧騒を懐かしみ

バブルの崩壊に泣いた

幾多の後輩たちの屍を

生きた化石のように眺めている

 

 


行方定まらぬ思い出

2024-06-03 14:45:41 | 自由詩

ひとときの幸せや苦しみは

時とともにやがて記憶から去り

思い出の森の中の

夜ごとの夢を紡ぐ欠けらとなる

 

けれど節目となる大切な思い出は

日々の生活の片隅に佇み

呼べばすぐによみがえり

今を意味づける日常の友となる

 

だけど心が離れてしまった人の

懐かしい思い出は

至福と悔恨

夢と日常の狭間にあって

近づけばいつも陽炎のように

逝きし日の迷宮の中の

行方定まらぬ世界にたゆとう

 


経済成長より平和

2024-05-02 16:47:17 | 自由詩

屋上から見れば

老若男女が

ありんこのように

動き回っている駅前

自由に入り乱れているが

ありんこのように

それぞれは目的に向かっている

 

もし、ここにミサイルが飛んできたら

一斉に人々は散り乱れ

ガザやウクライナのように

人々は嘆き悲しむ

 

低成長で貧しくなっても

戦争で散り乱れるより

平和こそ大事

利益による成長より

命がつながることが

 

 


選ばれない理由

2024-05-01 12:10:14 | 自由詩

自分が良いと思った作品が

選ばれないのは

選者の感性に合わないから

読者の感性に合わないから

いいえ

自分の感性で

自分の作品を選べないから

 

作品は自分のもの

自分を放棄することは

人間を放棄すること

だから自己満足でよい

選ばれなくても