自分が良いと思った作品が
選ばれないのは
選者の感性に合わないから
読者の感性に合わないから
いいえ
自分の感性で
自分の作品を選べないから
作品は自分のもの
自分を放棄することは
人間を放棄すること
だから自己満足でよい
選ばれないけど
自分が良いと思った作品が
選ばれないのは
選者の感性に合わないから
読者の感性に合わないから
いいえ
自分の感性で
自分の作品を選べないから
作品は自分のもの
自分を放棄することは
人間を放棄すること
だから自己満足でよい
選ばれないけど
蕾をば花と見なして車座になれば花咲く四方山話
蕾をば花と見なして車座に酒なくも咲く四方山話
蕾をば花と見なして酒を汲み君と語らん四方山話
雨の中来る人なくば公園の桜どうしの会話が弾む
雨降って来る人のない公園は桜どうしの会話が弾む
雨降って人なき公園満開の桜会話を楽しむがごと
黄昏にカリンの小さき花ありて実しか知らざることをば恥じぬ
満開の桜をよそに可憐なるカリンの花は秋に備えぬ
カラタチやカレンの花は小さくも桜をよそにいま盛りなり
新緑の緑溢れる公園に誰か知らざる懐かしき道
新緑の黄昏照らす並木道行方久しき懐かしき人
新緑の並木明るき黄昏は別れた人に出会う気がする
人はみな記憶の中に消えゆくを忘れな草になぜにこだわる
いつの日かまた会うことを信じるは忘れな草のゆかりなりけり
蕾をば花と見なして花見かな
色づけば桜あるらし山の陰
色づけば桜ありけり山の肌
春遅し急ぎ色づく桜かな
雨粒や花それぞれに雪柳
雨の中桜どうしの会話かな
雨降れば話の弾む桜かな
石垣にかかる藤花のたくましき
石垣にかかりて落ちず藤の花
可憐なる花で作るやカリンの実
若者は座っている
疲れを装って
眠ったふりをしたり
スマホを見ていたり
そのとき若者の体は
エネルギーと情報が混ざりあって
ひたすら生き物のように
けだるいオーラを発する
年寄りは立っている
元気さを装って
つり革にぶら下がったり
窓の外を見たり
そのとき年寄りの体は
重力を膝に受けながら
窓の外の景色の流れに
ひたすら人間のように
干からびた感性を目覚めさせる
電車は満員なのに
誰も話す者はいない
スマホをしているのか
眠っているのか
立っている者だけが
知っている
窓の外はモヤが海面まで降りて
海とひとつになって
電車は白い知らない世界に
向かっている
皆はそのことを知らない
もちろん時間が消えていることも
時計を見ないから