よこさんのページ

文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

23年初夏(短歌)

2023-05-29 15:26:12 | 短歌

アオサギとカワウ何をか話すごと遠きi池辺のベンチなるかな

 

あだし野の写真に映る緑陰のまだら模様は我が迷いかな

あだし野に集う写真のまだらなる緑陰迷い現す如く

千年の無常を込めしあだし野に残り少なき日の重さ知る

 

一面にクローバーの咲き誇りともに栄える大芝生かな

城山とおぼしき山の頂にのろしの如く水蒸気立つ

 


生きた街並み

2023-05-25 15:55:48 | 自由詩

新緑の六甲の尾根筋

高台から垣間見る

神戸の街並みは

幾多のビルが

空に伸び

海に広がり

さながら石英の中の

水晶が伸びていくように

文明の結晶をつくっていく

 

その合間にかすかな

人の動きや車の流れ

毛細血管を走るのは

音なき脈拍のリズム

結晶は細胞のように

心臓の鼓動を確かめ

いつの間にか

街はアメーバのように

その形を変えていく

 


23年初夏(俳句)

2023-05-12 18:41:32 | 俳句

天めざしそれぞれ伸びる松新芽 

雨上がり微動だにせぬ柳かな

雨上がり梅雨の兆しを知る柳

青柳を濡らして梅雨の走り来る

アオサギと鵜の話し合う池辺かな 

 

草木に緑新たな風そよぐ

緑さしますます広き大芝生

化野を降り来る人に緑さす

緑さすシロツメグサや大芝生 

あだし野に集う写真に緑さす

 

クローバーに緑ゆずるや大芝生

夕立や山ひだごとに湯気立ちて

耳鳴りにまごうことなき蝉の声 

 

マスクなし顔の歪みやセミ時雨

 

 


テーマ別川柳2023

2023-05-03 19:13:12 | 川柳

DNA転写狂って進化する

狂わずに人は子供をつくれない

計算が誤差の範囲で狂ってる

予定日が狂って出会うこともある

 

「午後」

人生の昼下がりには情事なし

昼下がりの情事夢幻のごと

人生の午後長き後期高齢者

 

 

「怪我」

傷癒えて怪我を忘れて出逢う罪

行きし日を思い出させる怪我の跡

後悔は先にたたずと怪我が言う

怪我さえも今は懐かし傷の跡

ふと気づく心の傷や怪我のあと

若き日の元気印や脛の怪我

 

「逆らう」

逆らうこといつしか忘れベテランに

逆らっているのは甘えている証拠

逆まわりする魚あり大水槽

ワクチンに逆らいウィルス逃げたかな

 

「四角」

人間は四角の中で生きている

四角から逃げて自然の中に行く

文明と自然を分かつ四角かな

 

「酸っぱい」

年食えば酸っぱい過去も甘くなる

別れをば酸っぱい唾液の量で知る

酸っぱさは青春ゆかりの記憶のみ

酸っぱさが否定をしているその別れ

酸っぱさで別れの気持ちを紛らわす

 

「迫る」

ゆっくりと迫るも過ぎる日の速さ

動かない山が登れと迫りくる

独り言迫ればブルートゥースかな

迫る日を知らぬがゆえの仏かな

 

「袖」

袖にみる日本文化のゆとりかな

袖のない西洋文化にゆとりなし

成長と反比例する袖の長さ

舞台袖見えぬ野党に裏ぎられ

裏技も舞台袖にもない野党

舞台袖見えぬ野党に裏もなし

ゆとりあれど使っていけない袖の下

秋深し袖の長さに迷いつつ

和服には袖のゆとりがもつ平和

 

「例え」

例えばと言うたび逸れていく話

別れをば星に例えるきれいごと