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文芸 エッセイ 論文  アイデンティティ

三人姉妹が百歳を超えました

2021-04-27 12:34:32 | エッセイ

 このたび私の母親が満百歳になりました。今の時代、百歳以上は珍しいことではありませんが、母は3人姉妹の3女で、全員が百歳以上の長寿を迎えたということは、そう多くはないと思います。長女は3年前に百四歳で亡くなりましたが、2女はいま百四才で健在です。また多少の病気はありますが、3人とも認知症や寝たきり生活とは無縁です。

母は長寿の理由を聞かれると、明石生まれ明石育ちで、おまけに祖父は船を持つほど魚釣りが趣味で、小さいときから魚をよく食べたことだろうと言います。結婚後の人生はそれぞれ違いますが、みな大正生まれで、戦中戦後の粗食に耐え、長寿遺伝子が作用したからかも知れません。もしそうなら、昨今の添加物の多い食物や飽食の世代が、そんな健康長寿を達成できるか心配になります。

もちろん、長寿は医療や介護制度の充実のお陰でもあります。母はいま特養でお世話になり、ヘルパーさんはじめ施設の方々に日々感謝しております。


アメリカに見る民主主義の問題

2021-01-14 23:18:54 | エッセイ

  トランプ大統領の支持者らが議事堂を襲撃した事件は、香港民主派に対する中国指導部の弾圧とともに、民主主義のあり方を考える機会になった。香港の動向は決して容認できないが、独裁国家の暴挙として理解できる。しかし、民主主義国であるアメリカの大統領が証拠もなく選挙結果を否定したうえ、民主主義の象徴たる議会への抗議をけしかけることは理解しがたい。トランプ氏の行動は、議会制民主主義の下で独裁政権を樹立したヒトラーを思いおこさせる。それゆえ、これを単に民主主義に対する警鐘とするのではなく、トランプ氏が大統領に選出された背景を考える必要があろう。

  アメリカの民主主義は過度に自由を尊重し、機会の平等のもと、競争による格差拡大は自己責任とする。その勝者の論理が既得権層への反感や不満となり、トランプ大統領を支持したところに民主主義の問題がある。民主主義は自由による格差ではなく、公正で豊かな社会形成に寄与して欲しい。


夢の企業

2020-12-18 09:17:09 | エッセイ

『新しい年を迎えて』

 新年に新型コロナウィルスのワクチンや治療薬ができても、経済が立ち直るのは容易ではないかも知れない。コロナ禍を無益にしないために、新たな経済発展の機会にならないかと考えていると、制度の隙間から新しい企業像が見えてきた。それは従業員が経営者を選挙で選ぶ企業である。

 近年、グローバル競争や株主重視により、企業は労働をコストと見なして、単純労働化や非正規労働者の増加により労働の尊厳を奪い、過剰労働やパワハラなどにより労働者は軽視されてきた。

 企業は共同体のメンバーとして、国民である労働者を大切にする責任がある。選挙により経営者を選ぶ企業内民主主義は、労働者の尊厳と労働条件の向上が期待できる。もちろん選ばれた経営者が不適任なら、企業も労働者も不利益を被るので、経営能力は不可欠であり、株主にも配慮せねばならない。しかし経営者、労働者、株主のパワーバランスが持続可能な社会発展を可能とするのではないだろうか。


核兵器禁止条約締結への期待

2020-10-25 21:44:05 | エッセイ

 菅政権に期待したいもののひとつは、核兵器を違法とする核兵器禁止条約の締結である。最近、50カ国の署名により発効したこの条約に、わが国はまだ署名していない。例年、わが国が国連に提案する核兵器廃絶決議案にも、菅総理の国連テレビ演説にも核兵器禁止条約への言及はない。わが国がこれまで、核拡散防止条約への参加でお茶を濁してきたのは、核の傘であるアメリカへの遠慮であろうが、核兵器禁止条約を避ける理由にはならない。

 拉致問題や北方領土問題と異なり、核兵器廃絶問題ほど世界の動向やわが国の立場が明らかなものはない。わが国は唯一の被爆国として、核のない世界という理想をアピールできる立場にあるからである。

 国の思想や理想をアピールしアメリカを説得することは、わが国の国力や政治力を示すことになる。無難な政策は世界のためにならない。核兵器禁止条約を締結しないわが国に対して、国内外から批判や疑問が生じるのは当然であろう。

 

 

 


学術会議の新会員任命に思う

2020-10-14 10:05:58 | エッセイ

 日本学術会議が推薦した新会員のうち、6名が菅首相から任命されなかったことに対して、多方面から批判が噴出している。推薦が拒否された前例がなく、理由の説明もないからであるが、それを「学問の自由に対する不当な政治介入」と叫ぶことには違和感がある。会員に選ばれることは、学問の自由に影響するのであろうか。それを政治介入と言えば、学問が政治に影響されることを自ら認めることになり、矛盾しているように思う。

 学術会議の会員が公務員なら、政府の任命権は正当化されざるを得ない。むしろ任命に関する問題は、「意見の異なる者は退出させる」という菅政権の姿勢にある。原子力や新型コロナ対策など、政府には専門的観点から提言する諮問委員会などの機関が多数ある。それらが政府の意見に賛同する学者のみによる御用機関になれば、政治が政府のためのものとなり、国民の安全や安心を担保できなくなるのではないかと懸念される。