北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

「いたれりつくせり」考

2008-07-09 | 国際
ホテルで紹介されたレストランの写真です。
たまたま早く行くことができたので、このようなアイリッシュ・ミュージックの
ライブをやっていました。

そこはかとなく、というより、かなりもの悲しい調べに、
その厳しい歴史を感じてしまいました。

国民が一丸となって独立を成し遂げた国。
1800年代半ばには、国が貧しくて、600万人がアメリカに
移住したといいます。
ですから、今でも故郷に帰るようなかたちでアメリカからの観光客が
多いそうです。

が、国をあげての喪失感と、国をあげての克服。
デンマークでも、19世紀初頭にありとあらゆる戦争にまけて
多くの国土を失いました。
「外でなくしたものを、内で取りかけそう」ダルガス士官の声に
突き動かされたて、新しい国づくりに挑んだデンマーク。
貧しいなかから、イギリスからの独立を勝ち取ったアイルランド。
もの悲しい調べを聴きながら、似てるなあと、感じました。

苦労をした人間は、本当のやさしさをしっています。

そこで!

かなり話は飛躍しますが、、、、

私は、アイルランドに来る前に日本の学会に参加してきました。
最寄の駅を降りるなり、学生の方が駅前に立って、
⇒のついたプラカードをもって行き先を示していました。
かなり汗をかきながら、ずっと立ったままです。
せめて、椅子にすわったっていいのではないでしょうか?
これは、軍隊の厳しさに通じるものを感じました。

人間がたっていなくても、看板だけでいいのではないでしょうか?
わたしは、汗を流している学生の方を見て、気の毒になりました。
というより、私が学生の立場なら、こんなことするの、いやだなあ、、、
と、思ってしまったのです。

「至れり、尽くせり」そんなサービスが高く評価され、
そうでなければ、どこからか文句がでる。
日本はそういう社会です。
でも、過剰サービスは、それを支える人々に過剰な負担を強いてしまいます。

海外での学会は、このEHNRしか参加したことはありませんが、
プレゼンテーションする場合にも、自分でメモリーチップを持っていって、
直前にインストールして、即、プレゼン。
いたって簡単です。
日本では、少なくとも1週間前には送って、「間違いのないように」する。
こうした規律のなかで、いかに多くの負担をかけていることになるか、、、
遅くまで残って仕事をする可能性が多いに高まるではありませんか。

「自力でしっかり来てください」というメッセージがしっかり伝わって
きます。
そうしますと、こちらも、油断できないので、しっかり準備をするわけです。
この緊張関係が、自立を促進するのですよね。
「自分がしっかりしないといけない!という緊張感が、生きがい感を生む」
ということは、これまでの高齢者研究のなかで証明されていることでもあります。

日本の先生とこのことを話していましたら、
「その通り!しかし、ホテルの用意までしないと、どうしても文句がでるのですよね」とのことでした。

「至れり尽くせり」サービスの裏に、そうしたサービスを喜ぶ、日本人のDNAに擦り込まれた先天的依存性が潜んでいるように思います。
海外に来て、日本のことを客観的に見ることができるから、
こんな過激な発言ができるのでしょうか。

典型的な例が、飛行機でもフライト・アテンダントのサービスです。
その先生は日本の航空会社のサービスに、「うんざりだ」とも言っておられました。
「でも、客の荷物を足で蹴飛ばす北欧系の航空会社にも首をかしげてしまいますけどね」といって、大笑いしましたが、、、

とにかく、「自立支援」だなんだといいますけれども、本当の自立ってなんなんだろう?と思う時、慎重に、客観的に、純粋に考えていくことの重要性を思います?

もの悲しいアイルランド民謡(irish music)を聞きながら、
いろいろと、考えてしまいました。

まったく身勝手な独りごちでした。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。









最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
久しぶりです (利休)
2008-07-18 11:00:26
今日のデンおばさんのコメントにいたく共感した次第です。
サービスってなんだろう?
相手に妙な心の負担を与えるようなサービスは、サービス提供者側の自己満足
しかし批判されることが怖いから、右ならえ

「日本らしい」って正論化されると、結構反論が厳しいものですが・・・

アイルランドからのお帰りはいつですか?

返信する