北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

Bhutan王国のウスアオゴマダラシジミ Phengaris  atroguttata  ssp.

2023-04-05 13:27:13 | 採集記・旅行・写真

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Bhutan王国のウスアオゴマダラシジミ Phengaris  atroguttata  ssp.

 

 

 

Bhutan王国のドチュラ峠( Dochongla  )。飛行場のある Paro や首都 Thimphu からBhutan西部へ向かうのに、何度この峠を越えたことだろう。

 

 

もう少しで峠にさしかかる手前、森林の中に開けたいかにもチョウがたまりそうな湿潤な一角がある。

 

 

そこに、今まで見たことのない白い大型のシジミチョウが多数、ひらひらチラチラと舞っていました。

 

 

黄色い花に止まり吸蜜を始めると白い羽根に大型の黒い黒色紋。とても特徴的な斑紋なので台湾にも産する ウスアオゴマダラシジミ Phengaris  atroguttata  ssp. であることはすぐにわかったが、生きた実物を見るのは初めてでした。

あたりにはこのシジミチョウ以外のチョウは何もいない。翅表のブルーは台湾産より色濃くて、明るい陽光の下、息をのむほど美しい。

 

 

 

この日はこのシジミチョウの乱舞を見ただけでとても幸せな気持ちになれたドチュラ峠でした。

 

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モンゴルのクリソセーメモンキチョウ。

2023-03-30 11:20:06 | 採集記・旅行・写真

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モンゴルのクリソセーメモンキチョウ。

 

モンゴルのクリソセーメモンキチョウ (   Colias chrysotheme  ) はウランバートル近郊や北部のフブスグル湖周辺などで記録が多いがおそらくモンゴル全土に広く分布するものと推定されるが調査は不十分である。

 

オスは乾燥気味の広い草原を猛烈なスピードで低く飛ぶ。飛翔中はかなり遠くからもよく目立ち、あたかも縄張りを見張るように巡回するかのごとく飛んでいる。飛翔速度はとても速くあまりに俊敏なので採集の好機はそう多くない。運よく採集できても多くは多少の破損があり完全品は意外と得難い。

 

 

 

 

 

 

 

メスは林間の草地などで発見されるがオスのように乾燥した広い草地は好まない。いずれの産地でも多産はしない。

 

 

年ニ化。モンゴル以外の地域ではソラマメ属、ゲンゲ属の植物が食草として報告されているがモンゴルでの幼生期の知見は未知。

 

 

 

 

オスは亜外縁の黒い縁取りに多少の個体変異が見られるがおおむね翅形斑紋は均一である。よく似たColias viluiensisのオスと比べると黒帯の幅が広く支脈が白く見えるので区別可能である。

 

 

 

 

メスは変異があり美しい個体が多い。未だ多数個体を検する機会はなく、モンゴル産がどのような亜種になるのかは不明。

 

 

 

 

簡易式遊牧民の住居ゲルをたたんで、ヤクに引かせて移動中。

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モンゴルのミドリヒョウモンの謎と北海道におけるミドリヒョウモンの減少。

2023-03-01 16:49:29 | 採集記・旅行・写真

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モンゴルのミドリヒョウモンの謎と北海道におけるミドリヒョウモンの減少。

 

当初は、モンゴルは草原と砂漠の国といった呪縛のような固定概念があったため、森林性のチョウの代表ともいうべきミドリヒョウモンはモンゴルにはいないだろうと考えていましたが、それは大きな誤りでした。

 

 

 

1994-7-20 にウランバートル北西の避暑地ボルガンのボルガン山の森でモンゴルで初めてのミドリヒョウモン1オス1メスを採集して感激しましたが、それら以外は見られなかった。

 

 

その後もミドリヒョウモンを見ることはなく、毎年のモンゴル各地での採集が続きました。この間、やはりミドリヒョウモンは全く見かけることがなく、本種はモンゴルではとても珍しいチョウとの認識のままでした。

 

 

 

 

ところが 2000-7-2 に久しぶりにボルガン山を訪れた時、林道の道沿いの草地に、おびただしい数のミドリヒョウモンが発生しており我が目を疑ってしまいました。これは一体どうしたことだろう。

 

 

日本のミドリヒョウモンの生態を思い出すと、その謎はすぐに解けました。ヒョウモンチョウ属のチョウにしばしば見られる夏眠です。

 

 

 

 

初夏、一斉に羽化した多数のミドリヒョウモンたちは夏の高温環境を感じると、涼しい高山帯へ移動したり、あるいは夏眠状態に入って動かなくなり、夏の終わりから初秋にかけて涼しくなると夏眠から覚めて活動を再開します。

 

 

 

 

 

おそらく最初に1オス1メスを採集した 1994-7-20 には多くの個体がすでに夏眠に入っていたのだと思います。 2000-7-2 に見られたおびただしい数のミドリヒョウモンは夏眠に入る前の個体たちだったのではないでしょうか。

 

 

 

本種は温帯域の森林地帯を中心に世界各地に分布しています。 我が国では特に珍しいチョウではないと考えられてきましたが最近ではどうでしょうか。

 

 

 

 

 

温暖化のせいか、近年、南方系のチョウが北上する傾向が見られます。北海道オホーツクでは、かってはほとんど見られなかったメスグロヒョウモンが急速に勢力を拡大して、今ではごく普通にみられるチョウになってしまいました。

 

 

 

 

一方、本来オホーツクでは全くの普通種であったミドリヒョウモンは、いつの間にか明らかに減少していると感じています。

 

 

 

 

 

 

ミドリヒョウモンのオス裏面は、とても美しく、うっとりしてしまいます。 メスは明るい翅表と、暗い色調の翅表2型がありますが モンゴルでも同様で、外見は北海道産個体群と比べてあまり違いはないように思われます。

 

 

 

 

 

表示したミドリヒョウモンは全て、モンゴル産です。 ミドリヒョウモンメスの生態写真はウランバートル近郊の山地で吉田嘉男氏が撮影しました。

 

 

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モンゴルのチョウセンヒョウモンモドキ  Euphydryas aurinea in  Mongol.

2023-02-16 15:31:03 | 採集記・旅行・写真

 

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モンゴルのチョウセンヒョウモンモドキ  Euphydryas aurinea in  Mongol.

 

 

分布:  チョウセンヒョウモンモドキ Euphydryas aurinea  Rottemburg  , 1775   は ヨロッパでは広く分布するが各地で絶滅が危惧されている。

 

 

 

中央アジアからシベリアにかけては記録はあるが詳細は不明。

 

 

 

 

旧満州から朝鮮北部の記録は本種の和名の元になっていると思う。モンゴルでは モンゴル中央~北東部にかけて散在的に産地が見られるが、モンゴル中央部の大平原の中に忽然とそびえる岩山のTola山ではしばしば多数個体が発生する。

 

 

 

 

生態など:  乾燥気味で瓦礫や小石の多い草丈の低い草地に発生する。

 

 

 

Tola山では6月中旬が盛期で汚損個体は7月中旬まで見られる。

チョウセンヒョウモンモドキの多産する Tola 山を目指す かみさんです。

 

 

 

同時期におびただしい数のハイラルベニヒカゲも発生する。Tola山では中腹から裾野にかけての草地に発生し低く滑空してすぐ止まる。長距離は飛ばず発生地を遠く離れることはない。 

 

Tola山付近は鋭く割れた小さな岩が地面を覆いジープで侵入するとすぐタイヤが切れてバーストするので遠くにジープを止めてしばらく歩いて発生地に到達する。 

 

 

 

 

この蝶の食草としてはヨーロッパではマツムシ草科、オオバコ科、ゴマノハグサ科、スイカズラ科、リンドウ科など多岐にわたる植物が報告され雑食性のようだがモンゴルでの食草はまだ確認していない。

 

 

 

 

 

個体変異など:  今回、1995-6-15  Tola山の採集個体を提示したが 新鮮個体でみる限り 翅形、斑紋の変異は同一産地内でも著しい。したがって、本種には実に多くの亜種は記載されているものの、モンゴル産がどれに相当するのかは外見だけでは不可能。ただ、飛び古した個体ではどれも同じに見えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

4枚の生態写真は全て吉田嘉男氏撮影。

 

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モンゴルにおけるParnassius phoebus ミヤマウスバシロチョウの分布

2023-02-06 15:48:41 | 採集記・旅行・写真

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モンゴルにおけるParnassius phoebus ミヤマウスバシロチョウの分布

 

Parnassius phoebus ミヤマウスバシロチョウはアポロウスバシロチョウによく似るが, より小型でしばしば small apollo とも呼ばれる。 

 

 

世界的にはとても広い分布域に生息している。

 

 

 

すなわち、ヨーロッパアルプス、ウラル山脈、シベリア、カザフスタン、 モンゴル、中国、北米のカナダ、アラスカ、 さらに米国のユタ州、ニューメキシコ州まで実に広大な分布域を持つ。 

 

 

 

とても広大な分布域がゆえに、本種は何と亜種が 120 も記載されており、これらの再検討をしようと思えば、まさに気の遠くなる作業になりそうだ。

 

 

 

 

 

モンゴルにおける既知産地。

 

 

 

モンゴルでの既産地としては北西部山岳地帯ではタボンボグド山、エルゲチンオール山地、トゥルゲン山地のハルヒラー山で採集されている.

 

 

ハンガイ山脈ではオトゴンテンゲル山山麓で多数観察されている。

 

 

ハンガイ山脈では、オルホン川源流域、カラコルム附近、ソバガラハイルハンウスト山、ツェンケルジグール温泉近くの峠に記録が多く、ウブルハンガイとの境界のトンゴロック峠でも多数採集されている。

 

 

 

カラコルム付近の草原でも記録があり、ムルンからフブスゲル湖にかけての草原や山地帯にも分布している.

 

 

フブスグル湖付近には産地が多い。

 

 

 

これら以外にも産地は多数あると思われるが、今のところモンゴル における分布の全貌は調査が不十分です.

 

 

 

今回、提示したのは全てモンゴル最西部国境の湖ホルガノールに近いモンゴルアルタイの エルゲチンオール山高山帯産個体群です。

 

 

Ergetin Ohr Mts. 遠景。高山帯へは馬で到達します。

 

 

 

すなわち、中国、カザフスタン、ロシアとの国境付近で採集したものです。

 

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