滑走4日目/バレーブランシュ氷河大滑降
洞窟からドキドキの一歩を踏み出し、いよいよスタート。
一人一人をつなぐロープの間隔を一定に保ちながら、片手にスキ-、
反対の手で通路脇の手すり代わりのロープをつたいながら下りる。
比較的なだらかで安全とされるルートを選択したが、
日影で凍結箇所も多く、案外ドキドキだった。
あたしはちょうど真ん中につながれていたので、前方から
「ここ滑りま~す」
「ここ凍ってま~す」
と声が飛べばそれを後ろへ伝え、後方から
「もう少しゆっくり~」
「一旦止まって~」
と声が飛べばそれを前へ伝えるに徹した。
みずからは主張せず、隊の“連係”に心を砕く…(なんつって)
そんな自分の姿がバケツリレーコントにおける仲本工事とダブる。
この配置、うるさいあたしを黙らせたいジャンの綿密な計算か?
やがて、我ら一団の呼吸に微妙なズレが生じ始めた。
どんどこ進んでしまう前方に、後方の足取りが追いつかない。
後方「止まって~。危ないから止まって~!」
前方「ムリです~。危ないから止まれな~いっ!」
場の空気が、ロープと同じくらい張りつめる。かるくヤバい。
どちらの言い分もわかるけど、一人が転べば一網打尽だからサ。
みんな仲良く心ひとつに、気をつけて進もうよぅ♪
とヘラヘラしていたら、ズボッ。ツボ足にハマって膝から崩れた。
「バカめ、おまえが気をつけろっ!」って話でした。すみません。
やがて日当たりのよい稜線のラインに合流。もう凍結箇所もない。
なんとか全員、無事にゴールエリアに到着することができた♪
振り返るとそこにエギュイ・ドゥ・ミディ。要塞のようだ。
コラ、おっちゃんフレームインすんな! と思ったらジャンだった。
男の子チームも到着し、しばらく休憩をとる。
ガエラがポケットに手を突っ込んで、がさごそと何か探している。
おぉそれは、昨日プレゼントした手ぬぐいではないか♪
わざわざ持って来るとは、その心遣いが嬉しいぞ。可愛いヤツめ。
ハチマキのように巻いて空手の型を真似るが、ぎこちない(笑)
カオルくんが手本を見せてやるが、その姿もだいぶウソっぽい。
うさん臭い構えでガエラが叫ぶ。「タッキノコー!」
……タケノコ だってば。
「そろそろ出発しよう」
ジャンが言う。
「そろそろ出発しよう」
カオルくんも言う。そこは訳さなくてもわかります。
ジャンに続いて、次々にスタートを切る。
少し滑っては写真を撮り、写真を撮ってはまた滑る…を繰り返す。
気分爽快♪ こんなにゆったりと景色を楽しみながら滑るスキーは
「滑走」よりも「クルージング」って言葉がぴったりだ。
つばきちゃん・T林さん・まっきぃ。
「いざ大氷河!」やおり お気に入りの一枚。
しばらくして、「そろそろアバランチかな?」とジャン。
ぎょ~っ、アバランチ(avalanche=雪崩)?
ノーノー、ムリムリ、絶対ムリ~~~と、まっきぃ風にビビったが、
何のことはない、ジャンは「have a lunch」と言っていたのだった。
フランス人は「h」をはっきり発音しない。
ランチタイム。
「やっぱ遠足にはコレだね♪」と、みんな笑顔でおにぎりを頬張る。
T林さんが食後の甘味に“かりんとう”をくれる。
シャモニーに来てから、なぜか日焼止めではなくサンオイルを塗り
たくり続けているT林さん。曰く、このあと皮がむけることにより
「究極のピーリング」が完遂するそうなのだが…、
もう顔がこげこげで、むしろあなたが“かりんとう”のようでした。
食べて笑って、笑って食べて、1時間の昼休憩を終えて滑走再開。
だが、どうもゆか姉の調子が悪そうだ。風邪らしい。それはつまり、
カオルくんがカナダから持って来たカオル菌か!?
「大丈夫!」
気丈にふるまうゆか姉さんだが、正直あんまり大丈夫に見えない。
途中、狭いラインでバランスを崩して転倒、手首を痛めたりもして。
だいぶツラそうだ。
けれどもここは大氷河。下山するには、とにかく滑るしかない。
「がんばれ姉さんっ」 みんなで代わるがわる声をかける。
ごめんね、いちいち応えるの、煩わしかったかもね…。
「この先しばらくはフラットだから、少しラクなんじゃないかな」
ゆか姉さんを気遣い、行く手を示してガエラが言う。
見渡せば、ひたすらフラットな大雪原。
「ワッラ~! ア・レェ~~~~~~ェアッ!」
叫ぶガエラ。
要は「OK, Let's go!」って言ってるだけなんだけど、それをこれ
だけのテンションで叫べるとは、さすがラテン系フランス人。
ビューンと滑る。
フラットだけど少しは斜度があるから、漕がなくてもっこう進む。
先頭のガエラに並んだら「先頭はボクのものだっ」と加速された。
ビューンと滑る。
振り向いたら、みんなが縦一列で滑って来ていて、ピーンときた♪
「あ~、ちょっとちょっと、その立ち位置のまま、そこから顔出して
もっと腰落として~。うしろの人まっすぐ立ってこっち向いて~」
と、いろいろな注文にご協力いただいて撮ったのがこれ。
↓ ↓ ↓
S字回転でわらわら チューチュートレイン♪ by ZOO。
EXILEじゃないところが年齢か。
さらに撮影に興じる一行。
ふと見ると、ツ○コが外したグローブを、もんちが頭に乗せていた。
なぜかとても似合う。
この間に、ジャンとガエラ、カオルくんが何やら相談をしている。
そろそろ14:30、午後も大詰め。下山に向けての業務連絡らしい。
やがてカオルくんが、ジャンの言葉を我らに伝える。
カ「そろそろ下山のことを考える時間なんだけど、ここがちょうど
選択のポイントなんだ。ほら、あそこに階段が見えるでしょ?」
見れば岩山にはり付くように、はるか上まで延々と続く階段が…。
まさか、あれを登れってか。
カ「一つは、ここで滑走を終了するパターンね。あの階段を登ると
ゴンドラ駅に着くんだ。そこからゴンドラと鉄道を乗り継ぐと、
シャモニーの街まで帰ることができま~す」
ここで唐突に滑走終了なんてつまらない。もう一つの選択肢は?
カ「もう一つは、このまま滑って下山するパターンです。最終的に、
20分くらい歩くことになるらしいんだけど…」
登るか滑るかだったら、滑るに決まってんじゃん。
だって、目の前に見えるあの階段、あれ長すぎます。やだよね。
「最終的に」20分歩くんなら、そっちのほうがラクなんじゃん?
このとき我らは「最終的に歩く」ってのが、下山したあと、板を
担いでシャモニーの街を(=普通の道路を)歩くという意味だと
勝手に解釈していたんだけど、これがいわゆる言葉のカベだった。
満場一致で「滑って下山」を採択すると、ジャンの表情が曇った。
だらりと脱力してジャンが言う。
「オーケー。シャモニーはこの先をまっすぐ行ってその先を左、
そのあと右に曲がって……」
って、ちょっとぉ、ジャン! あなた道案内なんかして、自分だけ
ゴンドラで帰るつもり!? 許しませ~ん!
ブーブー言うと、ジャンは「バレたか」といたずらっぽく微笑んで
滑り出した。その少年のような瞳に、あたしらメロメロよ~ん。
滑ること数分、氷河の巨大な塊がルートをふさぐように横たわる
ポイントに到着。
それが、この日最大の難所の入口だった…。
洞窟からドキドキの一歩を踏み出し、いよいよスタート。
一人一人をつなぐロープの間隔を一定に保ちながら、片手にスキ-、
反対の手で通路脇の手すり代わりのロープをつたいながら下りる。
比較的なだらかで安全とされるルートを選択したが、
日影で凍結箇所も多く、案外ドキドキだった。
あたしはちょうど真ん中につながれていたので、前方から
「ここ滑りま~す」
「ここ凍ってま~す」
と声が飛べばそれを後ろへ伝え、後方から
「もう少しゆっくり~」
「一旦止まって~」
と声が飛べばそれを前へ伝えるに徹した。
みずからは主張せず、隊の“連係”に心を砕く…(なんつって)
そんな自分の姿がバケツリレーコントにおける仲本工事とダブる。
この配置、うるさいあたしを黙らせたいジャンの綿密な計算か?
やがて、我ら一団の呼吸に微妙なズレが生じ始めた。
どんどこ進んでしまう前方に、後方の足取りが追いつかない。
後方「止まって~。危ないから止まって~!」
前方「ムリです~。危ないから止まれな~いっ!」
場の空気が、ロープと同じくらい張りつめる。かるくヤバい。
どちらの言い分もわかるけど、一人が転べば一網打尽だからサ。
みんな仲良く心ひとつに、気をつけて進もうよぅ♪
とヘラヘラしていたら、ズボッ。ツボ足にハマって膝から崩れた。
「バカめ、おまえが気をつけろっ!」って話でした。すみません。
やがて日当たりのよい稜線のラインに合流。もう凍結箇所もない。
なんとか全員、無事にゴールエリアに到着することができた♪
振り返るとそこにエギュイ・ドゥ・ミディ。要塞のようだ。
コラ、おっちゃんフレームインすんな! と思ったらジャンだった。
男の子チームも到着し、しばらく休憩をとる。
ガエラがポケットに手を突っ込んで、がさごそと何か探している。
おぉそれは、昨日プレゼントした手ぬぐいではないか♪
わざわざ持って来るとは、その心遣いが嬉しいぞ。可愛いヤツめ。
ハチマキのように巻いて空手の型を真似るが、ぎこちない(笑)
カオルくんが手本を見せてやるが、その姿もだいぶウソっぽい。
うさん臭い構えでガエラが叫ぶ。「タッキノコー!」
……タケノコ だってば。
「そろそろ出発しよう」
ジャンが言う。
「そろそろ出発しよう」
カオルくんも言う。そこは訳さなくてもわかります。
ジャンに続いて、次々にスタートを切る。
少し滑っては写真を撮り、写真を撮ってはまた滑る…を繰り返す。
気分爽快♪ こんなにゆったりと景色を楽しみながら滑るスキーは
「滑走」よりも「クルージング」って言葉がぴったりだ。
つばきちゃん・T林さん・まっきぃ。
「いざ大氷河!」やおり お気に入りの一枚。
しばらくして、「そろそろアバランチかな?」とジャン。
ぎょ~っ、アバランチ(avalanche=雪崩)?
ノーノー、ムリムリ、絶対ムリ~~~と、まっきぃ風にビビったが、
何のことはない、ジャンは「have a lunch」と言っていたのだった。
フランス人は「h」をはっきり発音しない。
ランチタイム。
「やっぱ遠足にはコレだね♪」と、みんな笑顔でおにぎりを頬張る。
T林さんが食後の甘味に“かりんとう”をくれる。
シャモニーに来てから、なぜか日焼止めではなくサンオイルを塗り
たくり続けているT林さん。曰く、このあと皮がむけることにより
「究極のピーリング」が完遂するそうなのだが…、
もう顔がこげこげで、むしろあなたが“かりんとう”のようでした。
食べて笑って、笑って食べて、1時間の昼休憩を終えて滑走再開。
だが、どうもゆか姉の調子が悪そうだ。風邪らしい。それはつまり、
カオルくんがカナダから持って来たカオル菌か!?
「大丈夫!」
気丈にふるまうゆか姉さんだが、正直あんまり大丈夫に見えない。
途中、狭いラインでバランスを崩して転倒、手首を痛めたりもして。
だいぶツラそうだ。
けれどもここは大氷河。下山するには、とにかく滑るしかない。
「がんばれ姉さんっ」 みんなで代わるがわる声をかける。
ごめんね、いちいち応えるの、煩わしかったかもね…。
「この先しばらくはフラットだから、少しラクなんじゃないかな」
ゆか姉さんを気遣い、行く手を示してガエラが言う。
見渡せば、ひたすらフラットな大雪原。
「ワッラ~! ア・レェ~~~~~~ェアッ!」
叫ぶガエラ。
要は「OK, Let's go!」って言ってるだけなんだけど、それをこれ
だけのテンションで叫べるとは、さすがラテン系フランス人。
ビューンと滑る。
フラットだけど少しは斜度があるから、漕がなくてもっこう進む。
先頭のガエラに並んだら「先頭はボクのものだっ」と加速された。
ビューンと滑る。
振り向いたら、みんなが縦一列で滑って来ていて、ピーンときた♪
「あ~、ちょっとちょっと、その立ち位置のまま、そこから顔出して
もっと腰落として~。うしろの人まっすぐ立ってこっち向いて~」
と、いろいろな注文にご協力いただいて撮ったのがこれ。
↓ ↓ ↓
S字回転でわらわら チューチュートレイン♪ by ZOO。
EXILEじゃないところが年齢か。
さらに撮影に興じる一行。
ふと見ると、ツ○コが外したグローブを、もんちが頭に乗せていた。
なぜかとても似合う。
この間に、ジャンとガエラ、カオルくんが何やら相談をしている。
そろそろ14:30、午後も大詰め。下山に向けての業務連絡らしい。
やがてカオルくんが、ジャンの言葉を我らに伝える。
カ「そろそろ下山のことを考える時間なんだけど、ここがちょうど
選択のポイントなんだ。ほら、あそこに階段が見えるでしょ?」
見れば岩山にはり付くように、はるか上まで延々と続く階段が…。
まさか、あれを登れってか。
カ「一つは、ここで滑走を終了するパターンね。あの階段を登ると
ゴンドラ駅に着くんだ。そこからゴンドラと鉄道を乗り継ぐと、
シャモニーの街まで帰ることができま~す」
ここで唐突に滑走終了なんてつまらない。もう一つの選択肢は?
カ「もう一つは、このまま滑って下山するパターンです。最終的に、
20分くらい歩くことになるらしいんだけど…」
登るか滑るかだったら、滑るに決まってんじゃん。
だって、目の前に見えるあの階段、あれ長すぎます。やだよね。
「最終的に」20分歩くんなら、そっちのほうがラクなんじゃん?
このとき我らは「最終的に歩く」ってのが、下山したあと、板を
担いでシャモニーの街を(=普通の道路を)歩くという意味だと
勝手に解釈していたんだけど、これがいわゆる言葉のカベだった。
満場一致で「滑って下山」を採択すると、ジャンの表情が曇った。
だらりと脱力してジャンが言う。
「オーケー。シャモニーはこの先をまっすぐ行ってその先を左、
そのあと右に曲がって……」
って、ちょっとぉ、ジャン! あなた道案内なんかして、自分だけ
ゴンドラで帰るつもり!? 許しませ~ん!
ブーブー言うと、ジャンは「バレたか」といたずらっぽく微笑んで
滑り出した。その少年のような瞳に、あたしらメロメロよ~ん。
滑ること数分、氷河の巨大な塊がルートをふさぐように横たわる
ポイントに到着。
それが、この日最大の難所の入口だった…。
結果的には楽しかったけどさ~♪
私もまさに同感。
歩くのは板を外して街中だと思ってたよ。
ちょっと情報少なかったというか・・・
言葉の壁だったんだね。
続きが楽しみだけど、長文なだけにこっそり読むのが大変よ~(ほほほっ)
でもやっぱり「滑って下山」を選択してよかったよね~!
エーデル>氷河のダイナミックさという点で、今回のは、これまでのスキー経験の中でも群を抜いていたように思います。
バルは優雅だった? あなた相当ガツガツ滑っていたと記憶していますが(笑)
長文ごめんね~!