やなさん浜松E-RA日記

浜松暮らしを楽しむ人を応援する柳原新聞店社長の日記です

江戸の思いやり

2007年01月24日 | CSマネジメント
先日、歴史小説の大家、早乙女貢先生のお話をお聞きする機会がありました。

早乙女先生は「僑人の檻」で直木賞 、「會津士魂」で吉川英治文学賞を受賞した他、「北条早雲」「七人目の刺客」「おけい」「血槍三代」「権謀」「沖田総司」
など、江戸や幕末をテーマにした作品を多数残されています。

講演のテーマは「江戸の思いやり」

江戸時代に対する日本人の意識(認識)が低い。それは明治維新の際、討幕派が江戸を否定するような風潮や仕組を作ったことによるものだが、もっと再認識する必要がある。
近世において戦争がなかった国は日本だけである。270年もの長きに渡り戦のない平和な時代が続いたのは、それだけ優れた社会システムを作り上げることが出来たから。戦争がないと言うことはそれだけ文化が発展し、冨が蓄積され繁栄することを意味する。

長州が中心となった明治政府では軍国主義に向かうのも当然。大政奉還後も徳川幕府が社会を混乱させずに緩やかな改革をしていたならば、日本のあり方も変わっただろう。戦争に向かうようなことはなかったのかもしれない。

織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の3人を比較し、誰が好きかとかタイプかと同列で考えるのも本来はおかしい。殺戮を繰り返した信長が暗殺されたのは必然。秀吉も朝鮮出兵などという愚行を犯した。(平和を築くために不可欠なのは侵略しないこと)長きに渡り平和国家を築いた家康こそ(もちろん信長・秀吉のやり方も学んだのだろうが)もっと評価されるべきだ。

江戸時代には鎖国政策も意味があった。もしそうでなかったら植民地となり、フィリピンのように国民の半分がキリスト教で英語を話すような国になっていた可能性もある。

参勤交代の制度により人々が行き来しお金を落とすことで、地方の宿場町、城下町が発展することができた。

こうして平和な社会で文化が発展した江戸時代には、人情とか思いやりは人として自然のことに育った。長屋生活での近所付き合いに見られるような助け合いの精神、お礼の文化など心の豊かな時代であったことの象徴でもある。

現代の行きすぎた競争社会、プライバシー規制などが歪んだ社会を生み出している。我々はもっとおおらかだった江戸に学び、日本人としての精神文化を見直す必要がある。



CSにも通じる有意義で参考になるお話でした。実は私も家康はあまり好きではなく、秀吉がいいと思っていた頃(TVの影響か)もありましたが、家康に対する見方が変わりましたね。

早乙女先生は80歳という年齢にもかかわらず元気一杯。2時間という時間はあっという間に過ぎた楽しい講演会でした。



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