アンコウ物語

徒然なるままに

被曝による健康被害

2013-06-21 13:41:17 | 原発事故

日本での自然界から受ける放射線被曝は年間1.5ミリシーベルト(mSv)
と言われております。放射線で被曝する状況には様々なカタチがありますが、
被曝による健康被害については、情報が多すぎてなかなか理解するのが
困難です。

1.インドのケララ州のカラナガッパリーでは、年4mSvから70mSvの
自然放射線量になる。しかし6万9958例の健康調査で、発がんの増加は
観察されなかった。

2.中国の高線量地域である陽江は内部被曝を含み平均年6.4mSvの
被曝がある。1987—95年の92万6226例を線量で分け、対象地域外の
集団と比べたところ、他地域と比べたがんのリスクの増加は認められなかった。

3.イランのラムサール地方では年間の被曝量が10.2mSv、ブラジルの
ガラパリでは5.5mSvであるが、これらの地域でのがん患者が他の地域より
多いと言うデータはない。

4.ヨーロッパで、1万9184例の男性パイロットを調査した結果、年間被曝量は
2-5mSvで累積生涯線量80 mSvを超えなかった。逆にがんなどの健康被害
などのリスクは低かった。

5.英国の17万人以上の放射線技師についての調査では、技師のがん
死亡率は普通の人より低かった。

6.宇宙に滞在する宇宙飛行士の被曝線量は半年の宇宙滞在で180mSvに
達し、宇宙ステーションに長期滞在した宇宙飛行士のリンパ球には高頻度の
染色体異常が見出される。これによる健康被害を考慮し、宇宙飛行士の宇宙
滞在期間は半年となっている。NASAは宇宙飛行士ががんになる危険性を
抑えるため、被曝量に制限を加えており、30歳で初めて宇宙を飛行する場合、
男性は生涯で800mSv、女性は600mSvを超えて放射線量を浴びては
ならない。地球と火星の間を往復するには360日掛かる。この間660mSvを
被曝する。一度、火星まで往復すれば飛行士を引退することになる。

7.日本の原発作業員の被曝量は1年間で50mSv又は5年間で100mSvと
労働安全衛生法で被曝限度が定められている。

8.胃検査の際のX線撮影の1回分の被曝量は4mSV、CTスキャンでは
7~20mSvの
被曝量である。60年の間、毎年1回胃の検査を行えば合計で
240mSv被曝する。

9.世田谷の民家の床下に毎時600マイクロシーベルト(μSv/h)のラジウム
226が発見され、
放射性物質からたった2mしか離れていないところで寝起きし、
1年間に30mSvを50
年間浴び続けて何の問題もなく元気に生活していた
人がいた。50年間の単純合計被曝量は1,500mSvになる。いつもこの
場所にいたわけではないだろうから、実際の被曝量はこれより少ない。
しかし、NASAの男性宇宙飛行士の生涯制限被曝量800mSvを大きく超えるに
違いない。

10.環境省は除染業者に放射線量を3μSv/h以下になるよう指示している。
3μSv/hは年間15.7mSvである。これは高線量地域と言われるイランの
ラムサール地方の10.2mSvを超える。年間15.7mSvの状況で今後80年間
生きたとすると生涯被曝量は1,256mSVとなり、火星を往復する宇宙飛行士の
NASAの制限を超える。高齢者の場合、60歳まで日本人平均の1.5mSv/年間を
被曝し、残り20年間で15.7mSv/年間を被曝したとすれば、生涯被曝量は
404mSvとなるが、イランのラムサール地方の人々の80年間の生涯被曝量
816mSvの半分にしかならない。

放射線感受性には大きな個人差があり、確定的影響には発症する線量に
個人差がある、と言われています。又、短時間での急性被曝と長時間かけて
低線量を被曝した場合とでは、同じ合計被曝量でも影響が相当異なるそうですが、
それもはっきりとは分かっていません。しかし、イランのラムサール地方の
人々の健康に異常がないことや世田谷の民家の住人のことを考えると、除染
対象地域と除染基準は大幅な見直しが必要となります。

一方で、慶大医学部講師の近藤誠さんは「100mSv以上の被曝と発がんは
明確な相関関係にあるが、100mSv以下の低線量被曝のデータは少なく、
いまのところ発がんリスクはゼロでなく、正確には分からない」と言っております。
日本人の自然界からの年間被曝量が1.5mSvなので、80歳まで生きると
すれば120mSvの被曝となり、これに胃検査、飛行機の搭乗、その他を含めれば
おそらく死ぬまでに300mSv以上の被曝をするのではないかと思います。
近藤誠さんの主張によれば、日本の老人はことごとく全てがんに罹ることに
なります。
イラン、インド、中国やブラジルの高放射線量地域ではほぼ全住民が
がんを患うことになりますが、そのような事実はなさそうです。

何が真実なのか。今は誰も分からないのが実態なのでしょう。

 

 



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