アンコウ物語

徒然なるままに

日本の家計貯蓄率の低下

2016-06-04 19:02:31 | 経済

最近の世の中の状況は我々の想像を超えて急速に変化している。新たな事実を示されて
そんなに変わっているのかと驚くことが多い。特に大きな変化は日本の経済力の低下
だろう。中間層の減少、低所得者の増加などが著しい。安倍さんがいくらアベノミクスの
成果を強調しても日本の相対的な地位の低下は否定できない。勿論、安倍さんだけの問題
ではなく過去20年間にこの事態が少しずつ進んでいる。

例えば貯蓄率を見てみよう。従来、主要国の中でも日本の家計貯蓄率は高いと思われていた。
一方消費文明の米国は貯蓄率が相当低いとみなされていたが、これが今や日本より高い。
OECD201511月の統計資料によれば、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、
韓国、日本の主要7か国の中で、1990年の日本の貯蓄率は12%で3位だった。しかし、
13年後の2003年から現在まで、日本は7か国中最下位となった。

日本が最下位になった理由はいくつかあるが、非正規雇用の増加などによる所得水準の
低下もその一つとして挙げられている。収入が低下すれば貯蓄は減少する。又、新規
雇用者の減少、退職者や高齢者の増加もその原因。年金生活では貯蓄は減っていく。
しかし何故か日本と同様高齢化が進んでいるドイツやフランスはあまり大きな変化はない。
高齢者の増加だけでは直接貯蓄率の減少に繋がらない。一方、日本の社会保障は年々改善され
北欧型に近づいている。社会保障の充実は貯蓄率の低下に影響を与えているかもしれない。

 

 

 

 


モノ作り日本製造業への危惧

2015-11-26 22:27:32 | 経済

 日本のメーカーは戦後、切磋琢磨してモノ作りのノウハウを獲得し、高品質、高性能を武器に
世界市場に進出し技術国ニッポンの名声を高め、海外で多くの市場に販路を広げ、つい最近
までアメリカに次ぐ第二の経済大国を築き上げた原動力となった。しかし、モノ作りで日本経済の
発展を牽引してきた日本の製造業が最近どうもおかしい。長く続いた不況のため企業は
研究・開発への投資を減らしたのか、日本メーカーの開発力が減退しているように思われる。

 先日、所属している協会のHP立ち上げを会員に葉書で案内するためPCで原稿を作った。
これをプリンターで官製葉書に印刷するため、まずコピー用紙を葉書大に切ってそれに
試し刷りを行った。何度か試し刷りを行った後、このコピー用紙がプリンターの中で紙づまりと
なり出てこなくなった。メーカーの
Canonへ電話をして解決策を問合わせた。電話に出た
担当者の指示に従って作業を行ったが、詰まった紙は出てこなかったので、その担当者から
メーカーへプリンターを送って修理に出すよう要請された。修理代も教えて呉れた。修理が
終わるまで待てない印刷物があったので止む無く、以前購入した同じ販売店で前とほぼ同じ
機種の新しいプリンターを購入した。新しいプリンターの購入価格は驚くなかれ、修理代よりも
3,000円、25%も安かった。

 新しいプリンターを購入するよりも修理代の方が高いことなど理解に苦しむ。修理に出した
プリンターの通常の保証期間は1年間であったが、500円を追加すると3年間に延長出来ると
言うのでそれを選んだ。このプリンターは昨年の6月に購入したので、500円を追加しなかったら
保証期間は切れていた。こんな価格設定で製品販売を誘導することなど消費者を愚弄するものだ。
メーカーとしてあるまじき行為である。更に、印刷用紙が詰まった程度の極く簡単な故障で一々
メーカーの工場に送り修理をするなど全く無駄な作業である。資源の無駄遣いも甚だしい。
メーカーのHPにお客様メール相談センターと言う窓口があったので下記のメッセージを送った。

 

    『プリンターのトラブルについて、お客様相談センターへ電話で問合わせを行いました。
    
担当者からの指示でトラブル解決の作業をしましたが、解決しませんでした。この為、
    
修復は出来ないとわかりCanonへ修理依頼を出すよう提案されました。販売店経由で
    
修理の依頼を致しました。

    修理に約2~3週間掛かると電話相談の際言われましたので、急ぎの印刷のため

    新しくPixusMG6730を購入致しました。幸い、修理代11,880円より大幅に安く購入
    
出来ました。最近、貴社だけではなく多くのメーカーで見受けられますが、製品価格
    
より修理代のほうが高い場合が圧倒的に多く何時も疑問を感じています。このような
    
仕組みで製品販売を増加させることは本来メーカーの正しいあり方ではありません。

    メーカーにもこのような仕組みにならざるを得ない事情があるかもしれませんが、
    
誰が考えても理解に苦しむ方策です。幸い、保証期間内でしたので修理に出しましたが、
    
保証が切れていたら、ゴミとして処分しておりました。購入してから僅か1年5ヶ月で
    
ゴミとなる運命になるところでした。

    このような印刷用紙が詰まった程度の簡単な故障は使用者側が容易に修理できる
    
構造で、設計・製造するようお願いしたいと思います。メーカーとしては販売額が
    
減少するため、出来ない相談と考えるかも知れませんが、しかしこのような他社との
    
差別化が販売増に繋がります。』

 

このメッセージに対してメーカーから、「貴重なご意見は設計・製造部門に伝え、今後の製造の参考に
させて戴きます」、と返事があった。正常な仕組みの製造業への回帰を期待したい。



コイン洗車場で車は綺麗になるか

2014-05-02 23:04:22 | 経済

車を暫く洗っていなかったので近くのコイン洗車場に行った。前の車はガソリンスタンドで
洗車をしていて、手洗い洗車のWAX掛けで2、200円程支払っていた。昨年、車を
代えてから毎回自宅の駐車場で洗車をしていたが、今回車がかなり汚れていたので
洗車場の方が綺麗になると思いそこで洗うことにした。ここの洗車機は一般的にある
回転するモップが車の上部と側面を往復する仕組みでは無く、ホースを自分で持って
洗車する方式である。

洗車機の操作盤にいくつかメニューがあり、水だけ、水と石鹸、水・石鹸・ワックス掛けなど
6通りの洗車方法があった。水・石鹸・ワックス掛けがメニューの中で最も料金が高く
600円、洗車時間は8分と表示されていた。操作盤に600円を投入し、ホースを手に
持ち、スタートボタンを押したらホースの先から勢いよく水が出てきた。8分で車が
ピカピカになることを考えながら洗っていたが、いくら高圧の水をかけても泥の汚れが
落ちない。ホースの先を車のボデイに接触するほど近づけて洗って見たがなんの変化も
ない。

しばらくすると石鹸らしき泡が出て来たがそれでも汚れが落ちない。そのあとワックスらしき
液体が出て来たが同じく汚れが全然落ちない。最後に水が出て洗浄が終わった。車を
洗浄機から出して布で水を拭き取ろうとしたが、車の汚れが全然取れていないので愕然と
した。隣りで洗浄後の車の水を拭き取っていた若い男性に、全く汚れが落ちていないのに
驚いた、と言ったら、いつもこの程度ですと言われ、若い男の車を見たらやはり泥が落ちて
いなかった。

そのまま自宅に戻り駐車場で最初から、水道水のホースを繋いだ高圧洗浄機を使って
洗車を始めた。いつもの通りの洗車で車は綺麗になった。結局、洗車場での洗車は料金も
労力も全く無駄となった。洗車場には「車ピカピカ」と広告看板がかかっているが、これは
一種の誇大広告ではないか。この洗車場が倒産しないで営業しているのは、リピーターが
いるものと思われるが、洗車前も洗車後も同じで汚れが全く取れないのに利用する人が
いるのは大変不思議である。

自宅で高圧洗浄機を使って車を洗っても、それだけでは汚れは取れない。やはり布で
汚れを拭き取ることが必要である。しかし、洗車場のメニューを見て、水・石鹸・ワックス
掛けと書いてあれば誰でも洗車後の車はピカピカとなると考える。しかし汚れは全く
取れない。洗浄機にかけたあと車を其の儘にしておけば洗浄機にかける前と寸分違わなく
汚くなる。

自動車メーカーも家庭用高圧洗浄機で簡単に汚れが取れる塗装を開発すべきだ。高齢に
なると車の洗浄は重労働である。一方、高圧洗浄機メーカーもこの洗浄機で車がピカピカに
なると宣伝しているがこれも誇大広告である。


パソコン修理

2013-06-06 22:26:50 | 経済

先日パソコンで音楽を聴こうと思いCDを装着しましたが、パソコンがCDを
認識しないので取り出そうとしたところ、CDがパソコンの中に落下して
しまいました。インターネット情報でトラブル解決策を探したところ、CDの
挿入口を下にして振れば簡単に出てくるとの情報があったのでそうしましたが
出て来ません。やむなくメーカーに電話をして取り出し方法を訪ねました。

電話に出た担当者は、パソコンを持って振り回すことなどは更なる故障の
原因となり絶対やってはいけないことと、メーカーの工場でしかCDの
取り出しは出来ないのでパソコンを送るようにと言われました。翌日、
運送業者がパソコンを取りに来たので引き渡しました。その次の日に
メーカーから電話があり、CDの取り出しは問題無く出来たが、他に
異常があると言われました。部品の故障によりDVDは使用できるが、
CDは使えないので修理する必要が有り、その費用は4万円強掛かる
とのこと。

あまりにも高額なので修理は不要と伝えました。それでは明日午後
3時頃にパソコンと取り出したCDを届けますと返事がありました。この
費用は1万円弱でした。世の中の状況は急速に変わっておりますが
今回二つの事柄で改めて時代の変化に驚きました。ひとつはパソコンを
送ってから3日後にはもう修理されて自宅に戻って来たこと、もうひとつは
あまりにも修理費用が高いこと。CDプレイヤーなら今は1万円弱で買えます。
修理代に4万円以上も払えません。以前にも刈払機の修理代で似たような
話題を取り上げましたが、メーカーは修理と言うサービスは無くしたいと
考えているに相違ありません。


商品開発

2013-05-19 19:29:09 | 経済

昨年に引き続き、5月から市民大学の講座を受講しました。聴講する講座は
食物健康講座で、全部で五回行われます。第一回の講座は「地域の特産品を
生かした商品開発を考える」で講師は茨城キリスト教大学教授の川上美智子さん。
企業からの依頼などでこれまで大学で学生と共に様々な食品開発を行って来た
そうです。講義は過去実施した食品開発の中からいくつかの実績を中心に
行われました。

この講義の中で興味あるデータが出て来ました。平成23年3月での茨城県の
食料生産状況です。茨城県の農業就業人口は全国一位、耕地率も同じく全国
一位で、農業総産出額は全国二位、因みに一位は北海道で三位は千葉県です。
全国一位の農産物は、メロン、レンコン、干し芋、水菜、三つ葉、チンゲンサイ、
栗、セリ、全国二位はレタス、梨、ピーマン、白菜、牛蒡、パセリ、蕎麦となって
います。同じく第三位には豚、鶏卵、葱、スイートコーン、ニラ、かぼちゃ、しそ、
春菊、らっきょう、甘藷があります。

茨城県の特産品としてレンコン、干し芋や栗などは承知していましたがこんなに
多くの生産量の高い農産物があるとは知りませんでした。茨城県は長い海岸線が
あるため漁業が盛んなのではと思っておりましたが、あまり大きな漁港も無く、
漁獲量ランキングでは全国14位です。北海道がダントツの一位で、銚子漁港が
ある千葉県は26位です。

講義の中では、シラス、鯵、ギス、タコ、深海魚のイラコアナゴ、カンテンゲンゲ、
大島桜の葉を使った商品開発の事例が報告されました。タコを使ったタコ飯や
タコパエリアを作る際は、タコとご飯を一緒に煮ると生臭くなるので別々に煮ることや、
ギスのさつま揚げはギスだけでは固まらず冷凍すり身を混ぜるなど、いづれも
興味ある商品開発です。

今年の秋に、日本美術院を開いた岡倉天心の生涯を描いた映画「天心」が
公開されます。公開後は茨城県への観光客が増えることを関係者は期待して
いますが、観光客に茨城県の魅力を伝える商品の開発が必要です。茨城県には
全国的に特に人気のある特産品やお土産品がありません。水戸羊羹、納豆、
アンコウ料理などまだまだ全国的にはマイナーです。このような講座をきっかけに
優れた商品が開発されることを期待しています。


日本の物価

2013-04-26 21:55:08 | 経済

最近の安倍首相の政策では女性の活躍を掲げ、社会のあらゆる分野で女性が
指導的地位に占める割合を2020年までに30%以上にするため、経済3団体に
「役員に一人は女性を登用して欲しい」と言うことや、育児休暇の上限を3年まで
拡大する様要請しています。

日本経済の最大の問題はデフレでは無く生産年齢人口の減少なので、特に
労働参加率が低い女性の就職率の向上が必要です。安倍首相もこれは理解して
いるようで、出産後離職することが多い女性が復職出来るよう、公務員に認められて
いる「育児休暇3年」を企業も認めるよう要請しています。このような方針は従来
なかったもので評価されます。但し、これはあくまで政府から産業界への要求に
留まり法制化されたものではないため、どこまで実行されるか不明です。

安倍首相のアベノミクスの経済政策ではインフレターゲットと言う目標を定めて
2年後までに物価上昇を2%まで高めていくと言っています。物価上昇は需要の
増加や人件費の上昇の結果として現れてくるものであり、物価上昇を政策として
掲げることはやるべきではありません。日本の物価は誰でも承知している通り、
諸外国と比べ高い水準にあります。これ以上物価をあげることなど論外です。

U-Tubeに世界の物価比較を取り上げた動画がありました。5ドルでどれだけ買えるか
と言う物価比較です。
この動画の物価比較を一覧表にしたものが以下の通りです。
各国の物価が全て網羅されてはおりませんが、これでもある程度の推測はつきます。
為替の変動もあり正確な比較はできませんが、傾向がわかります。この中でビックマックは
アメリカより日本が安いことに驚きましたが、他は殆ど米国が安いようです。特にコメの
価格は信じられないほどの価格差があります。今の日本で必要なのは物価を下げる
ことです。

How much food can you buy for $5 around the world ?

  国名

 バナナ

  珈琲

Big Mac

  米

 馬鈴薯

  卵

 牛挽肉

 ビール

 米国

  3.8

 0.36

 1.15

  3.2

  3.5

  34

  0.7

   4

 英国

 

 

 

 

  2.5

 

  1.0

   2

 中国

 

 

 

  5.4

 

   57

  0.4

  12

 仏国

  2.3

 0.45

 

 

 

 

  0.3

 

 豪州

  1.4

 

 1.0

 

 

 

 

 

 哀提伯

 11.4

 

 

 

 14.1

 

 

 

 瑞典

 

 0.65

 0.65

 

 

   15

 

 

 印度

 

 0.68

 

 

 

 

 

 

 加奈陀

 

 

 

 

 

   19

 

 

 伊太利

 

 0.23

 

 

 

 

 

 

亜弗掩坦

 

 

 

  6.4

 

 

 

 

 露西亜

 

 

  2.0

 

 

 

 

 

 日本

 

 

  1.5

  0.9

 

 

 

   1

 単位

  kg

   kg

   個

  Kg

   kg

   個

   Kg

   本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








漢字表記の国は以下の通りです。

 米国

 英国

 中国

 亜弗掩坦

  豪州

 印度

 瑞典

 アメリカ

 イギリス

 中国

アフガニスタン

 オーストラリア

 インド

 スエーデン

 仏国

 加奈陀

 伊太利

 露西亜

 哀提伯

   

 フランス

 カナダ

 イタリア

 ロシア

 エチオペア

   

U-Tubeのこの動画は下記をクリックして下さい。

How much food can you buy for $5?

 

 


インフレターゲット

2013-04-02 22:33:58 | 経済

今、安倍首相のアベノミクスが国会の予算委員会で討議されている。与党も野党も
この2%インフレターゲットが実現可能かどうかと言うようなナンセンスな議論が
行われている。マスメディアも安倍首相と黒田日銀総裁が主張する2%のインフレ
ターゲットを擁護する論調が多い。これまでデフレ脱却の為にインフレターゲットを
設定しそれを行った国家はない。物価上昇を目指すことなどあってはならぬことである。
今後、消費税が8%、10%と上昇し、円安が進めば近いうちに物価は2%をはるかに
超えて上昇する。最悪の事態ではハイパーインフレも全くなしとは言えない。

日本の物価は先進国の中でも高いことを忘れてはいけない。ここ20年間に
政府は
経済成長に殆ど効果のなかった財政出動を行ったため、政府と地方自治体を
合わせ
1、000兆円にも及ぶ借金を増加させた。安倍首相のアベノミクスはこの借金を
インフレにより実質的に低下させるためにこのインフレターゲットを設定したとしか思えない。
確かに借金の実質的な減少には効果がある。しかし一般国民にとって何らメリットはない。
一部の大企業は賃金増額を決めているが、大部分はボーナスなどの一時金の増加に
留まりベースアップを行う企業は殆どない。

年金生活者はさらなる困難に遭遇する。確かに、公的年金の給付金額の実質価値を
維持するため物価スライド制を導入しており、物価の変動に応じて年金額を改定する
ことになっている。しかし、これにはタイムラグがあり物価の変動に速やかに対応出来ない。

安倍首相が行うべき政策は、インフレターゲットではなく所得増加政策である。当時とは
状況が異なるが、見習うべきは池田内閣の「国民所得倍増計画」ではなかろうか。この
計画は、道路、鉄道、工業用地など産業基盤の公共投資を軸にし、社会福祉の増進を
行うことにより年率7.2%の経済成長を想定し、計画期間の1961年から70年の間の
実績は10.9%の成長率となった。国民1人当りの消費支出は10年で2.3倍にもなった
のである。今までと同様に道路やハコモノなどへの財政出動は経済成長にあまり寄与しないが、
賃金上昇が可能となる新事業の創出、技術革新、生産性向上、新エネルギー開発などへの
投資は経済成長を牽引する。

 物価上昇は需給のバランスによって結果的に決められるものであり、目標とするものでは
ない。賃金上昇があれば需要が増加し物価は上昇する。これが自然な経済成長である


安倍首相の経済政策

2013-03-02 20:55:03 | 経済

安倍首相による「アベノミクス」と称する経済政策が株価上昇や
円安を実現させたとマスコミなどが報じています。安倍首相自身は
一度も自ら「アベノミクス」などと言ったことはないと言う事ですが、
特に斬新な特徴のある経済政策とも思われず、アベノミクスなどと
マスコミが喧伝するのはおこがましいと言う気がします。安倍首相は
日銀に強要して2%のインフレターゲットを定めましたが、物価が
上昇して有利になるのは政府や企業の借金の返済ぐらいで国民に
とって得になることは何もありません。物価が上昇して賃金も
上がらず景気が後退するスタグフレーションにはならないと政府や
一部の経済学者が主張しておりますが、保証はありません。

昨年、スイスの銀行大手UBSが発表した世界72都市の物価
ランキングではノルウェ-の首都オスロが1位となり、スイスの
チューリヒが2位、東京が3位となりました。4位以下は、ジュネーブ、
コペンハーゲン、ニューヨーク、ルクセンブルグ、ストックホルム、
カラカス、10位ロンドンと続いています。別な時期では東京が1位、
大阪が2位と言う報告もあります。平均賃金の高さでは、チューリヒが
トップとなり、2位がジュネーブ、3位はコペンハーゲンと続き、
東京は8位となりました。各国の物価は為替などの要因により
変動するのでこれらが全て実態を表しているとは言えません。

世界の中でも物価が高く、平均賃金はそれほどでもない都市を
持つ日本が、更に2%のインフレターゲットを目標にして物価を
上昇させることなどもっての外です。非常識です。今の日本の
物価を少なくてもニューヨーク並かそれ以下にすべきと思います。
世界的に物価の高い日本が更に物価が上昇したら日本経済は
破綻します。古来より、物価が形成される要因は需要と供給の
バランスです。需要が適切に増加する政策を実行することが今、
政府に求められています。

少し古いデータですが、2005年8月に国立国会図書館が公表した
情報によると、現金、銀行預金、郵便貯金、有価証券、投資信託、
株式、保険などの家計金融資産は1、400兆円と報告されています。
最近ではこれが1、500兆円になったと言われております。一方、
企業の内部留保は2012年で267兆円以上まで増えています。
これらの資産を如何に消費や設備投資に振り向けるようにさせる
ことが、直ちにやらなければならない政府の課題です。企業の
生産性を向上させ、市場競争力を高め、賃金を上昇させるような
政策を、政府は実行すべきです。

 


日本のエネルギー事情・資源大国への道

2013-02-13 21:44:19 | 経済

シェールガス
世界のエネルギー地図が変わると言われる米国のシェールガスが脚光を浴びています。
シェール革命で米国は2017年までに石油・ガスの生産量が世界最大となる見込みで、
日欧などの消費国が中東やロシアに資源を依存する体制が変わるうえ、安全保障から
企業戦略まで幅広い影響を及ぼすと見られております。国際エネルギー機関(IEA)は
米国が2015年に天然ガスでロシアを、2017年に原油でサウジアラビアを抜き、世界
最大の生産国になるとの見通しをまとめています。

本来米国は、自由貿易協定(FTA)締結国以外にシエールガスの供給を認めておりません
でしたが、今年、日本への輸出も認可するようです。これにより米国から日本への輸出が
開始されるのは2017年前後で、それまでには関連施設の建設など巨額の投資も必要です。
ただ輸送コストを含めても現在のLNG輸入価格より大幅に安くなるシェールガスを調達
出来れば電力料金の抑制や貿易収支の改善に多大な期待が出来ます。

 メタンハイドレート
一方でいずれ日本が産油国になる日が来ると言われております。日本近海に存在する
メタンハイドレートが石油に代わる有力なエネルギー資源となると見られています。

 メタンハイドレートは最近、北海道網走市沖のオホーツク海と、秋田、山形、新潟各県沖の
日本海の海底で発見されております。いずれも沖合30~50キロ程度、日本の排他的経済
水域(EEZ)の範囲で、一部を掘り出して回収しました。さらに兵庫県から島根県にかけての
日本海沖でも存在を示す証拠を確認しており、調査の中心メンバーの松本良・明治大特任
教授は「こうした場所はたくさんあると考えてよい」と述べ、日本海やオホーツク海の海底に
広く眠っている可能性を示しました。埋蔵量は約100兆立方メートル、日本の天然ガス使用量の
100年分に匹敵する量です。日本からのエネルギー資源の輸出も夢ではなくなるかもしれません。

藻類
更に藻からエネルギーを採取する研究が続けられております。現在中近東やロシアで産出
されて
いる原油は藻類が長い年月を経て作り出したものであるとの定説があります。石油の
代替資源として
この藻類が世界各国で研究されており、米国では既に1、000億円がこの
ために投資されている
そうです。日本でも筑波大学等を中心に研究が続けられています。
現在注目を浴びている藻類は、
ボトリオコックス、オーランチオキトリウム、榎本藻などがあり、
これらを更に品種改良して安価に
エネルギー源として利用する研究が行われております。

オーランチオキトリウムの場合は、年間1haの面積当り10、000トンのオイルを作ることが
出来ます。
現在日本の原油輸入量は年間2億トンなので、2万ヘクタールの土地があれば
この量の生産が可能と
なります。この面積は日本の耕作放棄地の僅か5%です。コストも
最終的には0.5円/Lが可能となる
そうです 日本がいち早くこの藻類の実用化に成功すれば
原油輸入は不要となり、原発もいらず安価な燃料を
使用した火力発電で十分となります。
航空機、自動車などの燃料にも使用され、プラスチックや衣料などの
生産も出来ます。
航空機や船舶の燃料は電気では無理で液体燃料が必要です。経常収支の大幅な改善も
期待出来る夢のエネルギーです。原発を温存する為に様々な
ことを画策するより、この
新エネルギーの開発に多くの資源を投入することが望まれます。


デフレの原因

2012-12-22 12:29:10 | 経済

12月19日の朝日新聞の「経済気象台」欄に重要なことが書かれている。
内容を要約すると以下の通り。

ー quote ー

今日の日本では思い切った金融緩和策によってデフレ退治をしようという対処法が
書かれているが、これはデフレの正体を誤謬したもので、有害無益だ。日本のデフレは
1998年あたりから始まり、以来14年間で消費者物価は3.6%の下落に留まり安定して
いたのに対し資本や労働と言う生産要素の価格を示すGDPデフレーターは17%下落
している。この間、資本の取り分である経常利益は63%増加したのに対し、労働の取り分、
雇用者報酬が12%も下落したのが大きい。輸出は円高でも25%拡大したのに対し、
国内民間需要は9%減少した。これはデフレのスパイラルではない。企業が競争力を
確保するために人件費を圧縮し、これが個人需要の大きな減退をもたらした。つまり、
金融緩和が不十分で流動性が足りず、円高でデフレになったのではなく、大幅な賃金
カットを進めたところにデフレの正体がある。』

ー unquote ー

個人消費の減少は賃金カットだけではなく、労働環境の激変、即ち、正規雇用者の大幅な
減少により、国民全体の可処分所得が減り、消費性向が低下したことが原因である。然るに、
経団連は「今後、更なる人件費のカットを行う」と言明している。これでは益々、個人消費が
減少し景気の更なる低迷を招く。つまりは巡り巡って企業の経営は悪化する。こんな単純な
ことが分からぬ企業人が増えたことが嘆かわしい。更に比較的消費行動につながる資産を
持つ高齢者は、不透明な将来を危惧してものを買うことはしない。政治に対する閉塞感も
デフレの一因である。

自民党安倍総裁は「日本銀行の輪転機をグルグル回してお札を刷らせ 大胆な金融緩和を
無制限で行う」、「2%のインフレターゲット」などとしきりに公言しているが、この方法ではデフレ
対策にはならない。金融緩和しても需要が低迷しているので企業は銀行から資金を借り入れ
設備投資をすることはない。自民党の新政権は有識者の意見を取り入れ政策を実行すべき
である。


技術立国日本の危機

2012-03-17 16:41:22 | 経済

最近の日本の経済的優位性は至る所で揺らいでいます。世界第二位の
経済規模を誇った日本は中国に追いつかれ
三位となりました。昨年の
自動車販売量は復活したGMに次いでフォルクスワーゲンが第二位と
なり嘗て首位だったトヨタは第三位に
転落しました。太陽電池生産では
2007年にシャープを抜いてドイツのQセルズが世界首位となりその後、
中国の
サンテックパワーが世界一となりました。1991年当時世界シェア
No.1 だった
半導体DRAMメーカーのエルピーダメモリは会社更生法を
申請しています。

圧倒的な競争力を持っていた日本の液晶TVメーカーは韓国メーカーに
対抗出来ずほぼ全ての日本液晶TVメーカーが
撤退か縮小を検討中です。
2010年度の携帯電話器出荷数は1位ノキア(フインランド)、2位サムスン
(韓国)、3位LG
(韓国)、4位ZTE(中国)でしたが、国別生産量では現在
中国が世界一で、日本メーカーの出る幕はありません。

革新的な技術開発力が落ちています。円高などの企業努力を超えた要因も
あり日本企業の著しい地位低下が見られます。
「貧すれば鈍す」の言葉通り
様々な分野で企業の質の低下が見られます。その究極の姿があの福島第
一原発事故に
他なりません。

12年程使用したエアコンが壊れ先日近所の電器店に修理を依頼しました。
原因はサーキットの故障で、このサーキットを
取り替えることにしましたが、
メーカーからの回答は、この部品は生産中止となり販売されていない、
とのことで修理は
出来ずこのエアコンは只のゴミとなりました。

5日前にデジタル一眼レフカメラの電池が充電出来ず、名門メーカーである
カメラ会社へ問合せをしました。担当者から
故障の原因を調べるので電池と
充電器を送って欲しいと云われました。調べて直らない場合はどうするのか
尋ねたら、
電池は消耗品なので補償は出来ず新品を買って欲しいと云われ
ました。この電池を買ったのは昨年の6月なのでまだ
1年も使っておらず、
名門メーカーがこんな不良品を販売してこの対応では会社の名が廃る、と
言って電話を切りました。

3年前に、7年間使用していたパソコンが壊れメーカーに問合せたところ、
担当者からパソコンの寿命は5年です、修理を
しても修理代が相当高額に
なるので新品を買った方が宜しいと思います、と云われました。19万円で
買ったデスクトップの
パソコンの寿命が5年とはなかなか納得が出来ません
でしたが、結局新しく買い換えました。

昨年5月に、車のカーナビのソフトが古いので、最新の地図情報が入った
DVDを買おうとして大手自動車部品販売店に
行きました。担当者はカーナビを
見て、随分古いですね、この機種に使用出来るDVDは現在ありません、
12年間使用して
いると話したら、そんなに長く使っているのですか、奇跡
ですね、と云われました。

高額の製品が数年から10年程度で壊れ又は部品の製造が中止になるのは、
日本が誇ったこだわりのモノ作り精神が
失われている事の証明です。メーカーは
製品が長期間使われたら販売が伸びず業績に影響します。しかし技術開発力で

新製品を次々と生み出し新たな需要を起こして業容を拡大することが本来の企業の
姿です。マイナーモデルチェンジで新製品を出し、在来品の生産を中止したり、
部品の生産を止めて販売増を狙うことなど姑息な手段を使ってはなりません。

最近の企業は技術力、技術
開発力、販売力、顧客対応力など相当劣化していると
思わざるをえません。技術力の低下は経済力の低下となり、更には国力の低下と
なります。このスパイラルの下では、
これからも福島原発事故の様な過酷な災害が
発生する事態が続くものと懸念されます。