アンコウ物語

徒然なるままに

東京都議選結果

2017-07-03 12:39:26 | 政治


祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響き有り 沙羅双樹の花の色

盛者必衰の断りをあらはす おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し

猛きものも終には滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ

 

今回の東京都議選の結果を観て多くの人がこの平家物語の一節を思い出したことだろう。成るべくして成った結果と言える。

 

東京都議会の勢力分布は変わったが国会議員の実態は変わらず直ちに急激な政治変化は現れないと思われる。
しかるに現政権の体質が変わらなければいずれ現政権に国民の鉄槌がくだされる。国民が選んだ国会議員の
資質を論うことには抵抗があるがあまりにも現政権は政治家としての能力に悖る。以下は現政権と国会議員の総括。

 

・    現政権はあまりにも嘘をつく。誰でも判断が付くようなことでも黒を白といいくるめる。これほど国民を
       愚弄することなどあり得ない。不誠実な説明で、これで国民が理解したと思っているなら、あまりにも知能指数が低い。

・    現政権の閣僚は品格がない。官房長官は毎回木で鼻をくくったような説明しかしない。ユーモアのセンスに欠ける。

       人情味がない。自民党幹事長は政治家として不向き。風を読めないし正常な判断力がない。副総理は、国会議員は国民の付託を

       受けて政策を実行する、ことの意味が分かっていない。国民に寄り添っていない。他の閣僚も似たり寄ったり。

・    2017年5月に行われた37ヶ国、4万人の調査で、信頼できるリーダーの順位が発表された。
      1位 ドイツメルケル首相  2位 中国習近平国家主席 3位 ロシアプーチン大統領 4位 アメリカトランプ大統領。

   長年信頼の厚かったアメリカの指導者がトランプになると習近平よりも信頼されなくなった。日本の現首相の結果は不明。

       トランプ大統領に対しては、75%が傲慢、65%が不寛容、62%が危険 と考えているとの結果が出た。日本国民が

       持つ現首相への印象はトランプに対するイメージとほぼ同じ。(現首相から「印象操作」だと苦情が出るかもしれない。)

・    多くの自民党議員の国会議員としての資質が驚く程、ない。政治資金の扱いなどある種の裏社会とまごうばかり。

       国会議員である前に、社会人としての常識に欠ける。

 

現政権は謙虚に体質を変換し、信頼を回復せよ。再起せよ。


更なる物価上昇

2015-07-01 22:26:45 | 政治

先日、庭に散水するため池から水を汲み揚げるポンプが動かなくなった。ポンプメーカーの営業所に
電話して修理を依頼した。担当者が来て調べた結果、モーターが焼きついていて使用不可と判定された。
このポンプは8年間池から水を揚げ続けて呉れたがどうやら寿命が尽きたようだ。新しいポンプを買うこと
にして、営業所の担当者に見積もりを依頼したところ、ほぼ同じ型のポンプが税込据付費用を含めて
110,000円と言われた。値引き交渉をして最終的に90,000円で設置して貰う事になった。8年前に
購入した時の価格は50,000円だった。8年間で8割の値上げである。

今年の5月29日に総務省が発表した今年4月のCPI(全国消費者物価指数)は2010年と比べ103.3%と
報告されている。2014年と比べると0.3%の上昇とのこと。しかし消費税引き上げによる物価上昇を差し引くと
横ばいとなると言う。しかし昨今の物価上昇を考えるとこの数字を信じるものはいないだろう。

ここ数年間で凡ゆる物価が上昇している。食品、ガソリン、住宅、工賃、ゴルフグリーンフィ、運賃、レストランなど
軒並み価格が上がっている。日本郵便も宅配便サービス「ゆうパック」を今年
81日より値上げすると発表して
いる。これらを考えると総務省が出しているCPIは実態を反映する仕組みとはなっていない。CPIを構成する
品目が生活者が使用する物品・サービスとかけ離れていると思わざるを得ない。ステルスインフレといわれる
所以である。

これと同じことが原子力規制委員会が報告している放射線モニタリング情報でも行われている。原子力規制
委員会は各地の放射線量を毎日ラジオや新聞で提示しているが、これも実態を反映していない。これはモニタ
リングポストからのデータを機械的に提供しているからで、モニタリングポストが設置された場所だけの線量データ
だけでは正しい情報提供とはならない。

総務省も原子力規制委員会も正しく実態を反映できる仕組みを構築すべきである。恐らくこれらのデータを
提供している両者の担当者達も実態とかけ離れていると認識しているに違いない。日銀は相変わらず2%の
物価上昇の実現まで諸政策を実行していくと言っているがとんでもない話である。既に2%を大きく超えている。




物価上昇

2014-12-06 21:54:10 | 政治

 安倍内閣ではデフレによる長期経済不振からの立て直しのためにアベノミクスと称する
経済再生政策を掲げ
2%の物価上昇を目指して諸政策を進めている。安倍首相は
アベノミクス効果で、円安、株価上昇と言う成果を強調している。
2014年は円安が進み、
8%への消費税増税と相まって、物価が限りなく上昇している。インフレ誘導推進者に
とって思惑通りの結果が出ていると考えていると思われる。しかし、そもそもデフレに
よる経済不振と言う捉え方がおかしいし納得できない。過去
20年の物価推移に思いを
至れば、デフレなどありえないと多くの消費者は考えている。下記は
1994年から2012
までの幾つかの商品の価格推移と人件費の変化である。

サラリーマンの収入を見れば正しくデフレと言えるが、多くの物価はデフレどころか相当
上昇している。ここに表示されていない商品の中には価格が下がっていることがあるかも
しれない。しかし生活者の立場からすれば、収入は下がり物価は上昇したとの思いが
強い。自動車任意保険料などは、年々車両価格が下がるにも関わらず保険料は毎年
上昇している。
2014年度の物価は未だ統計上示されていないが、2012年と比べ大きく
上昇している。
2%の物価上昇目標などもっての外である。

国の債務残高が1、000兆円を超えて財政破綻を避けるためのインフレ誘導を考えて
いるのであれば、まず大幅な賃金上昇を行うべきである。国内消費の増加を目指した
政策を行うことが今、一番必要とされる。

 

  1. ガソリン価格 (レギュラー 1L当たり)(総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   124

    2001   108

    2012   146

    2008   182 (リーマンショック)(参考)

     

  2. 米価 (5kgs当りの小売価格) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   3,081

    2001   1,991

    2012   2,223

     

  3. スーツ (一着) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   46,160

    2001   46,070

    2012   68,402

 

 4. ビール (350ML缶) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   327

    2001   205

    2012   192

 

 5 . 新書価格 (1冊) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   580

    2001   729

    2012   794

    

 6. 電気料金 (1KWH) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   17.91

    2001   17.23

    2012   18.21

  

 7. 鰻蒲焼 (100g 当たり) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   618

    2001   536

    2012  1,600

  

 8. 民営家賃 (37.96㎡当たり) (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   97,799円

    2001   91,857

    2012  101,618

 

 9. 国立大学授業料 (総務省統計局小売物価統計調査)

    1994   352,825

    2001   460,552

    2012   535,800

   

 10. 私立大学授業料 (総務省統計局小売物価統計調査)  

    1994   480,403

    2001   630,562

    2012   725,463

 

 11. サリーマン年収 (税込) (厚労省賃金構造基本統計調査)

    1994   4,865,600

    2001   5,057,100    (1965年以降最高額)

    2012   4,733,600

 

 12. 大卒初任給 (厚労省賃金構造基本統計調査)

    1994  164,926

    2001  183,831

    2012  201,800

 


ロシアのクリミア半島併合

2014-04-18 21:01:42 | 政治

 ロシアによるクリミア半島併合についてのG8メンバー、特にアメリカの対応はお粗末と言える。
アメリカホワイトハウスは、欧米の主要7カ国の首脳がロシアによるクリミア半島併合に対抗し、
主要8ヵ国会議(G8)へのロシアの参加を停止すると発表した。今年6月にロシア南部ソチで
開催される予定だったG8サミットは中止が決まった、と報道されている。一方で、日本の安倍
首相はクリミア半島問題についてG8からロシアを除外することは適切ではないと主張している。
これは正しい。ドイツのメルケル首相も安倍首相の主張に賛意を示している。尤も安倍首相の
主張は高邁な判断から出たものではなく、現在の日本が置かれた立場を考慮しての我が身の
固有事情からの判断ではあるが。

他方では、安倍首相の靖国参拝に対する批判から、中国と韓国は日本の首脳との会談を
拒否し続けている。深刻な問題が起こったなら、その時こそ関係当事国は顔を合わせて
真剣に協議すべきである。相手国が意に沿わない態度や主張をしたのなら、その時こそ
両者が会ってその問題を討議し解決すべきである。アメリカ、中国、韓国もまるで子供の
喧嘩並みの対応であまりにも思考のレベルが低い。まともな指導者の登場が望まれる。


ヘレン・ミアーズ著「アメリカの鏡・日本」

2014-03-02 23:06:03 | 政治

1931年の米軍事予算はもう少しで日本の三倍を超えるところまできていた。満州事変に関する
公式報告が正しければ、この年日本は1億2千2百万ドルに満たない軍事予算で世界征服を開始し、
一方、私たちは国内の軍隊を満足させるだけで6億6千7百万ドルを必要としていた。

1941年までに、日本の年間軍事予算費は13億3千4百万ドルに達しているが、アメリカの「国防」
支出は60億ドルにまでふくらみつつあった。

日米関係が戦争に向かって急速に悪化していた1941年11月中旬、両国政府はそれぞれの議会に
軍事予算の増額を求めている。ルーズベルト大統領は70億ドルの増額を、日本政府は9億8千万ドルの
増額を要請した。

1937年7月の「日華事変」からパールハーバーまでの4年3ヶ月の間に、日本は中国と満州の
軍事・防衛
活動に62億5千万ドルを使った。1940年7月から1941年3月までに、アメリカは
1、610億ドルをつかって
いる。満州事変から降伏まで、14年間の日本の総軍事予算は480億ドルを
下回っている。戦争の全期間を
通じて私たちが支出した軍事費は3、300億ドルにのぼっているのだ。


鉄鋼生産だけとってみても、十分状況がわかる。1939年、アメリカは5,250万トンの鉄を生産していた。
生産はさらに増大し、1942年には8、800万トンに達した。日本の生産量は1934年333万4、000トン
である。


「アメリカの鏡・日本」に太平洋戦争当時の日本とアメリカの軍事費の比較や国力の違いが詳しく書かれている。
この本での日米双方の軍事費の総額と年度にいくつかの疑問はあるが、何れにせよこの両国の国力の大きな
違いがよくわかる。上記のように工業、軍事国家としての日本はドイツや
アメリカにくらべてピグミー程度のもの
(著者の表現)であるにも拘らず、何故日本は戦争を始めたのか? 
この本の著者もこの疑問を解明する
ためにこの「アメリカの鏡・日本」を著した。


「アメリカの鏡・日本」(角川書店発行)の著者、ヘレン・ミアーズ(Helen Mears)(1900~1989)は
この本を太平洋戦争終戦の3年後の1948年に著した。彼女は1920年代から日米が開戦する直前まで
二度にわたって中国と日本を訪れ、東洋学を研究、1946年に連合国最高司令官総司令部の顧問機関
「労働諮問委員会」のメンバーとして来日した。

この本が発行された年に日本での翻訳・出版をするため翻訳家はGHQに嘆願書を添えて出版の許可を
求めたが却下された。
この本では太平洋戦争における連合国側の責任も記述している。1946年から
1948年に行われた極東国際
軍事裁判との関係からGHQとしては到底許可することは出来なかったものと
思われる。


現在の日本の中国・韓国との対立を考える上で、この著作は非常に示唆に富んだ内容となっている
どのようにして国と国とが戦争に至るのか。
著者は欧米列強のアフリカ・アジア・南アメリカでの植民地
政策と日本の満州進出にいかほどの
相違があるのか疑問を投げかけている。欧米列強は植民地政策を
通じて支配、搾取を行って来たが、日本は現地政府の独立支援(欧米列強は傀儡政権と非難したが
植民地政策を続けた国々が言える話ではない)
や治外法権の返上を行っていることを考えると、
連合国側に日本を裁く権利はないのではないかと指摘している。
とは言え、勿論、日本軍がアジアや
中国で行った残虐行為について許しているものではない。


これまで日華事変から太平洋戦争開戦に至るまでの状況に多くの疑問があったがこの著作はその多くに
回答を与えている。


在外公館の職員の在勤基本手当

2014-01-29 21:25:09 | 政治

衆議院議員 河野太郎さんの2014年1月28日のメールマガジンに外務省が
行ったトンデモナイ事柄を指摘した記事が書かれている。外務省在外公館に
勤務する職員の給与の決め方である。

  ー Quote  ー

 今回の改定では、世界の182の都市の生計費を調べて指数化した
ものを参考に、在外公館の職員の在勤基本手当を決めている。

その指数は

   100.0 日本
   101.5 アジア
   135.6 大洋州
   111.1 北米
   107.7 中南米
   117.2 欧州
   100.2 中東
   100.2 アフリカ

世界の中で日本が一番生計費が安いというデータで在勤基本手当を決めるのか。
詳細の数値を出せと言っても調査会社との契約上、個別の数値は公開できないという。
部会終了後、何人もの議員から、あれは問題だよねと言われるが、通してからそう
いわれても。さすがに自民党の国対もこれは問題だと認識している。

  ー Unquote ー

こんな馬鹿な話はない。日本が世界で一番物価が安いなど誰が信じるのか。こんな
出鱈目な指数で外務省在外公館職員の給与を決めるなど、あきれてものが言えない。
いい加減な指数を使って給与を決めることなど一種の詐欺行為であり犯罪ではないか。
民間企業ではありえないことだ。税金を払っている国民を完全に馬鹿にしている。

こんなことは氷山の一角で、役人は他にも好きな様に税金を思うがままに
使っていると多くの国民は思っている。消費税を増やすことなどもっての他で、
徹底した税金の無駄遣い防止を先にやる必要がある。日本国民はあまり税金の
使いみちを追求する
ことをしない。税金で生計を維持している一部の連中にとって
こんなに良い国民はいないのではないか。


ネルソン・マンデラ元大統領

2013-12-07 17:08:06 | 政治

 12月5日に南アフリカ元大統領ネルソン・マンデラ氏が亡くなった。南アフリカには5回
訪問しているので身近なニュースとして感じられた。南アフリカへの最初の訪問は今から
43年前の1970年。この時はアパルトヘイトが行われており、非白人は厳しい状況に
置かれていた。因みにアパルトヘイトとはアフリカーンス語で「隔離」と言う意味である。

1994年4月に南アフリカ最初の民主選挙が行われ、黒人の初代大統領ネルソン
マンデラ氏が誕生するまで、アパルトヘイトが続き黒人、カラードと呼ばれる混血、
日本人を除く中国人・韓国人などアジア人等非白人は職業、居住地、滞在場所、
他数多くの差別があり自由を奪われていた事は衆知のとおり。非白人の中で日本人
のみが日本と南アフリカとの緊密な経済関係から名誉白人と呼ばれ白人と同じ処遇を
受けていた。これは
1970年代に入り、、世界がアパルトヘイト廃止を主張し、国際連合や
米国などが南アフリカ制裁を開始したが、日本は南アフリカとの関係を続け南アフリカの
最大の貿易相手国となり名誉白人の地位を与えられたことによる。これに対し国連
安保理では日本非難決議が採択されている。

当時はパス法と言う法律があり、白人以外のこれらの人種は全てパスと称する
身分証明者を常時携帯する事が義務づけられた。このパスには指定された居留地の
住所の他、勤務許可地、勤務許可時間が記載され、指定された場所、時間以外の
ところにいた場合直ちに逮捕された。
パス法以外に、人種別に居住地域を定めた
「集団地域法」、アフリカ人の土地所有を国土の13%に限定する「原住民土地法」、
非熟練の単純労働者に限定する為のアフリカ人への独自の教育を行なう
「バンツー教育法」、
逮捕状なしで90日(後に無期限に変更)拘禁出来る法律、白人と非白人の性交渉を
禁じた「背徳法」、白人と非白人の結婚を禁止する「雑
婚禁止法」、公衆トイレやバスを
人種別に利用させる「分離施設法
」などの法律があった。これらの法律は1991年まで
続いた。

1970年の最初の南アフリカ訪問時はケープタウン、ダーバン、ヨハネスブルグなどに
3週間滞在した。ヨハネスブルグのホテルの近くの中華料理店でよく食事をしたが、
ここの店主は台湾から来た中国人女性で人種差別の色々な話を聞かせて貰った。
非白人の職業は掃除夫、メイド、レストランの皿洗い、ガードマン、工場労働者、鉱山の
採掘工、ゴミ収集作業などごく限られた職種のみに限定されていた。

バスは白人、非白人共一緒に乗ることが出来たが、バスの全体の半分の前部側の
椅子席には「White Only」と表示されており非白人は座れなかった。バスの停留所にも
同じように「White Only」と書かれたベンチがあった。街のレストランの殆どが日本人を
除く非白人の入店を拒否していた。中華料理店主の中国人女性は街に住むことが出来ず
非白人に指定された居留地から毎日店に通っていた。


2005年1月に国際会議に参加する為南アフリカを再度訪問したが、この時マンデラ氏が
27年間収容されていたケープタウン沖のロベン島の旧刑務所を見学した。南アフリカには
以前4回訪問しているが、2005年の訪問は35年振りで5回目だった。43年前は刑務所が
使用されていたため当然この島には囚人、看守以外は上陸禁止だった為2005年の訪問の
際初めて見学した。

ロベン島はケープタウン沖合12キロにある黒人政治犯が収容されていた旧刑務所がある島で
1999年にユネスコの世界遺産に登録されている。ロベン島とケープタウンの間の海峡には強い
潮流があり、たとえ刑務所を脱出しても泳いでケープタウンに辿り着くのは不可能とされる。

刑務所は島の港のすぐ近くにあり刑務所内のガイドは元囚人が行っている。刑務所の建物は全て
囚人達が近くの石切り場から切り出した石を使い、自分達で建築したと言う。マンデラ氏が収容
された部屋は独房棟の4号室で約3畳の広さ、支給品は毛布3枚に50センチ程の高さの食事用の
台と便所用の金属製バケツが一つ。それ以外はベッドも何も無くコンクリートの床の上で寝る。

この島では冬は気温が摂氏5度位まで下がる。寒さを凌ぎながら過酷な環境の中で過ごした。
囚人は非常に厳しい管理下で服役し、雑居房の囚人は就寝する場合、1棟に100人ほどが
2列で同じ方向を向いて寝るよう要求された。寝返りを打つ場合は一番端の囚人が次に寝て
いる囚人の背中をトントンと叩き次々にこれを繰り返し数分後にはまた全員同じ方向を向いて
寝た、とガイドが説明したが本当だろうか?

刑務所内では囚人達がお互いに勉強を続け、読み書きが出来なかった政治犯が大学卒業
レベルまでの学力をつけ釈放後副大統領になったと言う人物もいる。過去10年間の南アフリカ
政府の閣僚はこの刑務所の元囚人が多数を占めるとガイドの説明があった。

前の4回の滞在中はいずれも街の中で非白人を見る機会は少なかったが、2005年の訪問時は
自由に街の中を歩く多くの非白人を見た。しかし、人種差別は表面上なくなったが、長い間行われて
きたアパルトヘイトによる影響は続き貧富の差は今でも改善されていない、と言われている。

 

 


国民の資質

2012-12-04 16:45:10 | 政治

先日、近くの渓谷に紅葉の写真を撮りに行ってきました。暫く写真を撮影しながら
渓谷に沿って歩いていると、紅葉が特に綺麗な所で、高齢の男性が長い棒を使って
モミジの木の枯れ枝を取り除いていました。この辺りの営林署か役場の係員が仕事を
していると思い、「ご苦労様ですね、仕事は大変でしょう」と声をかけました。その男性から、
「仕事ではありません、写真を綺麗に撮るために枯れ枝を取り除いています。」と
言われました。見ると長い棒は釣竿で、その先端に金具をつけて枯れ枝を引っ掛けて
取っていました。

 かなり話し好きの御仁で色々なことを話してくれました。生まれも育ちも日本橋人形町だが、
大手ゼネコン勤務を退職してから、妻がこの渓谷の近くの出身なのでこちらで生活している
ことが多い、紅葉などの写真を撮りに行くときは必ずこの竿を持って行き、これまで京都、
箱根、日光、会津などいろいろな場所で枯れ枝取りをしている、と話しをして呉れました。

 写真についてかなり詳しいようなので、いくつか撮影のポイントを尋ね、教えて貰いました。
カメラの説明を聞くため、この紳士の車に行って見ると、大きなスーツケースのような
カメラケースの中に、ニコンの高級カメラが4台、交換レンズが6個、三脚が4本入って
おりました。もう30年以上写真を撮っているとのことです。年齢を聞いたら74歳でした。

 ボランテアで枯れ枝取りをしながら写真撮影をしているが、最近のアマチュア写真家は
撮影マナーがかなり悪く情けないと嘆いておりました。紅葉の綺麗な場所で枯れ枝取りを
していると、カメラを持ったアマチュア写真家が近くに来て、かなり無礼な言葉で「そこは
邪魔だから早くどいてくれ」と何人もの人に何度も言われたそうです。蒸気機関車の撮影でも、
ベストショットを撮ろうと必死になって他の撮影者を邪魔者扱いをする写真家がかなりいる
そうです。相手に配慮しない、無礼な写真家が増えている、最近は日本人の質が落ちて
いると嘆いておりました。

 「政治とは、国民の考えや行動の反映に過ぎない。どんなに高い理想を掲げても国民が
それについていけなければ、政治は国民のレベルにまで引き下げられる。逆に、国民が
優秀であれば、いくらひどい政治でもいつしか国民のレベルまで引き上げられる。つまり、
国民全体の質がその国の質を決定するのだ。」

 当たり前の事を言っているようですが、これは英国の作家サミュエル・スマイルズ
(Samuel Smiles, 1812年ー1904年)の「自助論」に出てくる言葉です。政治がこんなに
駄目になったのも、国民の資質が劣化したためかもしれません。アマチュア写真家の態度で
国民の資質を判断するのはどうかと思いますが、他にもこのような事象がよく見られます。
もっとましな
世の中にならないかと考えるこの頃です。