アンコウ物語

徒然なるままに

日本の家計貯蓄率の低下

2016-06-04 19:02:31 | 経済

最近の世の中の状況は我々の想像を超えて急速に変化している。新たな事実を示されて
そんなに変わっているのかと驚くことが多い。特に大きな変化は日本の経済力の低下
だろう。中間層の減少、低所得者の増加などが著しい。安倍さんがいくらアベノミクスの
成果を強調しても日本の相対的な地位の低下は否定できない。勿論、安倍さんだけの問題
ではなく過去20年間にこの事態が少しずつ進んでいる。

例えば貯蓄率を見てみよう。従来、主要国の中でも日本の家計貯蓄率は高いと思われていた。
一方消費文明の米国は貯蓄率が相当低いとみなされていたが、これが今や日本より高い。
OECD201511月の統計資料によれば、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、
韓国、日本の主要7か国の中で、1990年の日本の貯蓄率は12%で3位だった。しかし、
13年後の2003年から現在まで、日本は7か国中最下位となった。

日本が最下位になった理由はいくつかあるが、非正規雇用の増加などによる所得水準の
低下もその一つとして挙げられている。収入が低下すれば貯蓄は減少する。又、新規
雇用者の減少、退職者や高齢者の増加もその原因。年金生活では貯蓄は減っていく。
しかし何故か日本と同様高齢化が進んでいるドイツやフランスはあまり大きな変化はない。
高齢者の増加だけでは直接貯蓄率の減少に繋がらない。一方、日本の社会保障は年々改善され
北欧型に近づいている。社会保障の充実は貯蓄率の低下に影響を与えているかもしれない。