2014年11月23日(日) 晴れ
将監小屋→将監峠→山ノ神土→東仙波→焼小屋ノ頭→和名倉山→水場→東仙波→カバアノ頭→山ノ神土→将監峠→将監小屋
今朝は3時頃目が覚めた。テント内は結露もなく快適な一夜を明かす。今日の予定は運が良ければ和名倉への縦走路で朝焼けに染まる富士山を眺めたい。そんな感じで朝飯を作り始めた。メニューは至って簡単で、サトウのご飯で雑炊にした。味付けはカニ雑炊の粉末を鍋に入れてかき混ぜれば出来上がりだ。おまけとして生玉子を落とした。デザートはリンゴ、仕上げはコーヒーでくつろぐ。三ノ瀬から和名倉の日帰りは結構忙しい。しかし、今日は余裕を持って歩けるので途中の気になるピーク、カバアノ頭へも立ち寄ってみたいと思う。今頃の季節は日の出が遅いので、適当な時間に出発することにした。ラジオを聞きながら雑炊を食べたが、昨夜の地震の震源地が長野県北部だと知る。崩壊した家や負傷した方もいるという。被害が大きくなければいいがと出発準備を始めた。改めて山ではラジオが貴重な情報源であることに気付く。これが関東だったらいち早く下山して家族の安否を確認しなければならないところだ。空を見上げれば星がキラキラと輝いていた。吐く息は白く、温かい食べ物が美味しく感じる。他のテントの方が起き出す頃、ザックの中身を点検して、忘れ物がないかを確認した。そして、ヘッドライトを点けて暗闇の中へ歩き出す。
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<寒いけれど、しばらくは日の出を待つ>
将監小屋から将監峠、牛王院平、山ノ神土、そして御殿岩の山腹を巻いて尾根筋に出た。ここはリンノ峰の西側を巻く入口であり、しばらくはここで休憩する。白みかけた空に赤みを帯び、冠雪した富士山の山容を眺めながら日の出を待った。待つことおよそ20分、明るくなりはじめヘッデンを消灯する。そして、頃合いを見計らって出発しようとしているところに、単独の後続者がやって来るのが見えた。その方と話でもしようかと考えたが、先に進んでもどこかで追い抜かれてしまうだろうという事で歩き出した。
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<明るくなって>
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<甲武信、三宝山>
西仙波を過ぎ、東仙波の手前の岩峰にやって来た。ここは360度の展望台だ。奥秩父の山々が一望でき、暗いイメージを持つ和名倉山には似合わない唯一の場所である。思えば山ノ神土から笹が刈られていなかった。2~3年前に訪れた時には、ちゃんと笹刈りがされていたが今日は足元が隠れる程に生い茂る有様だった。
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<西仙波、唐松尾山>
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<和名倉山>
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<東仙波からの展望>
先程の単独の方にはまだ追いつかれていない。ここでお腹を満たすため一服する。サトウのご飯では少々物足りないようだ。腰を下ろして食べていれば、やはり先程の単独の方に追い着かれてしまった。昨夜は将監小屋に泊まったらしい。道理で早いはずだと納得する。和名倉山は初めてだと言うので、迷い易い場所を訪ねられた。今はどうなっているのか不明だが、一応それらしい内容で知ったかぶりをしてしまった。ここでしばらくはのんびりして後を追う事にする。
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<同じく東仙波から>
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<綺麗なダテカンバ林が続く焼小屋ノ頭>
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<奥秩父の山々>
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<しだいに近づく吹上ノ頭と和名倉山>
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<雁峠と南アルプス>
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<八百平>
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<廃道の川又分岐>
ここに大きな道標が設置してあるが、この道は廃道に近い状態だという。分岐の入口には枯れ枝が積まれ通行止めの意思表示をしているようだ。それに川又へは最後の吊り橋が問題だ。老朽化によって渡れる保証がない。今でも三ノ瀬の登山口には「和名倉山で遭難した人を探しています」の張り紙がある。それは2012年9月13日に遭難した方だった。甲斐犬と一緒に行方不明になったが、犬はその40日後に戻って来たという。その遭難がきっかけでこの大きな道標を設置したらしい。当時、遭難は新聞で知ったが、その一週間後に和名倉山を訪れていた。下山の時、将監小屋のオヤジと立ち話をしたことがあったが、改めてオヤジにその話を聞けばどうやらこの川又の道を進んでしまったようだ。遭難した時はこの大きな道標もなかったが、倒木を避けて迷い混んだらしい。
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<水場はここを右へ下るが、帰りは立ち寄ってみたい>
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<千代蔵ノ休場>
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<和名倉山>
今回はやっとの思いで到着したという感じではないが、無事たどり着いてよかった。ここへ来る途中で縦走する方に出会った。何でもバスで丹波から入って、飛龍山を経て将監小屋でテント泊し、今日は二瀬に下るという。その方とほぼ同時に山頂へたどり着いた感じだ。暗くて寒々しい山頂で立ち話をしていれば、もう一人、単独の方が飛び込んで来た。山頂は三人となり、立ち話がはじまる。三人目のこの方は女性で三ノ瀬を6時に出発したというから驚異的なスピードでやって来た様子だった。おまけに夕方から仕事があるからと休憩もそこそこに折り返して行く。
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<二瀬分岐>
往路では、ここで4~5人の方が休憩していたが、あの方達はあの時間にどこからやって来たのか不思議な思いだった。水場に近い平地で幕営した形跡もなかった。それに2年前と比べると、新しく「二瀬」の表示が増えている。もうしばらくすればこちらも赤線になるのだろうかと、勝手な事を考えてしまうほどの道標の数が設置されていた。
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<水場>
帰りは参考の為に水場へ立ち寄ってみた。水量は充分にあり、飲んでみれば軟水だ。将監小屋の水と味がまったく違う。どちらかと言えば小屋は硬水であり、こちらは軟水だと感じた。今日も不足気味の飲料水なので、ありがたくペットボトル一本分を汲む。
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<そ~見つめられると困っちゃう>
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<雁坂小屋も見える>
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<カバアノ頭>
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<霧藻ヶ峰、白岩山、芋ノ木ドッケ>
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<東仙波からカバアノ頭へ>
綺麗なダテカンバ林が続く焼小屋ノ頭で昼飯にした。復路では二人の登山者と行き交う。そのうちの一人が昼ご飯を食べてる間に和名倉の山頂を往復してしまった。3時までには戻りたいということでだいぶ急ぎ足のようだった。こちらは将監小屋へ戻るにも時間を見計りながら帰ることにした。4時頃に戻れば明るいうちに夕飯が食べられ、暗くなったら早目に寝よう。頭の中はそんな算段をしていた。カバアノ頭へは東仙波からの稜線をたどる。眺めれば広々とした風景が広がり、とても清々しい。踏み跡は全く無いが、鹿の道が四方八方に往来している。出来るだけ直線になるような選択で獣道を進む。
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<熊倉山の聖尾根も眺め>
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<東仙波を振り返り>
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<カバアノ頭から竜喰山、大常木山>
カバアノ頭からの展望はそれほどでもなかった。東側と北側は雑木林で眺めが悪く、山頂から数m離れれば雲取山や昨日の飛龍山が眺められた。それでも、西側に広がる和名倉への稜線が綺麗に見える。これで、今日の日程はほぼ終了だ。時間調整しながら将監小屋へ戻ることにしよう。
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<カバアノ頭から雲取山、飛龍山
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<東仙波への戻りしな>
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<東仙波から和名倉山を振り返り>
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<雲が多くなる>
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<昨日歩いた稜線、竜喰山>
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<将監峠>
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<そして、将監小屋に明かりが灯る>
二日間ともとてもいい天気に恵まれた。明日は西御殿岩からご来光を、と考えている。早目に就寝して、午前中には三ノ瀬へ下山したい。お酒を小屋で買い求め、ラジオを聞きながらチビチビする。山はどうしても野菜不足になりがちだが、今回は登山口も近いということでいささか大目に持参した。メニューは麻婆春雨に野菜をたっぷりと入れて今宵のつまみとした。その他にも缶詰類を頂く。ふたを開ければパッと食べられたり、皮をむけば食べられるソーセージ、簡単至極のものが主体である。テントも昨日と同じ、たくさんの方がやって来た。この三連休は賑やかな将監小屋となったが、そろそろ奥秩父の山小屋も小屋閉めする季節だ。明日は今日よりも早く出発する予定なので、早めに横になる。
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