etceterakoの勝手にエトセトラ

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第6回「春のおどり」

2009年04月10日 | OSK日本歌劇団

いまさらUPするのが恥ずかしい感じではございますが・・・。まあ、なんといっても年に一度の「春のおどり」だし、パンフレットを眺めつつアッサリと思い出話をば。

【桜彦翔(はし)る!】

●今年は一部がミュージカル

 こ、これがウワサの北林作品!あの「闇の貴公子」(見たことないけど・・・)を作ったお方なのだそうですね。

 闇の貴公子って、OSKにのめりこむ前から、なぜかタイトルだけは知ってるぞ。どこで知ったか覚えてないけど・・・。それだけ有名ってことですよね。

 この「桜彦翔る」は「走れメロス」の歌劇向けアレンジ版とゆーことで。

「は、走れメロス!あれは・・・太宰様の文章で読むから面白いんであって、ストーリーだけ使うと、単純すぎてどうですかね!」

 と思ったんですがー。
 北林先生、うまい!さすが!
 だいたい、時間が短い(一時間ぐらい)から、この程度のストーリーでないと消化できないもんねえ。一時間という時間に詰め込める限度を、よくわきまえていらっしゃる!!これって結構大事なことだよねぇ。ムリすると、歌劇なのに歌がおろそかになったり、ダンスがなくなって物足りなくなったり、舞台としての満足度をかえって下げちゃうもんね!

 役がアテ書きなのもヨカッタよねーえ。
 桜花さん!!すごい似合うよ、桜彦!!
 正義感一直線(まあ、「愚直」という面もなきにしもあらず・・・なトコロも含めて)の白いヒーロー!こんな桜花さんを待っていました!
 花道をものすごい勢い(本当にスゴイ勢いだった・・・。桜花さん、まさに「疾走」っ!)で突っ走ってくる姿に、どうしてこんなに胸がキュンキュンするの!!

 あの走り方が、役の解釈にかなっているかとか、そういうことはどうでもいいのだ!(ホントかよ!)
 もっとスカして走ったほうがいいのかもしれない(歌劇的には)・・・とか、ちらりとそんなこともアタマをよぎるわけですが、それもまたどうでもいいの!(棚上げ)

 ただただ、弾丸のごとく突っ走ってくる桜花さんにキュンキューン!
 桜花さーーーーん!はやくわたしを助けに来てvv(←イタいなりきり)

 そういえば、布で表現された川を泳いで進む場面、あるじゃないですか。あのときちょうど、桜花さんが進んでくる方角の延長線上の席にいたので、

「桜花さんがこっちに向かってくる!!」

 という事態に、相当きゅんきゅんしてました。困難を越えて走っているとか、親友がタイヘンとか、ストーリーは超どうでもよくなる幸せな瞬間でございましたねえ。
 あらためて、

「うん。歌劇の筋は単純でもいいのだ!スターさんを輝かせる装置になりうるなら、深みなんかなくても、予定調和でも上等っっ」

 という確信を深めてしまったよ!

 でもまあ、ほんっとに単純でオチがミエミエの話だから、一見さんを捕まえて唸らせようと思ったら、もうすこし凝った話のほうがいいかもしれませんねぇ。それって、作家である北林先生のせいじゃなくって、時間の都合ですよね。一時間じゃ、まあこのくらいだよ、っていう。ゼヒまた北林作品を見たいと思いますが、時間をもうすこし差し上げて欲しいと思います。

●ファンタジー

 北林せんせいって、世界観がファンタジィーなんだね。ほんとのファンタジー(ファンタジー文学の舞台化)とかもできるんじゃないの??(やったことある?)

 ・・・先に断っておきますが、わたしがあらゆる活字文化のなかで、いっちばん疎いのがファンタジーなんです。面白いと思う。思うよ??読めばそれなりに楽しむんだけど、なんか決定的に「ファンタジーを読むセンス」が欠落しているらしくって、読んでも、

「ふーん。ファンタジーだね」

 っていう、ほんっとにしょーもない感想しか出てこないのです・・・(まことに情けない)
 魔法とか剣とか動物が空を飛ぶとか、非科学的なモノを楽しむための想像力が、足りないらしいんだよねえ(遠い目)
 動物が空飛んでると、「なっなんで空を飛ぶの!?」って、その発想にビックリして置いて行かれるというか・・・。あああ、なんてセンスがないんせうか!それでも本人としては好きなつもりで、たまーにファンタジー作品に感動したり感心したりするんですが、それについての感想を口に出すと、

「アナタはファンタジーにはコメントしないほうがいいよ」

 って、すごい白い目で見られるんだよね・・・。(トラウマ)
 わたし、わかってないらしいです、ファンタジー。

 はい、そんなわたしが、控えめに発言しますが・・・。
 ファンタジーにありがちな「魔女」が、OSKの娘役が演じるのにピッタリだと思った!

 アリアンローザねえ、あれってわたしが宝塚の座付き作家なら、絶対「魔王(男役)」にして、アリアンローザは魔王の娘とかシモベとか、そういう設定にしちゃうね!だって自立した役割を持った「女」の役だもんね!
 
 OSKのファンタジー路線、だから向いているのでは??
 宝塚では「魔女」っていう敵役は使えないんじゃんね。OSKの独自色だと思うんですが。

 そーいえばフェミニズムには、魔女とか継母とか、「おはなし」に散りばめられたモチーフには、女性に対するある種の偏見(「年を取った女が嫉妬する」とか。)が含まれている・・・みたいな見方があるんじゃなかったですっけ。

 遠い昔に読んだアレは・・・若桑みどりの・・・(検索中)・・・ちくま新書の「お姫様とジェンダー」か。これだな。


※ただし、この本をわたし自身が強く推薦できるかというと微妙。同じ内容でも、もっと別の良書がある気がする。この分野をあんまし読みあさってないので、このぐらいしか紹介できないですが。

 本棚を探したけど見つからんかったです。新刊で買って一度読んだきりだもんねえ。再読してないのにアレですが、いちおうamazonにリンクしとくよ。ココです。

お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)

 えーっと、何が言いたかったかというと、まあ、若桑さんのこの説の「賛否」は置いといて(思想的なことは、ここでは措くよ)、こういう考え方を裏返すと、魔女とかそういう「強い」女性キャラクターというのは、受け身(の抑圧)を背負ったお姫様とちがって、「意志のある女性」なワケで、そういうのはOSKの娘役さんの独自の魅力にすごく合うと思うんですよねぇ。

 だってアリアンローザ、本当にステキだった!すごい素敵な敵役だった!朝香さん、強い役が似合うね!

 企みを持つライバル、ラバーナの高世さん。
 お人好しで囚われの友の瀬戸、桐生さん。

 みんなアテ書きで良かったねえ。

 まっすぐ王子の桜花さん vs 智に働く高世さん

 っていう構図、単純だけども、ふたりのキャラにめちゃくちゃ似合ってて、桜花さん、高世さんのトップ・二番手コンビを最大に生かしたと思います。桐生さんは、久々にすごーーーく普通の人だったね(笑)普通のイイ人をやっても、なんて上手いんだ桐生さん!!

【RUN & RUN】

 ショーの記憶はさすがに遠いぞ・・・。はやくDVDで見直したい!!

 まーなんですか。とにかく白鳥だよね!あれはOSKレビュー史に名をのこすであろう、なかなかの場面でしたな!

 事前に「白鳥の湖」っていうキイワードは脳内に仕込んで出かけたわけですが・・・実際見てみて唖然!でしたよー。

 なんで白鳥の湖なのに耽美じゃないんだー!(大笑)

 こ、これはチャイコフスキー様も草葉の陰でビックリですよ!
 現代的な白鳥の湖といえば、まあふつうに「マシュー・ボーン」を思い起こすわけですけども、あれとも全然違うし!(マシュー・ボーンは筋とテーマを今ふうにしたけど、やっぱり耽美だもんね。)

**ここから余談**

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ザ・カー・マン」 [DVD]

 amazonを検索したら・・・何これ!3作品のセットで売ってんの!?これお得じゃん!なんだよお~、のちにお買い得版が出るなら教えといてよお~。「まあ、会場じゃないと買えないでしょ、バレエDVDなんて」って思って、会場で定価で買ったのに・・・(個人的愚痴)

 昨日、ひさっしぶりにマシュー・ボーンのDVDを出してきて見てたんですが。(OSKの白鳥を思い出していたら見たくなった)旦那殿がパッケージの写真を見て
「な、なんで男が腰みのつけて踊ってるんだ!?」
 と言い出して、生意気娘Kは倒れそうになった・・・。ここここ、腰みの!?言うに事欠いて「腰みの」かっっ。あれは白鳥の羽根を表現してるに決まってるでしょ~(頭抱え)

**ここからOSKの話に戻る**

 しかし、見終えてから知ったんですが、横澤せんせーのは白鳥じゃなくて、極楽鳥なんだよね!

 南の島っぽいところで明るく踊る極楽鳥っ。

 たぶんさあ~、「白鳥の湖で極楽鳥」と思うから違和感があるだけで、ほんとは作家側の発想は逆なんでしょうね。

※ここから根拠なき想像

「ここは明るい場面だナ。色鮮やかに極楽鳥なんかいいね・・・」
  ↓
「極楽鳥・・・鳥・・・鳥・・・鳥といえば『白鳥の湖』?あの有名な曲使っちゃおうかな~」
  ↓
「カップルで踊れるし、ちょうどいいじゃん。ストーリーも白鳥の湖っぽく、黒と白の鳥が男を惑わす、と」

 わたし、「白鳥の湖をアレンジ」して作った場面だと思いこんで見たのです。ちがうよね。逆だよね。まずは「南で鳥」って発想があったんだよね??鳥だから白鳥の湖(の曲)を連想して、そこから広げたんだよね、きっと。まあ、それにしてもインパクト最高の名場面だと思います。耽美を意識せずにチャイコフスキーを使えるオリジナリティは素晴らしすぎる・・・!

 ことりちゃん、お顔が可愛いのが良いほうに出てましたね。配役した時点では、あそこまでの効果は想像していなかったんじゃないのかねえ。すばらしかったねえ。リフトでぴたりと足あげポーズ、かーっこよかったねえ。ああいう軽業みたいなのがヒョイと決まる瞬間、OSKレビューの醍醐味だよね!

 芝居、ショーともに大きな減点対象がないし、スターの個性がちゃんと生かされてるし、それなりのインパクトや印象に残る場面もあり・・・と、良い公演でしたねえ~。

 あ、そうそう。矢島美容室の曲のネタ、すごい笑った(笑)あれは可笑しい(笑)
「(替え歌で)とおくから♪来ています♪ ラセツから♪来ています♪」
 あー、おかしい!思い出しても笑えてくる(笑)だってピッタリじゃないですか!(笑)

 今年の春のおどりはなんと言っても、ブログで仲良くしていただいているksracingさんが桜を見て桜咲く国を思い浮かべてくださる日が来たことに感激ですよ!→ココの記事

 嬉しいので、記事を全部リンクさせてください!

http://ksracing.exblog.jp/10538064/(初見)
http://ksracing.exblog.jp/10567395/(千秋楽)

ブログMotorsports & Revueより


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6 コメント

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わあい (ちどり)
2009-04-11 21:11:36
まっすぐ王子の桜花さん vs 智に働く高世さん
ほんとそうだわー。ラバーナ様のお顔に見とれてそんなことに気がつかなかったわ~(をい)。

アリアンローザは魔女だけど、若くて美しいですよね。老け&おどろメイクしてないですもん。口紅なんかピンクっぽかった。類型的な「魔女」じゃなく、人間の情念がつくりだしてしまった存在で、朝香さんがそこにまた命を吹き込んでいた気がします。

宝塚ならこうするだろう、ってのも興味深いです。私は今軸足がOSKにあるので、むしろ「(自立した女性の役が)OSKにぴったり」という感覚よりも、そういう役が宝塚歌劇にあまり見られないのであればそれは「タカラヅカの特殊性」であるという受け取り方をしていますが。
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ちどりさまへ♪ (なまいきむすめK)
2009-04-12 14:51:32
>老け&おどろメイクしてないですもん

あー!そういえばそうですね。
たしかに「魔女役」って言葉だけだと、もっとオドロオドロしいのを想像してしまいそうです。
キャピキャピしすぎず、オドロオドロしすぎず、おっしゃるように「情念」としての魔女の芝居が、すごくうまく表現されてたということなんですねえ。
朝香さんも上手かったですが、演出の北林先生の作り方も良いのでしょうね。

>宝塚ならこうするだろう

宝塚の場合、目立つ娘役でも(スター男役がやる役の)「配偶者」とか「恋人」とか、徹底して「娘が能動的に重要な役割を担う」のを避ける場合が多いなあーと思ってまして。
まあ、女性差別どうこうというよりは、古色蒼然たる「女性は家庭に入れば幸せになれるし、そうあったほうがいい」っていう、むかしの女性観を「保存」してるんだと思うんですけど。
おおもとは、一三先生の「花嫁学校思想」だと思ってます。
それが今の世ではかえって「珍しい」から、ファンタジーとしてうまく機能してるんでしょうねえ。

>「タカラヅカの特殊性」であるという受け取り方

わたしもまったくそう思います!

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あぁ、桜花さん (ユッキィ)
2009-04-12 16:25:29
待ってました。K様の観劇録。楽しく読ませていただきましたよ。
私も北林作品は初見だったんですが、いやー、プロの職人さんですね。桜花さん、高世さん、桐生さん、それぞれの持ち味を生かした役設定や、緊密な舞台空間の作り上げる技術がスゴイな、と。K様の仰るように、1時間じゃもったいない、と思いました。どんどんOSKに書いて欲しいですね。

ところで、私は予算の関係で、3階席だったので、桜花さんの「胸キュン疾走」が見られず、残念無念。あぁ、「弾丸のごとく走って来る」桜花さん、観たかったあああ。一生の不覚です。夏はしっかりお金を貯めて、1階席で観なくちゃ!

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Unknown (ksracing)
2009-04-12 23:31:18
桜花さんの花道の走り、本当に迫力がありましたよね!

僕も早く今年の春のおどりのDVDを観たいのですが、いつ発売なんでしょうか?
予約をするのをすっかり忘れてしまって…
発売されたら、松竹座まで買いに行きたいと思います(ただ、2回売店での発売なので買えるか分かりませんが…)。

そして、わざわざリンクまでしていただいて、本当にありがとうございます!
ただ、僕の文章ではOSKの素晴らしさをほとんど表現できていないので、とても歯がゆいです…
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ユッキィさまへ♪ (なまいきむすめK)
2009-04-13 21:45:05
>それぞれの持ち味を生かした役設定や、緊密な舞台空間の作り上げる技術がスゴイな、と。

ほんとに、面白かったですねー!北林作品!
あんなに単純な話なのに、飽きないしダレないですもんね。
演出のチカラですよねえ。

桜花さんの全力疾走、それはそれは胸キュンでした(笑)
衣装を着ているのに、あれだけ疾走できるのはスゴイです。
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ksracingさまへ♪ (なまいきむすめK)
2009-04-13 21:45:41
DVDは・・・私も予約はしてないんですが・・・たしか毎年、6月ぐらいの発売だったような気が。
去年は7月の京都公演会場で購入していて、今年もそのつもりです。

松竹座の売店はチケットないと入れないと思うので、公式HP(http://www.sakura-saku-kuni-osk.net/)で通販購入するのが確実だと思います。

あれっ。今ちょっと公式HPの通販ページ、リンク切れちゃってますね。
(メンテナンス中かな・・・。)
ふだんはちゃんと見られるし、稼働してるページのはずなんですが~。
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