etceterakoの勝手にエトセトラ

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月組「REVUE OF DREAMS」を深読みする!

2005年10月15日 | 宝塚歌劇
 もちろん、すべてはわたしの考えすぎ&妄想の可能性大です。
 しかし、舞台の行間を読むのも、宝塚歌劇という娯楽の一部でしょう。
 わたしのお遊びだと思って、気楽な気持ちでお読みください。
 (長いのでヒマな人だけどうぞ)

●中村一徳センセの真の意図は?
 あまりにも抽象的かつシンプルだった今回のショー。
 舞台上の配置や、ショーの構造を見ていると、それが中村センセの「現在の月組」に対する解釈を表現したものではないのかな?と、わたしは感じたのです。以下、細かく見ていきましょう。

 ★「番手」の力学
 今回のショー、フツーにやったら「ふーん・・・」でスルーしちゃいそうな無個性なショーだと思うんだよね。それがやたらと面白くなっていたのは、ひとえに舞台上に異様にみなぎる緊張感ゆえ。その緊張感の正体を探るに、きりやんとゆうひくんの関係に行き当たります。ご存知のように、ゆうひくんはあさこちゃんの同期で、ゆうひくんより学年が下のきりやんが月の二番手。今回のショー、きりやんには単独場面があったが、ゆうひくんは完全単独はナシ。階段降りは無論、きりやんのがアト!と、明確に差はつけているものの、群舞や二人いっしょの場面になると、ほぼ「W二番手」!?状態なんですよねー。
 番手を譲るとはいえ、ゆうひくんのが学年は上。まったく臆しないゆうひくんと、二番手の自信と実力で堂々と踊るきりやん。火花散る・・・は言い過ぎでしょうが、両者「譲らないっ!」の意思が見え隠れする、緊張感あふれる並びです。ゾクゾクしましたよ、わたし。非常に面白い関係ですよね。

 ★あさこちゃんというトップさん
 あさこちゃんは、無色透明の「白い王子様」なトップさんなんですね。先にも書きましたが、わたし、あさこちゃんて花組っぽい貴公子系男役だと思っていたんですよ。(花組への偏見・・・)ところが実際に見てみると、ナチュラルな笑顔がすてきな、そう「バリキザ」じゃない方。そして歌・芝居・ダンス、苦手もないかわりに、キメ技の一芸が定まっている方ではない。
 パンフレットや歌劇の座談会で、中村センセは「『瀬奈じゅん』でやってくれ」ってな
主旨の発言をされてますが、ショーを見てみるとまさに。
 「舞台上の瀬奈じゅん」
 に、月組子がなんらかのアクションを起こすってゆーシチュエーションが目立ちますね。リュウさんによるあさこちゃんリフト、ゆうひくんが青い衣装であさこちゃんにからむのを、さららんが黒い衣装で影として見守るetc・・・。
 これは中村センセによる、あさこちゃんへのアテ書きで、「あさこちゃんはいること(存在感自体)に意義がある」ってなことにならんでしょーか。


 ★月組の特質(イメージ)
 月組はきりやんを筆頭に、芸に厳しくて個が立っている印象があります。(月エリザのカフェで市民がワイワイやってるシーンなんて、群衆芝居のクリアさにびっくり感動しましたねぇ)まぁ、個が立ってなきゃイカンとか、立ってるから悪いとかそーゆー話ではなくて、月組見てると、ものすごぉぉーーく組子に目がいくんだよ!大勢の場面でも、ハッとするような演技が視界の端々で見つかるんですね。 
 今回のショーの歌劇の座談会でのきりやんの発言で、「“大勢で踊っている安心感があるんじゃない?”と下級生に注意したりするのですが・・・」ってな発言に象徴されるように、月って群舞の最後列まで、ものすごく個で踊ってる印象です。(のわりにバラバラでもないのが不思議)
 短期だったサエコさんはさておき、リカさんもマミさんも個性派だったしねぇ。


 ★あさこちゃんと月組
 さて、個性的で「濃~い」月組と、ナチュラルアイドルなあさこちゃんの組み合わせ。わたし、実は見るまで想像がつかず、「どんな感じなんだろ?」と思ってたのです。
 「REVUE OF DREAMS」で一番多かった並びは、あさこちゃんを中心に、両側にきりやんゆうひくん!という構図。やわらかい笑顔のあさこちゃんの両側を、守るようにビシッと踊るきりやん&ゆうひくん。そしてショー全体を見渡して、やっぱきりやんが出てくると場のクオリティが上がる気がするっ。何がっていえないけど・・・圧倒的な実力だよ、上手いよきりやん!雪組の芝居はかしげちゃんが支えているように、ショーでの実力的な部分は、きりやんが支えていくんだろうなーと思いました。そこにあさこちゃんと同期のゆうひくんが、月出身じゃないトップであるあさこちゃんと月っ子とのあいだを取り持つように、あいだに入るワケ。(わたしの脳内映像ね)


 ★ショー場面の構造
 わたしが着目したのは以下の点。
   ・リュウさんによるあさこちゃんリフト
   ・青いゆうひくんが絡む「フォーエバードリーム」シーン。
   ・みほこちゃんが芯の場面が2場面もあった。
   ・フィナーレの燕尾群舞、曲の途中であさこちゃんが抜け、きりやん&ゆうひくんが率いてシーンを締める。
   ・麻子ちゃんの単独ダンスがあった。(白い衣装のとこね)

 特に燕尾の群舞・・・。シロウトのわたしの感覚だと、燕尾で気分最高潮のときに、トップ男役だけ抜けていくって・・・ありえなくない?(逆ならともかくねえ・・・)
 わたしは月組が好きだし、きりやんゆうひくんコンビのいかにも「月組的」な並びが好きなヒトだから、ここはグッと来るものがありましたけど、あさこちゃんファンの方はどう思ったんだろう?

 それからあさこちゃん、みほこちゃんの関係ね。
 コムまーファンの感覚だと、トップ男役が単独で舞台に立ったら、満を持して「相手役登場っ!」→デュエットへ になる気がしてしまう。
 まぁ、コムちゃんまーちゃんは(デュエット)ダンスが売りだから、比較するのはアレかもしれんが、それにしてもあさこちゃん、みほこちゃんがくっつかない展開だよね。

 そう。つまり、なんだかしらんが「あさこちゃん別行動」が多すぎると思ったんだよ。青いゆうひくんのとこにしたって、周囲の組子は象徴的な役で、あさこちゃんと物理的にからむ役じゃないでしょ?

●中村センセのアテ書き効果
 中村センセがどこまで意図したのかはわかりませんが、いまの組子に役割をアテ書きした結果、はからずもこのショーは「月組解体新書」の様相を呈してますなぁ。

 むろん、どの組どのショーにもそれは言えることで、演出家の解釈によって、ショーや芝居には組子のポジションが書き込まれているのでしょう。
 しかしね、この「REVUE OF DREAMS」は、ワンダーランドとかソウルオブシバ!みたいに、テーマ色、ストーリー色が皆無なぶん、解釈の部分が際立つんだよ。

 「これからの月組は、あさこちゃん王子を組子たちが守り支えていく」
 「あさこちゃん王子はおっとりとしているので、組子がしっかり支えないと」
 「あさこちゃん王子は、みほこ姫をわりと自由にしている」(むしろみほこ姫があさこちゃん王子を守ってしまいそう・笑)
 「あさこちゃんは王子サマだから、そこにいて微笑んでいるだけでいいんだよ」

 わたしにはこのショーがそう読めてしまった(笑)
 きりやん&ゆうひくんの、なにか「覚悟を決めたような」緊張感のあるビシバシな踊りっぷり(ま、笑顔じゃなくて真剣な表情なのは個性なんでしょうけど)を、「これからの月とあさこちゃんを支えるのは私たちだッ」という決意に読み替えてしまったのは、わたしの妄想しすぎ?
 中村センセの真の意図は、もちろん知りうべくもありませんが。
 

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