かんにんブクロ

絵本とイラスト付きで書いているブクロ…いやブログです(笑)

脳梗塞(18)…

2011年12月13日 | Weblog
9月25日(退院の日)
朝食後、同室の患者さんに挨拶した後、ナースステーシヨンに行った。
『隣の男性』や看護婦さんが、エレベーターに乗るまで見送ってくれたので、
照れくさかった。
無事退院し、入院生活は終わった。

帰宅してすぐ机に向かって絵を描き始めた。
入院中はベッドの上で、らくがき程度きり描いていなかったから、イラストを
描くのは久しぶりだった。
左指は曲がったまま。紙をおさえるというより、紙の上にのせる程度だった。

描き始めて気が付いた。なんかおかしい。うまく描けないのだ。
右手は何ともないから絵は描けるはずなのに、きちっとした線が思い通りに描
けないのはなぜだろう?

そんな事を思いながらも、描き続けてわかった。
まだ「左手に力が入らないからだろう」とか、左半身の麻痺で「左右のバラン
スがまだうまくとれていないからだろう」等と思った。

「何枚も描いて、バランス感覚を取り戻すきりない」と決めた。

夕方、2週間ぶりにパソコンの電源を入れた。
左指の力がまだ弱いので、キーボードのボタンがうまく打てず、数行の文字を
打つにも時間がかかった。「なんでうまく打てないんだ!」とイライラした。

右指だけで打てば、早く確実に文字が打てたが、これもリハビリだと思って、
なるべく左指も使う様にした。

(その後も、左指のリハビリは、あせらず、気長に続けた)(つづく)




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脳梗塞(17)…

2011年12月09日 | Weblog
9月24日(入院14日目)
午後4時頃、主治医が左手と左足の具合を見に来た。

夕方、「yamacさん、これが最後です」と言って
看護婦さんが点滴を持って来た。

看護婦さんが帰った後ベッドに横たわり、点滴が一滴一滴落ちてくるのを、
しばらく眺めていた。

すると、2週間私に付っきりだった点滴が、今夜で最後だと思うと、
点滴容器を近くで見たくなった。

ベッドの上に立ち上がり、点滴容器を手に取ってじっくり見た。
ふと容器の裏側を見ると『点滴終了・抜針』と油性ペンで書いてあった。
私は思わずにんまりしてしまった。

夜中に点滴の液剤が全てなくなり、看護婦さんが点滴をはずしにやって来た。
そして、右腕に長い間付いていた針を抜いた後言った。
「yamacさん、やっと終わりましたね」
「やっと終わったよ〜」
私は安堵感でいっぱいだった。

ベッドの横にいつもあった、キャスタ−付き点滴棒もなくなった。
右腕には、もう管は付いていない。
これで完全に『ひも付き』でなくなった。

明日は退院、入院生活も終わりだ。私は心地良い眠りについた。(つづく)




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脳梗塞(16)…

2011年12月05日 | Weblog
9月23日(入院13日目)
「軽い脳梗塞です。入院は2週間ですね」
救急車で病院に運ばれ、診察後医師がいった言葉だ。

そろそろ2週間になるので、数日前から看護婦さんに、
退院できる日を聞いていた。
でも、なかなか返事がこなかった。

午後、ベッドでボールを使って左指のリハビリをしていたら、
看護婦さんが来て嬉しいことを言った。
「yamacさん、25日に退院できますよ」

やっと退院できると思うと、嬉しくてたまらなかった。(つづく)




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脳梗塞(15)…

2011年11月30日 | Weblog
9月22日(入院12日目)
まだうす暗い午前4時50分に採血があった。
10時からは2回目のMRI検査があり、約15分で終了し部屋に戻った。

「yamacさん、左足は治りが早いですね、もう歩けるし…」
看護婦さんとの会話を聞いていた隣の男性が割り込んで来た。
「廊下を走ってたよ」
「走ってなんかいないよ」
私がすかさず言うと、
「おれには走っている様に見えるよ」
男性が笑いながら言った。

最近の私は、点滴の管が外されると、ひも付きでないので(身軽なので)病院
の中をあちこち歩いたりしていた。すると、車いすから松葉杖に変わった隣の
男性と、廊下で時々でくわす事があった。

やっと松葉杖でリハビリ出来るまでになった男性からみると、2週間もたたな
いで歩いている私が、「走っている様に見える」と冗談を言ったのだ。

でも、左足は普通に歩ける様になったけど、左手としゃべるのは、まだまだダ
メだ。リハビリは長い期間かかると思う。(つづく)




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脳梗塞(14)…

2011年11月23日 | Weblog
9月21日(入院11日目)
看護婦さんが「これでリハビリして下さいね」と言って、リハビリ用のボール
を持ってきてくれた。スポンジでやわらかいボールだった。

さっそく左指だけでボールを回してみたが、うまく回らなかった。
ギュ〜と握る事も出来なかった。
でも、何度も何度もゆっくり回したり、にぎったりした。

何度かやっていると、ボールが手から落ちてコロコロところがってしまった。
ベッドの下やあちこちを探したけど見つからなかった。すると、
「お! ボールが転がってきてるぞ」
隣の男性の所まで転がっていた。

また、ボールを回したりしていたら、今度は私のベッドの奥の方まで転がって
しまった。後で看護婦さんにとってもらった。

リハビリは始まったばかり、時間はかかると思うが、焦らずあきらめないでリ
ハビリしようと思った。

(後日、病院で使ったのとほとんど同じリハビリ用ボールを、100円ショップ
で見つけた。今でもそれを使ってリハビリをしている)

TVでは台風15号のニュース。外は強風や大雨みたいだが、病院の中にいると、
外の様子が全然わからなかった。

今日も病院は、静かな夜だった。(つづく)




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脳梗塞(13)…

2011年11月17日 | Weblog
9月20日(入院10日目)
「もう少しですね」
時々、看護婦さんが、点滴の液剤の減り具合を見にやって来た。

点滴の大きい方は、6〜7時間位かかるが、小さい方は、1〜2時間位でなくな
るからだ。
なくなると点滴容器と管を外し、大きい方は数時間後に外しに来た。
昼も夜もそうで、これが毎日の光景だった。

大きい方は血液をサラサラにし、小さい方は脳を活性化するのだと、ひとなつ
っこい看護婦さんが説明してくれた。
(たぶんそうゆう内容の事を言ったと思う)

その後、左手のリハビリの事でいろいろ話していたら、その、ひとなつっこい
看護婦さんが、「リハビリ用のボールを持って来てあげる」と言った。
そして、ただ一言付け加えた。
「病院のだから、あとで返して下さいね」

それにしても、今日で入院して10日目だ。
入院した日から今日まで、ほとんど一日中点滴をしている状態だが、点滴の偉
力はすごいもんだ。
日に日に良くなってきている様な気がする。(つづく)




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脳梗塞(12)…

2011年11月14日 | Weblog
9月19日(入院9日目)
「明日は看護婦の人数が少ないので、今日が入浴の日に、変更になりました」
朝、看護婦さんから説明があった。
(通常は火曜日と土曜日が入浴の日らしい)

お昼頃看護婦さんがやって来た。
「yamacさんは、今日から4階のお風呂場です」
どうやら3階のお風呂場は、看護婦や介護士の手伝いが必要な車椅子の患者で、
4階のお風呂場は、自分一人で入浴できる患者専用みたいだ。
「4階の患者さん全員の入浴が終わったら、知らせに来ます」

前回の様に点滴の管もはずされて、ベッドで待っていると、2時半頃看護婦さ
んが呼びに来た。

4階のお風呂場の前に行くと、女性の介護士さんがいて、右腕の点滴のところが
水に濡れない様にビニールでかぶせ、両端をテープで留めてくれた。
でも、不安だったのか更にテープでグルグルまいてから自信たっぷりに言った。
「はい、これでもう大丈夫!」
私も、ここまでしっかりテープで留めれば、水は入らないだろうと思った。
介護士さんの優しい心遣いが嬉しかった。

「さあ!一人でお風呂に入れるぞ!」
うきうきした気持ちでお風呂場に入った。そこまではよかった。
だが、パジャマを脱ぐ時に気が付いた。
「あれ?右手が曲がらないぞ」

介護士さんが丁寧にテープを留めてくれたのは嬉しかったが、あまりにもグル
グルまいてくれたから、右ひじが曲がらなくなってしまったのだ。

「なんてこった!右手が使えないよ〜」
右手だけが頼りで今まで何でもやってきたのに、その右手が使えないとは…
しかたなく、あまり動かない左手でなんとか洗った。いつもと逆のパターンだ
った。

その後お風呂から出て、タオルで身体や頭を拭くまでは出来た。ところが左手
だけではパジャマを着る事が出来なかった。

数分間の悪戦苦闘も空しく、ついに ヘルプミー!
……ナースコールのボタンを押した。(つづく)




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脳梗塞(11)…

2011年11月12日 | Weblog
9月18日(入院8日目)
「おっ! ちゃわんをもてたど〜!!」
今日、入院して初めて左手でちゃわんを持って食べる事が出来た。
ぎこちないが、ちゃんと左手で持てた。
食べてるうちに、ちゃわんがだんだん傾いてきたけど、とにかく大前進だ!!
まだ物を持つというより、物を乗せる程度きり出来ないが嬉しかった。

点滴を1週間も続けていると、誤って点滴の管をひっかけてしまう事が何度か
あった。
そのたびに針が引っ張られて「痛っ!」と声を出してしまった。

針を刺してるあたりがかなり腫れてきて、ぶつかると痛みを感じる様になった
ので、看護婦さんに右腕の別のところに針を打ち直してもらった。(つづく)




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脳梗塞(10)…

2011年11月10日 | Weblog
9月17日(入院7日目)
朝から隣の男性が私によく話しかけてくるので、私も自然とカ−テンを開けた
ままになってしまった。
私より長く入院しているので、いろんな事を教えてくれた。
「今日はお風呂に入れる日だよ」
「私も入れるのかなあ…」
「入れると思うよ。それにしても髪が伸びてボサボサだねえ」
「いいんです。退院したら床屋に行くから」

二人でそんな会話をしていたら、看護婦が部屋に入って来て、部屋の患者全員
に聞こえる声で言った。
「今日は入浴の日です。お風呂場の前に順番に並んで下さ〜い」
私は部屋を出ようとした看護婦に聞いた。
「点滴をしてるけど、入れますか?」
「yamacさんは、最後の方になりますから、その頃には点滴が終わっていると
思うので入れます。時間になったら声をかけます」

お風呂場の方に視察に行ってみると、並んでいる5〜6人は、車椅子の患者ば
かりだった。その後、ベッドでしばらく休んでいた。

点滴の管がはずされ、数分待っていると看護婦の声がした。
「yamacさん、お風呂に入れますよ」
午後2時頃やっと私の番になった。私が一番最後だったようだ。
入浴といってもバスタブには入れず、身体や頭を洗うと介護士が湯を流してく
れた。バスタブには入れなかったが、さっぱりして気持ちよかった。

入院生活にも慣れてきたのか、入浴して気分もリラックスしたからだろうか、
パソコンでイラストを描いてる(作っている)夢を見た。
早く退院してパソコンやりたいなあ……(つづく)




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脳梗塞(9)…

2011年11月08日 | Weblog
9月16日(入院6日目)
今まで右手だけで顔を洗っていたが、左手も使って洗ってみた。あくまで左手
は、添える程度きりできないが、洗い始めた。
「うっ!あぶねー」
おもわず左指が目に入るところだった。あぶない、あぶない。

左指を伸ばして洗い始めても、目のあたりにくると自然に指が曲がってしまっ
た。鼻の穴に指が入ったりもした。入院中こんな事が何度かあった。

うまくしゃべれない事と、食べた物が口の左端からポロポロ落ちるのも辛かっ
たが、一番辛いのは、左腕が重くて自由に動かないのと、左指がうまく動かな
い事だった。

朝の点滴が始まるのは、午前4時〜5時頃なので、顔を洗う時間にはすでに右腕
に点滴の管が付いていた。
だから点滴の管がじゃまで、歯を磨いたり、顔を洗うのが大変だった。

点滴の管が外されている間に顔を洗ったのは、数日だけだった。(つづく)




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