<2011年5月3日に書いた以下の文を復刻します>
今日は雑談になるので前もってお許しを・・・
つい先日、フジテレビ社長のT君の夢を見た。よく覚えていないが、けっこう長く夢を見ていた。Tの側に2~3人社員がいたように思うが定かでない。 それはともかく、T君は私より7年後輩だが偉くなったものだ。フジテレビで毎週1回アルバイトをしている自分と比べると、まさに“月とスッポン”の差である。彼が社長になるとは夢にも思わなかったが・・・(笑)
昔、報道にいた頃、Tを誘って銀座の土橋辺りで飲んだことがある。もちろん、こちらのオゴリだ。彼は学生時代にラグビーをやっていたので体育会系に見える。がっちりした体つきだ。風貌はごついが、なかなかの勉強家であった。本もずいぶん読んでいたようだ。
その時、Tは入社間もなく人事部長と腕ずくの喧嘩をした話などをしていたが、話題は豊富だし面白かった。何かの拍子にトックビル(フランスの政治思想家)の話になった。私はトックビルの名前だけは知っていたが、どういう人物かさっぱり分からない。すると、Tは「矢嶋さんは、トックビルを知らないのですか」と言って、延々と話し始めた。彼の卒論のテーマだったのか? それでトックビルが少しは分かったのだが、なかなかの勉強家である。
Tは正義感の強い男で、報道の職場ではよく上司と喧嘩をしていた。上司から「会社に出てくるな!」と言われたこともある。昔、鹿内春雄(当時は副社長)という経営者がいたが、NHKから移籍してきた頼近美津子という美人アナと結婚して話題になった。そうしたら、Tは「会社の“商品”に手を出すとはけしからん!」と怒っていた。正義感が強いのは良いが、ズケズケとものを言うから時々失敗していた。その点は私と同じだが(笑)
大笑いしたのは、彼が営業に移ってバリバリ仕事をしていた頃、通勤電車内でだらしない若い女性を見かけて注意した話だ。詳しいことは覚えていないが、Tが相当に厳しく注意したからか、その女性は怒って、別れ際にTの頭をバッグで思い切り殴りつけ逃げたというのだ。
Tはその話を民放連の雑誌に載せていたが、ずいぶん正直な男だと思った。その後、社内で彼とばったり会った時、私は「若い女に殴られるとは・・・」と言って、冷やかしたことがある。とにかく正直と言うか、正義感の強い男である。
もう一つ思い出した。10年ほど前、私が定年退職になった時、たしか報道が中心となって送別会を開いてくれたことがある。その時、もうほとんど交流がなかったのに、営業の担当重役になっていたT君も出席してくれた。
それは嬉しかったが、挨拶に立ったTは、私が昔ある女性に想いを寄せていたことを暴露した。列席者は興味深く聞いただろうが、あれには参った。余計なことを言うな! と思った。
Tは報道にいた頃はそれほど大した仕事をしなかったと思うが、営業に移ってからめきめきと頭角を現わしたようだ。営業に向いていたのか。いつの間にか担当役員になり、アッと言う間に社長に昇格した。私とはえらい違いである。
送別会で女性話をばらされたから、その仕返し(?)に彼の奥さんのことでも語っておこう。若い頃、新婚ホヤホヤのT君夫妻と地下鉄でばったり出会ったことがある。奥さんとは社内結婚とのことだが、彼女は実に可愛い人でお茶の水女子大卒の才媛だった。見れば見るほど“美女と野獣”という感じがした。
後でT君に「まるで美女と野獣だな」と言ってやったら、苦笑いをしていた。とにかく面白い男である。こんな話をしても、T君と私は今や社会的地位では“雲泥の差”がある(笑)。
今日はどうでもいい話をしたが、まあ、フジテレビ関係者なら少しは参考になったのではないか。(2011年5月3日)