野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

子どもの本がおもしろい㊴ 水中の小さな生き物けんさくブック

2023-05-21 | 資料を読む

子どもの本がおもしろい㊴ 水中の小さな生き物けんさくブック

湖 池 沼 田 川 色 形うごく/うごかないで調べる!

著者  「水中の小さな生き物けんさくブック」編集委員会 編著

出版社 仮説社(2014年)

現場の先生たちの切実な「分からない」を、専門家たちと一緒に教材研究するという、画期的な取り組みから生まれた本作🦠杉並区を中心に、現在では全国の小中学校でご活用いただいています。

(『水中の小さな生き物けんさくブック』のFacebookより)

プランクトン(浮滸生物)定義は,

「水柱に生息し流れに逆らって移動できない」(生物海洋学入門,閣・長沼 2005) という条件に当てはまる生物を便宜的にまとめた言葉で、分類をすると種類の多い生物になる。

 

最初にプランクトンを学習するのは小学6年理科

これまでは、5年生でメダカの食べるものとして学習していたが、6年生で食物連鎖のなかで観察する。

中学校では理科第二分野でいろいろな環境条件で存在する生物の学習でプランクトンをとりあげている。

 

顕微鏡を取り扱うので、子どもたちはたのしみにしている勉強のひとつ。

顕微鏡で見ることができても、

小学校の場合 教科書にみられるプランクトンの写真がのっているが、これがプランクトンだという代表的なものしかのっていないので、自分が見ているのが何か気になっても分からない。

先生も分からない。

これまで、先生向けの夏のセミナーで教科書にのっているプランクトンを見つけるのは至難の業であると聞いている。

それで、当会が毎年人と自然の博物館でおこなう夏のセミナーも結構人気の理由がそこにある。

今年も開催予定なので、人と自然の博物館の情報を見てほしい。

 

それで、1学期にプランクトンを調べたいなというときに、いい参考書になるのが本書。

表題の通り、「色 形うごく/うごかないで調べる」ことで検索ができる参考書。

インターネットと連携しており、動きの速いプランクトンもじっくり観察できる。

実際はこれ以上の種類がみられるが、教科書で不足している情報をおぎなうことができる。

本の作りは上部にできており、検索の方法も便利なように工夫されている。

 

中学校では微生物の専門書としてこの本に紹介しているが、滋賀県立衛生環境センターほかの「普及版やさしい日本の淡水プランクトン図解ハンドブック」や日本ブランクトン学会監修の「ずかんプランクトン」がおすすめだ。

 

現在プランクトンの分類については 新しい分類体系 (Adlet al. 2012, 2018) が主流となっている。さらに、DNAなど新しい方法がかくりつするにつれ新しい知見がこれからも付け加えられるだろう。


トメアス 私たちの大切なもの(7) アマゾン自然学校のテキストより

2023-05-20 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス 私たちの大切なもの(7)

 

今回がテキストマンガの最後

飲料水が地下水を利用しているので、地下水の汚染からまもるために・・・

 

アマゾン自然学校に参加した子どもたち

インフラの責任は大人にあるが 子どもたちが生活に使う水を守ることが

ゴミの処分方法が大切だよと伝えました。

 

日本と同じで、田舎に住んでいるから自然について体験しているとは限らない。

 

当会でも、自然について少しでも興味関心を持ってもらえるように観察会をしている

興味のある人は ナチュラリストクラブのホームページを見てください。

https://barmam.sakura.ne.jp/naturalist/

 


トメアス 私たちの大切なもの(6)アマゾン自然学校テキスト

2023-05-19 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス 私たちの大切なもの(6)

 

水の循環の話は 小学校6年で学習する。日本では河川が短いのですぐに海まで行ってそれが蒸発してまた戻ってくる絵がふつう。

しかし、トメアスは海までは遠いし、また川の幅は非常にひろい。アマゾン川以外の川でも、川幅は瀬戸内海の幅より大きい。画像はトカンティンス川。向こうに見えるのは川の中州。フェリーにトラックが数台のっているがわかるだろうか。川を渡るにはフェリーで。しかも6時間ぐらいは普通。瀬戸内航路、いやそれ以上かも。

河の蒸発の量も多い。河の蒸発によって積乱雲ができる。

 

水の循環の後トメアスの水の状態について話が進む。

2005年のころでも、トメアスの雨量が減ってきていると農家の人が心配しているのが印象的にのこっている。河畔林でも、どんどん水がさがり、減ってきているのが現状だ。

トメアスの状況に話が進む

そして、水道の水は日本では浄水場をとおして家庭に来るが トメアスでは

こうして、いよいよまとめにはいる。つづく

 


トメアス 私たちの大切なもの(5)アマゾン自然学校のテキスト

2023-05-18 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス 私たちの大切なもの(5)アマゾン自然学校のテキスト

 

食物連鎖を壊しているのは人間だよという話から、人間の行動に言及する。

身近なゴミ問題に注目。

日本では、ごみを焼却するのが多くの自治体の処分の方法だが、基本は処分場に集めて埋め立てる。

 

分別をするように決められているが、ルーズなのが現状のようだ。

ゴミの問題から生態系の話になる。

トメアスで行っているアグロフォレストリーもとりあげ、生態系の位置を確認する。

また、アグロフォレストリー農法がベストであるといいうのではなく、それぞれの良い点悪い点を見ながら自分たちがどれを選択していく自由度をもたせている。

 

 

そして 生態系から水の話になる 

 

水の循環のはなしにづつく


トメアス 私たちの大切なもの(4)アマゾン自然学校のテキスト

2023-05-17 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス 私たちの大切なもの(4)

 

アマゾン自然学校の冊子は 食物連鎖の話につながる。

日本では 小学6年の理科で最初に学習する。詳しくは中学でも学ぶことになる。

小学校では食物連鎖を「食べる,食べられる」の関係として捉えてはいる。教科書を見ると多くの出版社が給食から,学習していく。知識中心になるのはしかたがないが、そのメカニズムを実感することは困難なきがする。

さて アマゾン自然学校の冊子は・・

ここからいよいよ環境について考えさせることになる。

人間が食物連鎖の破壊者であることをつげて、話はづづくことになる  

 


トメアス 私たちの大切なもの(3)アマゾン自然学校テキストより

2023-05-16 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス 私たちの大切なもの(3) アマゾン自然学校のテキストより

 

去年はアマゾンの森林火災のニュースを聞くことが多かった。

例えば

南米ブラジルの国立宇宙研究所は11月30日、アマゾンの熱帯雨林が2021年8月~22年7月の1年間で1万1568平方キロ消失したと発表した。毎日新聞 2022/12/1 11:00(最終更新 12/5 18:50)より

この面積は兵庫県の面積より多い。

大統領がかわって去年より今年は火災が少なくなったというが、なくなったわけではない。

 

今回も アマゾン自然学校のテキストのつづき

トメアスの歴史からいよいよトメアスの環境の話に

トメアスの貴重な生き物を紹介している。


トメアス/ 私たちの大切なもの/アマゾン自然学校の子ども向けテキスト(その2)

2023-05-15 | 野生生物を調査研究する会歴史

トメアス/ 私たちの大切なもの/アマゾン自然学校の子ども向けテキスト(その2)

次の画像は 2011年 小農家支援の活動の成果といえるだろう。

アグロフォレストリーの講座をうけて、村の人たちが実践、苗畑の育苗管理と自分の農地に植え、村全体の収入があがり、さらに発展のため公民館をつくり、協力をいっそうすすめることになった。

そのオープニングに呼ばれたひとこま。

この支援講座には、さまざまな人種の方が参加されている。

さてテキストの続きはトメアスの歴史の解説が始まる。

絶滅の危機はどうしてなのか つづく

 

 


トメアス/ 私たちの大切なもの/アマゾン自然学校の子ども向けテキスト

2023-05-14 | 野生生物を調査研究する会歴史

アマゾン自然学校で作ったテキスト2005年

 

以前、アマゾン自然学校とは ということでブラジル国トメアスでの活動を紹介した。

内容は

第2回:「アマゾンで環境教育テキスト作りに力を注ぐ(野生生物を調査研究する会 林さん)」

JICAのホームページでトメアスでの活動が紹介された。

事業名:ブラジル国アマゾン自然学校プロジェクト(草の根協力支援型)

「はじめまして! 私はブラジルで活動している、林 建佑です。私たちは、環境に優しい農法「アグロフォレストリー(森林農業)」で注目されている、ブラジルのアマゾンにある町トメアスで、自然との共生の社会づくりを目指し、自然環境の大切さを伝えていく人「インストラクター」の養成と環境教育テキスト作りを行っています。」

今回はその時に作った環境教育テキストを紹介する。

原文は、ブラジル語なので、日本語に訳した。

打ち合わせの時、日本のプロジェクトなので、マンガを入れてほしいと希望があり、子どもたちにわかりやすい内容のマンガができた。数回に分けて紹介する。

2005年のトメアスで環境問題の授業を受けた子どもたちが1910年にワープする。

そこででった森の守護者 

トメアスの森の歴史をかたりはじめる。

つづく


里地里山の1年 5月中旬の里山

2023-05-13 | 里地里山の1年

ウツギの花のなかまの紹介

「卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて・・・・」(作詞:佐佐木信綱、作曲:小山作之助)は『夏は来ぬ』の歌詞の一部です。

「卯の花」とは卯月の語源となった「ウツギ(ウノハナ)」のことです。

平安時代、初夏のころにさく花を詠んだ和歌に「神まつる卯月に咲ける卯花は白くもきねがしらげたる哉(凡河内躬恒/おおしこうちのみつね)」とあり、語源の一つです。

ウツギは北海道南部から九州の山地に普通に見られる植物です。

ウツギは田植えのころに咲くので「タウエバナ」「ソートメ」(早乙女)とよぶ地域もあります。

これまでは、ユキノシタ科に分類されていましたが新分類体系のクロンキスト体系ではアジサイ科に分類されることになりました。

 

また、「空木」とも書くことがあります。枝の髄の部分が、中空になることから付いた名前です。

「○○ウツギ」と名が付くものは、スイカズラ科の植物にも多く付けられています。

 

私たちの活動する里山では、まずツクバネウツギ、タニウツギがさきだし、ウツギ、コガクウツギと咲いていきます。

里山で見られる「〇〇ウツギ」と名なつく植物の紹介です。

タニウツギ(スイカズラ科)

日本固有種で、本州以北の日本海側に生えます。日本海要素の植物です。しかし、兵庫県では県の南の方まで分布が広がっています。日本海側と太平洋側を分ける脊梁山脈は標高100m、氷上回廊と呼ばれます。標高の低い谷中分水界がタニウツギの分布を南方に広げる一つの要素になっているかもしれません。

ツクバネウツギ(スイカズラ科)

林縁部などに生えます。白い花の根元の蕚が、羽根つきの羽根のようなことから、名付けられています。花序は枝先にふつう2個の花をつけます。萼片は5枚です。その形が羽根突きの羽根ににているのでその名がつきました。

コツクバネウツギ(スイカズラ科)

林縁部などに生えます。白い花の根元の蕚片が2から3枚です。

コガクウツギ(アジサイ科)

関東南部から四国、九州に分布する。明るい丘陵や低山の斜面で見られます。春先にのびる枝に花芽が付く特性(新梢着花性)があります。白く大きい装飾花と淡黄緑色の両性花を付けます。花のよう見えるものは萼で、3枚と4枚がつきます。

ウツギ(アジサイ科)

林縁部などに生えます。花は白い5弁花で、雄しべは10本で半分は短くなっています。雌しべは3~4個の花柱があります。白い花の根元の蕚片は2枚です。


会の活動の歴史 1995年 (兵庫)県民運動情報誌「ネットワーク」に掲載

2023-05-12 | 野生生物を調査研究する会歴史

会の活動の歴史 1995年 県民運動情報誌「ネットワーク」に掲載

県民運動情報誌「ネットワーク」とは兵庫県「各地域でさまざまな県民運動に取り組むグループリーダー、地域団体と行政のネットワークの形成、情報交換等を行い、県民運動実践活動団体や個人の相互の交流の促進、連携意識の醸成を図るため」(ホームぺージより)に作られた県民運動情報誌です。

1995年に「ネットワーク」に活動の様子が掲載されました。任意団体としてまだ出発間もないころの活動の様子が紹介されています。

調査活動の様子を担当者が取材に来られ、記事になりました。

第三者からみた会の活動の様子が詳細に記録されました。阪神淡路大震災後すぐの調査ということで、気合の入った調査になりました。

その時の冊子の表紙

掲載記事

(内容)

さわやかな県土づくり 自然のそ生をめざして環境調査

「宝塚市内にある安倉上池で、 二月十九日、「野生生物を調査研究する会」(代表/今西将行さん事務所/宝塚市)のメ ンバーによる植物の植生状況の調査が始 まりました。

同会は、①調査する②自然にやさしい 開発への研究と自然環境保全へのそ生を行う③調査を基に写真集等を作成し、 広 く一般の人に情報を提供する④環境教育 用メディア等の開発と作成を行う⑤人づくりへのな考え方をもとに、いろんな活動を行っています。

調査のねらいは、さまざまな野生生物の生態にふれることによって、ただ眺めるだけでは見えない自然の姿を探ることです。

今回は兵庫県南部地震の影響により破壊された自然環境の状況を把握し、本来の自然環境へのそ生に役立てよぅと、調査を始めました。小さなほこらのある森には、地震の影響で、大きな地割れが起き、木や鳥居も、沈みこんだ表土と一緒に傾いていました。

植生の調査は、地面に置いた巻き尺に 沿って行います。普通ならば図鑑を片手に進める調査も、専門的な知識を持った会のメンバーの手にかかると一目見ただけで ほとんどが分類できてしまいます。ヒマラヤスギ、ナナメノキ、クロガネモチ、ハゼ、ヤマザクラ、カンサイタンポポ、シュロ…ただ歩いただけでは見えない'、いろいろな植物が息づいていることが分かりました。

「あの植物はなんですか」 「ハゼですね」「あの木にとまっている鳥はホオジロですか」「そうですね」などど、 植物に詳しい人は植物のことを、鳥に詳しい人は鳥のことをお互いに教えあいながら進んでいきます。写真撮影と同時に散策を楽しみながら作業は順調に進みます。

植生調査に引き続き、今後は植物の四季での移り変わりや鳥などの動物、池の中の水生生物、水質や地質などの調査を行い、 池とその周辺の自然の情報を整理することとしています。地割れの部分を合わせて見ることによって、 地震の前の姿を知ることができるはずです。

会代表の今西さんは、「地震によって 大きく変わってしまった環境をもとどおりにするのか、改修するのか…私たちは この池を、こうして下さいというのではありません。最終的には、この自然環境のもっとも近くにいる、 この地域に住む人や行政が判断すべきだと思います。私たちは、自然環境の状況を調査、研究し、 自然環境の姿をとりまとめ、判断に役立つ資料づくりをしていきたいと考えています。行政がいろんな制約を受けてできないことを私たちがやって住民と行政の橋渡しができたらと思います」と話されていました。

斜面を滑り落ちそうになったり、木や草をかきわけて行う調査は大変です。長靴は土まみれ、服には草の切れ端がいっぱい着きます。

「大変な作業。でも、会のみんなでフィ— ルドに出て、自然を感じるのが大好きだから続けられる」「夏になったら、夜ここへ来て夜行性の動物も調査したいなあ」というこの言葉が調査に携わっている皆さんの自然を愛する心のすべてを語つていました。

これまでにも会ではいろんな場所の調査、研究を行ってきました。

今後はそれらの情報やネットワークを生かしてデ—タパンクを作ったり、環境教育の場の提供や講師の派遣などもやっていきたいとのことです。」

 

 

この調査結果を「生きている武庫川資料集」に掲載しています。(上記画像)