猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

信太の森芸能祭り 平成23年11月6日

2011年11月14日 09時45分50秒 | 公演記録

 説経節信太妻の聖地とも言える、大阪和泉市の「信太山」で第7回信太の森芸能祭が行われました。葛の葉社と聖神社に詣でた後の、聖地での信太妻公演は、久しぶりに神懸かった感覚が降りてきました。

Sinoda4 信太妻 猿八座

(和泉市 一井正好様撮影 写真をお送りいただきありがとうごいざいました。)

興味深かった出し物を、紹介します。楽しみにしていた江州音頭「葛の葉白狐伝」はエレキとシンセサイザーのノリノリの民謡で驚きました。江州音頭といえば、「でんでろれん」と思いこんでいたので、ちょっと期待はずれではありましたが、葛の葉の伝説が、こういう新しい形で残されていくことも面白いと思いました。

Dscn9161 志賀国天寿一門会(滋賀県大津)

信太の森歌舞伎は、昨年亡くなった「市川箱登羅」師匠が創作された「葛の葉物語」を演じる市民歌舞伎です。地元の子供達が演じる歌舞伎は、「歌舞伎調でなく、普通の言葉で台詞を言いますし、地方の三味線も津軽ですので、歌舞伎らしくないかもしれません。」と花田氏がお話されていましたが、驚いたことに、その普通の「大阪弁」がなんともいい芝居の調子になっています。浄瑠璃というものが大阪弁なのだということを、台本からはなかなか感じとれませんが、この子供達の歌舞伎を見ていて、大阪の子達は、そのままで浄瑠璃になるんだなあと大変羨ましく思いました。東京育ちの私にとって、大阪弁のイントネーションは最大の難関です。説経祭文は江戸育ちですから、違和感は出ませんが、浄瑠璃調にしようとすると、この大阪弁のイントネーションが、未だ乗り越えられない問題として、違和感を生じさせてしまいます。子供達の熱演を観ながら、思わず「う----ん」と唸ってしまいました。大阪弁マスターのスピードラーニングはないものでしょうか?

Dscn9196

今回の公演では、花田氏をはじめ実行委員会、和泉市教育委員会の皆様に大変お世話になりました。今後とも、説経の聖地とも言える信太と繋がっていたいと願います。