前段:私は何故簡単に終わるはずのウクライナ侵攻が、表面的には「モタモタ」してて、遅々として進まないのかが疑問だった。ぜレンスキー側が健闘しているのか、あるいはプーチン側はそれほど強くはないのだ、などなど。各政府のコメント発表やマスコミ報道を見る限り、色々な解釈がなされているが今一つ釈然としなかった。だが、この戦況の停滞が、むしろプーチンとぜレンスキーひいてはバイデンの策略によって「周到に組み立てられた、隠されたシナリオ」だとしたら、どうだろう?。もし、そのような陰謀が存在するとしたらだが、すべての事実が「すんなり腑に落ちる」のである。そしてそれは世界をガラリと変える意図を持った、驚くべき「革命」なのだ・・・まあ、もしもという話だが、この仮説は意外と当たっているかも、と私は考えている。
では、一通り説明してみよう。
1、ロシア制裁は侵攻前から準備されていた?
ロシアの侵攻・占領が思ったより進まず遅いので、英米EUなどの経済的制裁が「どんどん」実施されていく。この「時間が経つほど制裁が拡がって」来る、という点がミソだ。もし侵攻が予定通り「素早く」終わってぜレンスキーが降参していたら、それほど「民間人の死者」も出ないで済んだろうし、難民だって200万も出なくて済んだだろうと思う。もしそうであれば経済制裁も、今ほど徹底的に(マクドナルドなどの)民間事業まで拡大することはなかっただろうと思う。しかしゼレンスキー側の抵抗が予想外にしぶとく、停戦交渉にも頑としてロシアの要求を「つっぱねている」ので、その間にどんどん世界中が「ロシアやめろ!」の大合唱になり、経済制裁の圧力も「全世界的かつ広範囲」に浸透する「時間的余裕」が生まれた。これはある意味「計算通り」である。
当初は曖昧な対処でお茶を濁していたユニクロとかも、ちゃんと制裁しなければ「逆に批判される事態」になってきて、慌てて全面撤退に踏み切った。時間が経ってロシアの反人道的軍事行動が色々な報道で明らかになるにつれ、ぜレンスキーは英雄でプーチンは大悪人、という図式が確定していく。早く終わっていれば「様子見」も許されていただろうが、長引いたことによって「どちら側に付くのか」明確にせざるを得なくなったのだ(これは日本の戦国時代と同じ構図)。アメリカはロシアに対して資産凍結・SWIFT締め出しを手始めに、ついに原油・天然ガスを禁輸して「ロシアを干し上げる」強硬な姿勢を打ち出した。これには今まで制裁に難色を示していたEUも、渋々だが従わざるを得なくなって来る。従わないという選択肢は「もう無い」のだ。
これで西側諸国は一致団結して、ロシアと「完全に縁切り」する方向に踏み出した。これもある意味「計算通り」である。
2、ロシアと中国は、西側諸国から分離・独立せざるを得ない
今、英米EUなどから経済制裁を受けている国は「イランやシリアや北朝鮮」など多数あるが、じつはロシアも「それに継ぐレベルの 」制裁を受けていたらしい(これは驚きである!)。ところがウクライナ問題が勃発し、ロシア非難の声が強まると共に経済制裁も多方面に及んで、ついに一時のイラク並の「経済制裁ダントツ第一位」になってしまった(これは納得)。イラクはアメリカに濡れ衣を着せられてフセインが死刑になり、国は主権を奪われた挙げ句に潰された。シリアも危なく潰される所だったが、ロシアやイランが支えて何とか国が残ったという状況だ。ロシアはソ連崩壊後、ゴルバチョフ・エリツィンの資本主義化によって英米EUの一員になったかと思いこんでいたが、実はアメリカから見たらイランと同程度か、それ以上に「潰したい国ナンバーワン」だったのである。その後もアメリカは何だかんだと難癖をつけて、いつもロシアを迫害してきた。それは偏に「社会主義国」というだけで、である。
ドイツも日本も、第二次大戦で潰された仲間である。敗戦国が復興の中で力を付けて経済大国になってくると、必ず難癖をつけて英米は潰してくる(1985年のプラザ合意など)。それをドイツも日本もじっと我慢して、「英米の下働き」に徹してきた(ドイツはEUと言う枠組みの中で頑張っているので、ちょっと対応が違うが)。それが第二次大戦に学んだ「生き延びるための智慧」である。だが、ロシアと中国は違っていた。ロシアには原油や天然ガスやアルミなどの鉱物資源と小麦という「必要不可欠なもの」を豊富に生産する「肥沃な大地」がある。そして中国には「15億人」という、資本主義には絶対欠かせない「消費者」を自国に持っているという「強み」がある。両大国は、英米EUにとっても「成長の生命線」なのだ。
水が高い所から低いところに流れるように、「中国・ロシアの台頭」と言うこの流れは、変えられない。
3、世界の分断の始まり
英米勢力の席巻から100年、ユダヤ=イスラエル金融資本の「影の支配」と言われた時期が長く続いた。それに追随したEUと日本。だがG7が主導してきた世界経済の動きが、ようやく中国やインドといった巨大な消費人口を持つ勢力に引っ張られて、今や「G20」という新しい組織に取って代わられようとしている。このG20は中国・ロシア・インド・ブラジルが加わっており、より「現実的な世界」を代表するメンバーが揃ったと言えそう。さらには国連やWHOなどの国際機関も、既にアメリカから「中国主導」の体制にシフトしていると見られているのだ。今まで一つだと思われていた「世界」が、徐々に分断され、いくつかの「経済圏つまり文化」の並立する社会が到来しつつある(だが、これは中国・ロシアの願ったことでは「ない」と思う)。
その一つの文化の極が東アジアを統括する「中国」であり、また南アジアを「インド」、北中アジアを「ロシア」がそれぞれ代表し、中東もイランからイラク・シリアそして今までアメリカ一辺倒だったサウジアラビアまでもが、こぞって反アメリカ・親ロシアに傾きつつある。この、ロシアが中東で覇権を握ったことで、今まで戦争が絶えなかった中東で、中身はどうあれ「落ち着いた社会」が保たれている、というのは確かでなようである(報道されていないので良くは分からないが)。そしてロシアはアフガニスタンからカザフスタンへと覇権を拡張し、いままたクリミヤ併合に続いて「ウクライナ」を狙っている、と西側からは見られている。覇権の分立は静かに進んでいる。
キーワードは(英米に対する)「ロ・中の反攻」である。これは「非キリスト教国」と考えてもいいだろう。その意味では、日本も「非キリスト教国」の一員である(韓国はキリスト教国、だと聞いている)。
4、そしていよいよ金融崩壊の時が来た
ウクライナ問題がどう決着するか私には分からないが、どうやらアメリカ発の「金融崩壊」が起きそうだとの見方が「ちらほら」出てきた(専門家の間では常識)。アメリカの金融資本はリーマンショック以来の「QE」で極限まで肥大しており、それはEUも日本も異常事態という点は同じである。それをアメリカは今年から、インフレ対策で順次「利上げ」すると発表した。私は経済は全くの音痴だが、日銀が株を買い占めるというのが「異常事態」だというのは何となく分かる気がする。つまり、実体経済の裏付けのない資金が「大量に市中に放出され」ているのだ。とにかくこの英米・EU・日のG7=QEが「いつ縮小に転じるか」が大問題である。その時は「リーマン以上」の大暴落で、世界の金融資本が「丸ごと」吹っ飛ぶらしい(恐ろしい事態だ)。
ところが今回のウクライナ問題で英米がロシアを金融制裁し「株式市場から締め出し」てしまったお蔭で、今度起こる「QE中止の大パニック」の影響を、逆に「ロシアは受けなくて」済む、という皮肉な結果になるらしい(マジで?)。これは「お笑い草」ではないだろうか。こういうシナリオまで考えてプーチンが侵攻を遅らせ、バイデンが着々と「ロシア締め出し」を実現しているとしたら、それはそれで「世紀の陰謀」だと思うけど、まさかねぇ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・
まあ一応、以上でウクライナ問題を裏読みした「陰謀論」を考えてみたが、日々テレビの報道を見ていると事態はドンドン悪化しており、民間人の死者も増え続けていると言う。経済制裁の効果も次第に市民生活の中に深く浸透しているようで、ついには「ロシア市民の怒り」が激化して、最後に「プーチンを倒すんじゃないか」的な専門家の意見も出てきている状況だ。確かに世界の報道は「ロシアの失敗」に傾いている。ゼレンスキー側は「ここが正念場」と気勢をあげているが、報道は全て「西側の一方的な報道」に偏っているので、本当のところは分からない。が、ロシアにとって「不利な状況」は変わらないみたいである。
・・・・・・・・・・・・・・・
こないだどこかの番組でテリー伊藤とウクライナ人の女性が議論をし、それが話題を呼んでいる。テリー伊藤の「人命尊重という選択をして欲しい」という意見に対し、ウクライナは「自由のために戦うのだ」と突っぱねた女性の言葉の応酬を聞いて、私は昔の陸軍の「思考停止の精神硬直」を思い出した。テリー伊藤の「現実的解決」に対して、ウクライナ女性の「観念的理想論」の相容れない平行線である。
それは昭和20年の夏、日本軍が本土決戦に備えて民衆の竹槍部隊を組織していた時に、御前会議で天皇が「無条件降伏」を決意、ボツダム宣言を受け入れて「玉音放送」を行った経緯である。その放送を聞いた国民は、やっと「我に返って」戦争が終わったんだと知った、ということだそうだ。もしあの時天皇が軍部の言う通りに従って、あくまで徹底抗戦を唱えて「日本民族一億玉砕」を断固主張していたらどうなっていたか。考えても空恐ろしい結末が待っていただろうことは、歴史を読まなくても理解できる。それと同じことが今、ウクライナで起きているのだ。
ゼレンスキーは今、ある意味、その天皇の立場にいる。しかもウクライナはロシアに滅ぼされるのではなく、中立非武装とNATO非拡大、及びクリミアの承認とドンパス2州の自治、ネオナチ勢力の駆逐、という「ロシアの主張」を認めれば良いだけなのだ。そうすれば戦争は終わる(と、プーチンは言っている)。ただ「これだけ」を受け入れるだけで、「今まで通りの生活」を続けることが出来るのである。勿論、それには今回のロシア侵攻が起きるまでの、2014年の政変以来「ずっと抱えて来た問題」を解決しなければならない。我々はそれまでの両国の「対立の経緯」を良くは知らない。だからウクライナ人女性の意見にも、耳を傾ける姿勢は大事ではあろう。しかし「戦争以外の選択肢は無い」と決めつけ、一切の意見を封殺し、ウクライナ人は徹底抗戦するんだ声高に叫ぶ姿勢には、「あの日の日本陸軍の異様な気分」を感じるのである。
このゼレンスキーとプーチンの間にある「溝」は、私はキリスト教と、イスラム教(中東など)・仏教(タイなど)・ヒンドゥー教(インド)・道教(中国)など、各宗教との間にある「溝」ではないかと密かに思っている(神道もあるよ)。だとすればこの溝は、そう簡単に「自由と独裁」と言うような簡単な話で解決する問題ではないのでは?、と思ってしまうのだ。
こんなことを言っていられるのは、私が日本と言う「平和な社会」に住んでいるからなのだが、では「いつになったら」世界中から戦争がなくなり、平和が地球を覆う幸せな時代がやってくるのかというと
多分、しばらくは「やってはこない」ような気がする、残念だが・・・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます