明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日本の何故?を解決する(3)ロスレス・エコノミーの達成とは?

2022-01-19 17:33:23 | ニュース

卑近な例から話を始めると、第一に「食品ロス」の削減が問題になっているようだ。最近コンビニやスーパーで良く見かける「商品は手前の棚から」という札は、食品ロス問題を解決したい企業側のアピールだと思われる。これは企業の損失を減らすために、善意の消費者行動に訴えようというものだから、余り効果は出ていないもよう。勿論買ったその日に食べるのであれば、消費期限が「今日まで」のものでも問題ないだろう。だがスーパーなどで買物する時は何日か分をまとめて買うわけだし、欲しいものがあれば「今日はこれで、明日はこれ」と目一杯買ってしまうのが消費者の常である。それはスーパー側も狙っていて、何とか「余分に買ってしまうように」工夫しているのが現状と言える。基本は「要らないものまで」買わせたいのだ(これじゃ食品ロスは減らないよね)。

大体が「手前取り」の札を置かなくても、「消費期限が迫っている商品」だけにしておけば何の問題もなく回転するのである。そうすれば消費期限内に食べる客だけが購入し、そうでない客は「明日以降に」来店して購入する(勿論、他店で買うという選択肢もあるのだが)。もし商品が売り切れたとしたらその時は「ストックから補充」すれば、誰も文句が出ずに食品ロスも出なくて「八方丸く収まる」わけである。では、何故そういう方法にしないのか?

答えは我々消費者の特権意識にある。つまり我々消費者は「選択の自由」が保障されている!、という考えである。棚に商品が溢れていて、どれを買ったらいいのか「迷う」ほど商品が過剰な状態を、我々は「豊かでリッチ」な状態だと勘違いしてるのだ。企業側もそういう消費者心理に迎合して「豊富な品揃え」をアピールし、食品ロスが出ると分かっていても「生き残りを賭けて」企業競争するのである。もしこのスーパーが地域でたった1店だけという「独占状態」にあったとしよう。この場合、品揃えを優先し食品ロスの損失を「価格に転嫁」して利益を確保するか、値段を安く提供する代わりに「売り切れるまで新しい商品を並べない」陳列方法を取るか、どちらでも店主の自由裁量に任されているとする。さあ、あなたならどちらを選ぶだろう?、という話である。

棚一杯に溢れた商品群に浮かれて「ついつい多め」に買ってしまい、消費期限が切れて捨ててしまった事が何回かあった客は今度は慎重になって、いっぱいある商品の内「消費期限が先の品」を選んで買うようになる。お客は満足するかも知れないが、スーパーは売上が伸びるけど食品ロスも大量に出る、というジレンマに陥るわけだ。これは、限りある資源の無駄使い、とも言える。確かに消費者もスーパーも生産者も、みんな喜ぶけど「食品ロス」は出続ける。これが今の日本の現状である。

スーパー側は常に他店との競争にさらされており、嫌でも品揃えを強化して「活気に溢れた店内」をアピールしたい。コンビニもセブン・ローソン・ファミマが狭いエリアで三つ巴で戦っており、私の住んでいる柏西口でも6店舗が競い合っている状態だ。そんな状態で、自分の店だけ「品揃えに手を抜いて」消費期限優先にしてしまったら、棚に空きが目立つ見すぼらしい店という印象になる。客はみんな他店に取られて「結果は、店を閉める」なんてことになるのは、目に見えているのではないか。それぞれ悪気は無くても競争だから「仕方なく」やっている。これが今の日本の現状である。

ではどうすれば食品ロスを防ぐことが出来るのか?

① まず、消費者側の意識を変えること
私は最近思ったのだが、コンビニに行って溢れんばかりの商品を前にしていても、実際買うのは「いつも同じ品」だということに気が付いたのだ。それはコーヒー牛乳のパック・枝豆・半熟煮玉子・チョリソー・鉄板焼きハンバーグ・カップ入り海老ピラフ・麦飯豚カルビ・タンパク質が取れる豚しゃぶサラダ・とろろ蕎麦・うすしおポテチ・旨サラダ味ポッキー・三枚食パン・ハム・レタスサラダ・ビーフメンチカツバーガー、そして本麒麟ビールのロング缶2本、以上である。後はゴミ袋と歯磨き粉にヘアースタイリングジェルとキッチンタオルを、無くなったら補充するぐらいで事足りる。これ以外の品がまるで無くなって、店内の棚が「ガラガラに空いている」としても、私にとっては上記の品さえあれば「何の問題も無い」と言えるのだ。たとえばあなたがタバコを吸っているとして、いつものタバコがありさえすれば「他のタバコが全部欠品している」としても、何の不都合も感じないであろう。

要は「自分が欲しい物」をしっかり見極めて、それを「いつ、どのくらいの量を買うのか」決めておくことである。

② さて、欲しいものが決まっていて、他のものに目が奪われることが無いとしたら、後は「必要な時に必要なだけ」店にあれば、用が足りる。これって「ネットで予約」する、で良くない?。つまり午前中に「夕食に食べる分」をネット予約して、5時頃になったら「店に取りに行く」方式にするのである。商品選びはネットのバーチャル店舗で「大量の品揃えの中から思う存分選びまくり」すれば良い。腹が減ってきたらコンビニに行って、「美味そうな弁当と酒のツマミ」をどれか選んで家に帰る・・・、という購買習慣を今日からやめて、夜食べる品を予め「午前中に決めて予約注文を入れる」という方法に切り替えるだけである。つまり、コンビニとスーパーで買う品はすべて、事前にネットで「予約してから」購入すること。これが進むとネットで発注し、支払いも済ませて「家に届けて貰う」、となるかも知れない。まあ、それも一つの解決方法ではある。但し、送料が結構高くなるので、自分で取りに行ったほうがいいだろう、・・・近いし。

全部ネット予約にすれば店側は棚を商品で埋める必要もなくなり、ストックを置かないでも営業出来るので、店は「食品ロス」を出さないで済む。それに店舗スペースも商品受け渡しだけで良くなって、一石二鳥だ(さらに人手もいらなくなって、少子化時代でもやっていけるかも)。

必要ない品物をいくら見ても、どうせ買わないんだから意味なくない?

③ コンビニの親会社側は一定エリアごとに何日分かストックしておき、そこから注文に応じて「各店舗に配送」すれば良い。ネット注文する客側は「明日とか2日後」とかの分を注文すると「早割」が適用されて安くなる、なんてのも特典として効果がありそうだ。ネットばかりで商品を見ているとたまには現物を見たくなるので柏とか松戸とかに、1店舗くらいの割合で「ショールーム」を置く、というのも良いだろう。

以上。消費者が賢くなれば、結果として「食品ロス」はどんどん無くなってくる。要は「消費するだけの量を、生産すること」に尽きるのだと思う。売れるかどうか分からないものを「当てにして」作ってしまうから、どうしても売れずに残って廃棄せざるを得なくなってしまうのだ。日本の廃棄食品は「年間643万トン(2019年調べ)」もあるという。恐ろしいムダである。

世の中ではこの問題に取り組もうという機運が高まっていると言うが、その対策の殆どは余って捨てざるを得ない食品を、「うまいこと活用」してロスを減らす方式に見える。だが、私はこれでは大して効果がないと思う。一番食品ロスに効果があるのは「注文してから生産する」ことだ。そうは言ってもすべて受注生産にするというのはやり過ぎであろう。だからある程度消費量を予測して生産し、その結果出る余剰品は最小限認めるとして、最終的には余剰分は「全部冷凍保存」にすればムダは出ないと思う。日本の冷凍保存の技術は素晴らしいと聞く。これから世界に向けてどんどん「美味しい冷凍食品」を輸出して、日本の長年の夢だった「食品輸出大国」の仲間入りする日も近いのでは。

こうして食品の購入を全部ネットの予約注文制にして「ストック」をギリギリ最小限にした結果、品物の消費予想が外れてストックが足りなくなり「食べたいものの在庫が無い」となった場合は「仕方ないけど諦め」て、他の商品を買うという気持に我々がなれるかどうか、が鍵のようだ。

食品ロスを企業や生産者の問題として頭の中から切り捨てるのではなく、実は「消費者の選択の自由」こそが問題の根本原因だ、ということに気が付くべきである。食品ロスを防ぐやり方は、色々あって良いと思う。だが選択の自由を「食べる寸前まで」許していたら、結局どんな方法を取っても食品ロスが無くならないのは道理である。私はこの先、日本人全員の食べ物が「ネット予約制」になると予想しているが、皆さんどう思われるだろうか。

腹が減ってから「さあ、何食べようか」とメニューを選ぶのではなく、予め「今夜の食事何にする?」って一緒に考えるのが、デートの定番になる日も近いかも・・・。


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