古い友人

古い友人と、ぱったり会わなくなって数年が経った。
時々、今頃どうしているかなと不意に思い出すことがあったが
今年一年はちっとも思い出すようなこともなかった。
つい先日、共通の友人からメールが入って
「数年前に脳疾患で半身不随になったそうだ」と古い友人のことを言ってきた。
まさかあいつがと驚いたが、昔から無茶もするやつだったし
店のオーナーもしていたので心労があったのかも知れない。
「どうする、いっしょに見舞いに行くか」と友人が言ってきたが、
いろいろと思いを巡らせているうちに「やめとくわ」ということにした。
そのことが心に引っかかってはいるが、行くなら一人で行こうと思っている。
うちの親父も５１歳で倒れて、当初は仕事仲間や友人が見舞いに来たようだが
親父本人としては、言葉も話せない身体も動かないじゃ元気な見舞客の顔を見るのも
辛かったんじゃないかと思う。
そんなことを思い出したので、今はやめとくかという気になった。
昔からよく友人の親父さんのスーパーカブを勝手に借りて二人乗りで遊びに行った。
喧嘩も滅法弱いくせに自分をかばって殴られてくれたりもした。
年月が経って、とにかくこういうことになった。
今年もいろいろあったがこの友人のニュースを除いて身の回りに大事はなかった。
ようやく休みに入って物想いに耽っていたら、
窓拭きとサッシの溝掃除をしてくれとカミさんから指令が出た。