きっかけ

「若い女に目が行かないようじゃ男は何やったってダメだわ」
そんなことを言った年上の人がいたが、その人の若い女というのは三、四十代の女性のことだ。
自分が五十過ぎてようやく、
それはそうかもねと思うようになった。
だんだん年齢なんかはこだわらなくなって、魅力のある女性なら何歳だってかまわないと思うようになった。
きっと若いころみたいに下心が
なくなってきたせいもあるだろう。
相も変わらず、いい歳のおじさんが若い女に手を出し捕まったりなんかするニュースを見るたび、バカだねホントと思う。
自制心がないのかね、と嘲笑ったりすることもある。
今日、仕事帰りにスーパーへ寄ってレジに並んでいたら
自分の前にいた女子学生が小銭をバラまいた。
一緒に拾ってあげると、
嘘みたいな可愛い笑顔でお礼を言われた。
下心こそ沸かなかったが、
自分が五十過ぎであることに
一瞬嘆いた。