≪HalとNaoちゃんの待ち時間≫(1)
10月から始めた『Halの冒険』も20回になり、
ようやく、私が考えたいと思ったきっかけのメールに
たどり着きました。
そのメールを読んで、私はこの3年間、Halが何を感じ、何を考え、
何を手に入れたのだろうと思いました。
「この3年間は、Halにとってどんな意味のある時間だったのか」
「Halは学校に行くことを脇において何をしてきたのか」
「学校に行き始めたHalは何を取り戻したのだろう」
人から見ればHalは、学校にも行かず、
昼間から自転車で野山を走り回って、何も考えずに遊んでいる子、
のように見えていただろうと思います。
親は学校に行かせる努力もしないで、
わがままな子どものいいなりになって、
ほったらかしにしている…ように思われ、言われてもきました。
でも、そうした、人からは無為に見える時間や、関係のなかで、
どれほど豊かな実りが、Halのなかで育っていたのか、
熟していたのかを思いました。
そのことを、何とか表現したいと思っていたのですが、
なかなか言葉にはなりませんでした。
ちょうどそのころ、Naoちゃんの話を聞きました。
Naoちゃんがエネルギーの切れたアトムのように、
一ヶ月の間、廊下に倒れていた光景も同じでした。
自分で、家から学校に戻ろうと思ったHalも、
自分で、廊下から教室に戻ろうと思ったNaoちゃんも、
彼ら自身の内奥から、豊かに自己回復し、
自分自身の希望に向って動き出しました。
それは、誰もが持っている子どもの力なのだと思います。
でも、その「待ち時間」を十分に自分の大事な時間として、
余計なじゃまをされずに、
自分の納得のいくまで味わうことができたのは、
やはりめずらしい幸運なことだと思うのです。
そこには、HalやNaoちゃんに、
そのような時間を準備した親の思いと覚悟がなければ、
子どもだけでは、持つことのできない時間でした。
目に見えるカタチで、子どもに働きかけるカタチではなく、
子どもを信じて、余計なことをしないで、待つ時間でした。
最新の画像もっと見る
最近の「Halの冒険」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- ようこそ就園・就学相談会へ(445)
- 就学相談・いろはカルタ(60)
- 手をかすように知恵をかすこと(28)
- 0点でも高校へ(393)
- 手をかりるように知恵をかりること(60)
- 8才の子ども(161)
- 普通学級の介助の専門性(54)
- 医療的ケアと普通学級(90)
- ホームN通信(103)
- 石川憲彦(36)
- 特別支援教育からの転校・転籍(48)
- 分けられること(67)
- ふつう学級の良さは学校を終えてからの方がよくわかる(14)
- 膨大な量の観察学習(32)
- ≪通級≫を考えるために(15)
- 誰かのまなざしを通して人をみること(133)
- この子がさびしくないように(86)
- こだわりの溶ける時間(57)
- 『みつこさんの右手』と三つの守り(21)
- やっちゃんがいく&Naoちゃん+なっち(50)
- 感情の流れをともに生きる(15)
- 自分を支える自分(15)
- こどものことば・こどものこえ・こどものうちゅう(19)
- 受けとめられ体験について(29)
- 関係の自立(28)
- 星になったhide(25)
- トム・キッドウッド(8)
- Halの冒険(56)
- 金曜日は「ものがたり」♪(15)
- 定員内入学拒否という差別(85)
- Niiといっしょ(23)
- フルインクル(45)
- 無条件の肯定的態度と相互性・応答性のある暮らし(26)
- ワニペディア(14)
- 新しい能力(28)
- みっけ(6)
- ワニなつ(352)
- 本のノート(59)
バックナンバー
人気記事