ワニなつノート

気管切開とふつう学級への入学(予告編・その2)


気管切開とふつう学級への入学


《資料の紹介》



行政の文書は硬すぎて、ふだんはあまり載せません。

でも、今回の就学相談会で、保育園や小学校を断られているというお母さんが何人もいました。

7年前に、初めて「気管切開」の子どもの相談があったときには、少しだけ苦労しました。
どの市も「前例がない」とか「難しい」とか。

だから、気管切開の専門医などに来ていただいて「学習会」を開き、そこに教育委員会の人も参加してくれて、無事に入学できました。

その後は、「要望書」を出さなくても、普通学級に入学できる子どもが増えました。

あれから7年。
状況はずいぶん変わりました。

でも、積極的に変わったのは「学校」=文部科学省ではなく、厚生労働省と内閣府のようです。
それで文部科学省も同じようにしなければならなくて苦労しているんだろうな、と感じます。

その辺のことが分かる文書を紹介します。

今年の6月3日に出された、《医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について》という文書です。

特に、これから「医療的ケア児」の就園・就学に不安を抱えているお母さんたちに、この文書を読んで、自信をもって行政に話に行ってほしいと思います。


内閣府子ども・子育て本部統括官をはじめ、これだけの局長が、こういう文書を出していて、6歳の子どもが地域の普通学級に入れないなんてはずがありません。



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平成28年6月3日


医政発0603第3号
雇児発0603第4号
障発0603第2号
府子本第377号
28文科初第372号


各都道府県知事
各指定都市市長
各中核市市長   殿

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
附属学校を置く各国立学法人学長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた
各地方公共団体の長   殿



厚生労働省医政局長(公印省略)
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長(公印省略)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長(公印省略)
内閣府子ども・子育て本部統括官(公印省略)
文部科学省初等中等教育局長(公印省略)



医療的ケア児の支援に関する保健、医療、
福祉、教育等の連携の一層の推進について




「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号。以下「改正法」という。)が本日公布され、改正法により新設された児童福祉法(昭和22年法律第164号)第56条の6第2項の規定が本日施行された。これにより、地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(以下「医療的ケア児」という。)の支援に関する保健、医療、障害福祉、保育、教育等の連携の一層の推進を図るよう努めることとされたところである。


ついては、各地方公共団体におかれては、下記の趣旨及び留意事項を十分ご理解の上、所管内の医療的ケア児の支援ニーズや地域資源の状況を踏まえ、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関の連携体制の構築に向けて、計画的に取り組んでいただくようお願いする。


また、各都道府県におかれては、貴管内市町村(指定都市及び中核市を除き、特別区を含む。)に対する周知につき、各都道府県教育委員会におかれては所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して、各指定都市教育委員会におかれては所管の学校に対して、各都道府県知事及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては所轄の学校及び学校法人等に対して、各国立大学法人学長におかれては附属学校に対する周知につき、それぞれお願いする。


なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。


(参考)児童福祉法第56条の6第2項地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他各関連分野の支援を受けられるよう、保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければならない。



         記


1【児童福祉法第56条の6第2項の趣旨】


医療技術の進歩等を背景として、NICU等に長期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児(医療的ケア児)が増加している。

このような医療的ケア児が在宅生活を継続していこうとする場合、その心身の状況に応じて、保健、医療及び障害福祉だけでなく、保育、教育等における支援も重要であり、また、当事者及びその保護者等が安心して必要な支援を受けるためには、関係行政機関や関係する事業所等が「利用者目線」で緊密に連携して対応することが求められている。

このため、今回の法改正においては、地方公共団体は、医療的ケア児がその心身の状況に応じて適切な保健、医療、障害福祉、保育、教育などの関連分野の各支援を受けられるよう、関係機関との連絡調整を行うための体制整備を図るよう努めることとされており、地域における連携体制の構築の中心となる役割を担い、実効性のある取組につなげていただくことが期待されている。

あわせて、各分野における取組も着実に進める必要があるため、以下のとおり、分野ごとの留意事項をとりまとめているので、今後の各分野の施策のニーズ調査、立案、計画、実施等の段階において、十分ご配意願いたい。



2【保健関係】


母子保健施策は、低出生体重児の届出、新生児の訪問指導、乳幼児健診などを通じて、市町村(特別区を含む。)の母子保健担当者が広く乳幼児及びその保護者等と接触する機会となっている。

市町村(特別区を含む。)の母子保健担当者は、母子保健施策の実施を通じ、医療的ケア児であることを把握した場合には、当該医療的ケア児が心身の状況に応じて適切な支援が受けられるよう、その保護者等に対し、必要に応じ、関係課室等について情報提供を行うとともに、保護者等の同意を得て、関係課室等と必要な情報の共有に努めるようお願いする。



3【医療関係】


(1)在宅で生活している医療的ケア児やその家族が必要な訪問診療や訪問看護などの医療を受けながら生活することができる体制の整備が重要である。

都道府県が小児・在宅医療の提供体制を構築するに当たっては、医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4に規定する医療計画策定の参考として、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成24年3月30日付け医政指発0330第9号厚生労働省医政局指導課長通知。以下この3において「通知」という。)


別紙「小児医療の体制構築に係る指針」において、一般小児医療を担う医療機関に求められる事項として、他の医療機関の小児病棟やNICU、PICU等から退院するに当たり、生活の場(施設を含む。)での療養・療育が必要な小児に対し支援を実施することや、通知別紙「在宅医療の体制構築に係る指針」において、退院支援から生活の場における療養支援、急変時の対応、看取りまで継続して医療が行われるよう、また、関係機関の信頼関係が醸成されるよう配慮すること等を示しており、関係機関間の連携体制構築について、十分ご配意願いたい。


(2)また、各都道府県が作成した事業計画に基づき実施する小児在宅医療を含めた居宅等における医療の提供に関する事業については、地域医療介護総合確保基金の活用が可能であり、これまでの実績として、小児在宅医療従事者育成のための研修会の開催や訪問看護ステーションを対象とした小児訪問看護相談窓口の設置等が実施されているところである。
引き続き、その活用について十分ご配意願いたい。



4【障害福祉関係】



(1)医療的ケア児に関する地域のニーズや地域資源を把握し、必要な福祉的な支援に向けて計画的に体制を整備していくことが重要である。

従来から、障害児についての支援体制を計画的に整備するため、障害福祉計画において必要な記載に努めるよう基本指針(「障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成18年厚生労働省告示第395号 )) において示してきたところであるが、改正法による改正後の児童福祉法第33条の19から第33条の25までの規定に基づき、各地方公共団体は障害児福祉計画を策定することが義務付けられ、平成30年4月1日より施行されることとなったことから、今後は、これらを活用して、医療的ケア児の支援の体制の確保を図るようお願いする。


(2)特に、医療的ケア児を受け入れることができる短期入所や児童発達支援を必要としている医療的ケア児のための障害児通所支援等の確保が重要である。

平成28年度からは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく地域生活支援事業について、短期入所事業所の整備を推進するため、新規開設事業者を対象として、既存施設の取組の好事例等についての講習会の実施等(医療型短期入所事業所開設支援)を補助対象としているところである。

また、平成28年度診療報酬改定において、医療型短期入所サービスによるものを含めた医療的ケア児等の受入れの体制が充実している入院医療機関の評価が引き上げられたほか、医療型短期入所サービスの利用中の医療処置等について診療報酬を算定できることが明確化されている。


医療的ケア児の状態やその家族の状況を踏まえ、地域における短期入所や児童発達支援のニーズを適切に把握し、医療的ケア児を受け入れることができる事業所を計画的に確保するよう、ご配慮をお願いする。



5【保育関係】


保育所等における保育は、保護者が就労している場合など保育を必要とする子どもに対して一般的に提供されるものであり、医療的ケア児についてもそのニーズを受け止め、これを踏まえた対応を図っていくことが重要である。

「平成27年度障害者支援状況等調査研究事業『在宅医療ケアが必要な子どもに関する調査』」によると、調査対象となった医療的ケアを行っている子ども(0~5歳)のうち約2割の子どもが保育所・幼稚園等を利用しているという結果が出ており、子どもの対応や保護者の意向、受入体制などを勘案して受入をお願いする。

また、医療的ケア児については、看護師等の配置が必要となる場合もあるため、医療的ケア児の保育ニーズに応えられるよう、看護師等の配置等についてご配慮をお願いする。

なお、子ども・子育て支援法に基づく基本指針(「教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども・子育て支援給付及び地域子ども・子育て支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成26年内閣府告示第159号))において、障害、疾病など社会的な支援の必要性が高い子どもやその家族を含め、全ての子どもや子育て家庭を対象とし、一人一人の子どもの健やかな育ちを等しく保障することを目指すこととされていることを踏まえ、保育所等、幼稚園、認定こども園においても、医療的ケア児のニーズを受け止め、これを踏まえた対応を図っていくことが重要である。



6【教育関係】



障害のある児童生徒等が、学校において、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害のある児童生徒等が障害のない児童生徒等と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、必要な施策を講じることについては、「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」(平成25年10月4日付け25文科初第756号文部科学省初等中等教育局長通知)等においてかねてよりお願いしてきたところである。


また、学校において、医療的ケアを行うに当たっての基本的な考え方や関係機関との連携体制を整備することについては、「特別支援学校等における医療的ケアの今後の対応について」(平成23年12月20日付け23文科初第1344号文部科学省初等中等教育局長通知)において示してきたところである。

今後は、これらの基本的な考え方の下、今回の法改正の趣旨も踏まえ、医療的ケア児やその保護者の意向を可能な限り尊重しつつ、都道府県教育委員会と市町村教育委員会との連携に加え、関係部局や関係機関とも連携しながら、その教育的ニーズにより一層適切に応えられるよう、以下のとおりご配慮をお願いする。


(1)上記通知(平成25年10月4日付け25文科初第756号)の第2「早期からの一貫した支援について」でお示ししたとおり、市町村の教育委員会が、保健、医療、福祉、労働等の関係機関と連携を図りつつ、医療的ケア児を含む障害のある児童生徒等に対する、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した教育相談体制の整備を進めることが重要であり、都道府県の教育委員会においては、専門家による巡回指導を行ったり、関係者に対する研修を実施したりする等、市町村の教育委員会における教育相談支援体制に対する支援をお願いる。


(2)上記通知(平成23年12月20日付け23文科初第1344号)の「別添」でお示ししたとおり、学校において医療的ケア児が安全に、かつ安心して学ぶことができるよう、医療的ケアを実施する看護師等の配置又は活用を計画的に進めるとともに、看護師等を中心に教員等が連携協力して医療的ケアに対応するなどの体制整備に努めていただくようお願いする。

その際、文部科学省において実施している公立の特別支援学校及び小・中学校への看護師等の配置などに対する補助事業を活用することが可能である。

また、小・中学校等の特別支援教育支援員の配置については、地方交付税により措置しているところである。



(3)関係機関や関係部局と積極的に連携を行いながら、学校において医療的ケアを行う看護師等を確保するとともに、看護師等が学校において医療的ケア児に必要な対応を行う上で必要な研修の機会を充実するようお願いする。


(4)看護師等の養成課程において、医療的ケア児を含む障害のある子供の特性を学ぶ機会について、協力を求められた場合には、教育委員会において、特別支援学校等で実習を受け入れるなど、積極的に協力することをお願いする。



7【関係機関等の連携に向けた施策】


(1)医療的ケア児とその家族を地域で支えられるようにするため、保健、医療、福祉、教育等の医療的ケア児支援に関わる行政機関や事業所等の担当者が一堂に会し、地域の課題や対応策について継続的に意見交換や情報共有を図る協議の場が必要である。

そのため、地域において協議の場を設置し、定期的に開催することをお願いする。

協議の場については、(自立支援)協議会、医療的ケア運営協議会、慢性疾病児童等地域支援協議会、地方版子ども・子育て会議等の既存の会議の枠組みを活用することも考えられる。

また、都道府県単位の設置・開催だけでなく、二次医療圏や障害保健福祉圏域、市町村単位の設置・開催も想定されるので、地域の実情に応じて検討することをお願いする。


(2)一人一人の医療的ケア児のためには、福祉や医療等の関係分野について一定の知識を有した者により、その暮らしの設計を手助けできる調整者が必要である。

そのため、地方公共団体等において重症心身障害児者等及び医療的ケア児の支援をコーディネートする者の育成を進めていくことをお願いする。


(3)地方公共団体の医療的ケア児の支援に関わる課室等は、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の幅広い分野のものとなることから、互いの連携体制を確保することが必要である。

そのために、関係課室等が日頃から相談・連携できる関係性の構築に努めていただきたい。

なお、連携体制の構築にあたっては、地域における連携体制の構築において先駆的に取り組んでいる地方公共団体の事例をまとめた「在宅医療及び障害福祉サービスを必要とする障害児等の地域支援体制構築に係る医療・福祉担当者合同会議」、「小児等在宅医療連携拠点事業」、「重症心身障害児等の地域支援に関するモデル事業」等の資料を参考に、地域の特性を踏まえつつ、連携体制構築の取組の推進をお願いする。
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