ワニなつノート

『普通学級の障害児のために知っておきたい大切なこと』(その13)



『普通学級の障害児のために知っておきたい大切なこと』(その13)



※ このシリーズのブログが止まっています。
理由は、「通訳になろう」という文章を、「普通学級の障害児のために」翻訳しようかと迷っているからです。
何度も原稿を書いてみたのですが、その度に、足りない視点が浮かびます。

今まで、「指点字」という「通訳」のことや、『逝かない身体』から「意味をも委ねる生き方」という「通訳」のことを紹介してきました。
「通訳」や「代弁者」としての役割の大切さは私なりに理解してきたつもりです。

ただ、私が一番多くつきあってきた知的障害や自閉と言われる子どもにとっては、「通訳」や「代弁者」(付き添いや介助者)という存在が、「子ども同士の世界」にとっていかに邪魔だったかも教えられてきました。

もちろん、私自身も通訳的な説明をしてきたこともあります。
子どもの「問題行動」と言われるものが、本当は子どもの「適応しようとする気持ち故の行動」だと説明したいと思ってもきました。

その辺を、きれいに整理することが難しいので、この項は、とりあえずという形で紹介してみることにします。一通り書いた後に、書き直すことになるかもしれません。



          yellow21

《「通訳になろう」と「通訳になってはいけない」の間で》

まず原文の「通訳になろう」を紹介します。


【通訳になろう】
『混乱している人が何を伝えようとしているのかを理解するためには、特別な技を身につける必要があるでしょう。

相手について長年知っている場合であっても、このことはあてはまります。
相手の言うことに対応する際、最善の方法は、どんなに支離滅裂で変わったことをやったり言ったりしているようでも、何かを伝えようとしているのだと捉えることです。

実際、外国語の通訳のようになる必要があるわけですが、ここには一つの大きな違いがあります。
それは、混乱した人の数だけ、違う言語があるということです。

大切なことは、言葉のイメージ通りの意味にとらわれないことです。
その言葉の奥にあるメッセージや表現されている望みを探してみてください。
言葉と一緒に伝わってくる感情を理解するようにしてください。』

(『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと』筒井書房)


          


原文は認知症の人のことであって、普通学級の障害児の話ではありませんが、それでも「通訳」という言葉には違和感がつきまといます。

でも、一般には、認知症の人であれ、自閉症や知的障害の子どもであれ、「通訳」や必要だと思われていたり、「理解するために、特別な技を身につける必要がある」と考えられているようです。
そのことが、障害児は専門の先生でないと付き合えないと思われたり、特別支援教育や個別指導を勧める理由になったりもしています。

でも、子どもの言葉、その子どもの思い、子どもの行動を、「理解」するために、「特別な技」は本当に必要でしょうか?

教師や大人には、必要かもしれません。
でも、子ども同士、とくに幼い子ども同士には、「特別な技」が必要だとはどうしても思えないのです。

私自身が、障害のある子どもたちのことばや、言葉では話さない「ことば」を少しは理解できるようになったのは、「特別な技」を身につけたからではありません。
そうではなく、障害のある子もない子も一緒にいる生活や遊びや学びの場にいるなかで、子ども同士のやりとりから、気づかされてきたことの方が圧倒的に多いと感じています。


原文のなかで、素直に受け取れるのは、次の二つの言葉です。

① 「どんなに支離滅裂で変わったことをやったり言ったりしているようでも、何かを伝えようとしているのだと捉えることです。」

② 「大切なことは、言葉のイメージ通りの意味にとらわれないことです。その言葉の奥にあるメッセージや表現されている望みを探してみてください。言葉と一緒に伝わってくる感情を理解するようにしてください。」



この部分は、「普通学級の障害児のために」当てはめても、その通りだと思います。

でも、ここに書かれていることは、「特別な技」「通訳」という言葉で表現するのが適切なのでしょうか。そこのところを、もう少し考えてみたいと思います。

(つづく)
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