ワニなつノート

親の当事者研究(その2)



≪「個人苦」から「世界苦」へ≫

「当事者研究」の持つ力のひとつは、
『「個人苦」が「世界苦」へと広がる経験をすること』
だと、向谷地さんは言います。

『当事者の感じる孤立感の一つに、自分の抱える生きづらさが、
周りの人との間で共有されないという苦しさがあります。』

だから、大切なことは、いかに「自分の苦労」を「みんなの苦労」として、
人と人とのつながりを取り戻すということ、になります。

「普通学級に障害をもつ子を通わせる親」としての「当事者」も、
まったく同じ苦しさがあります。

一人だけ、席に座らないで教室の外に出ていってしまう…。
一人だけ、みんなと違うことをしている…。
一人だけ、遠足のつきそいをしてくださいと言われる…。

それは「一人の問題」ではなく、
本当は先生の対応も含めた全体の問題であるのに、
それが「障害児」だと、あっさり「個人」の問題にされます。

それに対して、腑に落ちない感じはあっても、
我が子のことだからと、飲み込む習慣を、
なぜかほとんどの親は身につけています。

その「ものわかりの良さ」が、
「一人の子どもの問題」を、「障害児の問題」に狭めてしまい、
結果的に自分の孤立感を深めることになります。

そうして、「周りの人との間で共有されない苦しさ」は、
「この子が障害児だから」ということにしてしまい…、
悪循環に陥ります。

この子の問題は、ひとりこの子の障害の問題ではなく、
みんなの問題であるという受けとめ方を持てたら、
子どもはそれだけでずいぶん楽になれる気がします。

それは、偶然この子に起きた問題としてではなく、
一人の問題を超えて「人間のテーマ」として受けとめるという
見方につながります。

子どもが引き起こす一つ一つの問題エピソードは、
ある意味、子どもたちみんなの抱える現実の行き詰まりに
つながっているのです。

「世界の抱える苦しみに自分はつながっている」

当事者研究とは、「自分という人間が、今ここに生きてあることを支える
具体的な人のつながりを蘇らせていく歩みでもあります。」
「悩みを苦労に変え、苦労をテーマに変えていく作用を持っています。」


(当事者研究やべてるについて、興味のある方へ。)

とりあえずのお薦めは『安心して絶望できる人生』です。
NHK出版から出ている新書版なので、読みやすいです。
740円(^.^)

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