講演会に向け、
そして3人の就学に向けて、
準備しなければならないことがいっぱいあります。
私たちはあまり深く考えずに動く会なので、
じっくり準備するのは本当は得意ではありません。
なにぶん、今は亡き師の教えの一つが、
「軽はずみのココロ」でしたから。
1973年、松下竜一さんは、弁護士なしの本人訴訟で、
九州電力を訴え、環境権裁判を闘いました。
今でこそ、環境、環境と、誰もが唱えますが、
当時は、「環境権」などという発想はなく、
弁護士1人見つからなかったのです。
松下さんはこう書いています。
「ランソの兵をこころざす者のココロガマエは、
一にも二にも≪軽はずみ≫を要諦とする。
なによりもいけないのは、
シンチョウのココロにとらわれることである。
いったんシンチョウあるいはシンコクのココロに
とらわれた者は、もはやランソの兵としては立てぬ」
「ランソの兵」とは、「濫訴」のこと。
つまり、国や行政が、人々の暮らしを考えずに
勝手に開発ばかり行っていることを、
みんなが訴えていこうという、呼びかけでした。
法律の前に、「いのちき」(豊前の方言で暮らしや生活のこと)
ありという姿勢でした。
こんな場面があります。
弁護士を頼まずに、七人の原告が、
初めて裁判に臨んだ日、
テープレコーダーで録音することを許可されて、
松下がスイッチを押すと、突然、法廷に
映画『荒野の七人』のテーマが鳴り渡る。
機会に弱い松下にスイッチを押させて、
この音楽を流し、松下たちをリラックスさせようとした
支援グループの三人娘のたくらみが成功した場面。
満場の爆笑がおさまったところで、
原告の一人がいいます。
□ □ □
常東:「どうも不測の椿事で失礼しました。
しかし、私はですね、今のことで思うことがありました。
今の椿事を笑わなかったのは、本法廷の中で
被告席の四人(九州電力の弁護士)と
裁判官三人だけでした。
裁判長、なぜあなたは笑わなかったのでしょう?
軽々しく笑えば、裁判長の権威にかかわるという考え方が、
裁判長、あなたの心の中にあるのではありませんか。
たとえば、裁判長、あなたはその高い席で、
急に屁をもよおしたらどうしますか。
必死にこらえようとつとめるのではありませんか。
(傍聴席爆笑)
しかしですね、屁をへったからといって、
我々は裁判長の権威が揺らぐなどとは考えないのです」
裁判長:「ちょ、ちょっと待ってください。常東さん、
もっとマジメにやってもらわんと困りますな」
常東:「マジメなんです。
私がいわんとしていることは、
我々しろうと原告団が裁判長に期待しているのは、
まさに我々庶民と同じくらしの次元に根ざした
感情と知恵の人であってほしいということなのです。
おかしい時は共に笑ってほしいし、
生理的に屁をもよおせば遠慮なく放屁してほしい。
そのことによって法廷がよしんば爆笑するとしても、
それは裁判長の権威を毫もおとしめるものではなく、
より人間的共感と信頼を高めるはずなのです。
(傍聴席より声あり『そうだっ!』)
裁判長、本裁判の中で何よりも大切にしてほしいのは、
法律よりはくらしに視点をおいて
いただきたいということです。
我々原告七人、誰も法律に疎い者ばかりです。
しかしですね、私は思うのですが、
もともとくらしが先にあって、
法律はあとから作られたものでしょう。
法律があるからくらしがあるのではなく、
くらしがあるから法律があるのではないでしょうか。」
『五分の虫、一寸の魂』
松下竜一 河出書房新社
そう、学校があるから、子どもがいるのではなく、
子どもがいるから、学校があるんでしょう。
子どもに合わせて、学校が変わらなくちゃ(o|o)
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