日常性の喪失
「日常性」の喪失。
「ふつうの暮らし」を失うということ。
子どものころからずーーーーーっと私が気になっていたのは、これだったと思う。
はじまりは、親父が酔っぱらって暴れることだった。
怒鳴り声とガラスの割れる音とともに、日常が消えた。
ふだんは子煩悩な父親だった。
でも、酒が入ると別人になった。
子どもにはその意味が分からない。
真夜中から明け方、お袋の背中におぶわれていた記憶がある。
いや、おんぶされる1・2才のことならば、記憶に残るはずがない。
でも、やっぱり私のなかには、お袋の背中で揺れていた記憶がある。
酔っぱらった親父のいる家に帰れず、ずっと外を歩いていた記憶がある。
◇
「日常性」の喪失。
「ふつうの暮らし」を失うということ。
勉強より何より、気になって仕方なかったのは、そのことだった。
二番の喪失は、分けられた8才のとき。
普通学級にいられなくなると思った日。
家にいられなくなると思った日。
自分が悪い子だから、みんなと一緒にはいられない。
子どもにはその意味が分からない。
◇
「日常性」の喪失ということ。
「ふつうの暮らし」を失うということ。
どうしたら、それを防げるのか。
どうしたら、「ふつうの暮らし」を守れるのか。
考えつづけてきたのは、そのことだった。
子どものときは、ウルトラマンになるしかないと思った。
その子どもが、大人になって、
「どの子も地域の普通学級へ」と言い続けていること。
その子どもが、大人になって、
家を失くした子たちと暮らす仕事をしていること。
なんて、単純な人生を生きてきたのかと思う。
なんて、幸せな人生を生きてきたのかと思う。
◇
さてと、相談会まで24日。
こんなことを考えてる場合じゃなくて、相談会の準備をしなくちゃ。
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