その「信じる」を知らない

その「信じる」を知らない




その「信じる」を私は、知らない

その「信じる」を私は、経験したことがない

その「大丈夫」を私は、経験したことがない


　　　　　　　　　◇


生まれたばかりの命を委ねるしかなかったあのとき、
私は信じることしかできなかった

無力さと頼りなさのちいさな命を委ね、
信じることしか私にはできなかった

私にできるのは、この子の力を信じること
医師や看護師やすべての人を信じることだった

もしこの子がここで助かったら、
生き延びることができたら、
私は命がけでこの子を守ると誓った


　　　　　　　　◇


命は委ねられるのに、
０点の姿は委ね難い

信じる力を
委ねる力を
ひとはどうやって培うのか

命は委ねるしかなく、
信じるしかなく、
医師や看護師や救急救命士はそれに応えてくれた
何度も　何度も

でも教師は、勉強できない子を、
医師や看護師が命を守ってくれるように守ってくれるだろうか？
大切にしてくれるだろうか？


　　　　　　　　　　　　◇


9月29日、就学相談会。

私にとって「就学相談会」とは、
その「信じる」の在りかを問われる時間。
私の「信じる」を問われる時間。

本心を言えば、その「信じる」を、私は知らないまま大人になった

その「信じる」を、私は経験したことがなかった

その「大丈夫」を、私は経験したことがなかった

でも、いまは知ってる。

その「信じる」を生きている子どもに教えてもらったから
その「信じる」を生きる人たちに教えてもらったから