子どもたちからの贈り物 (その6)
《電池》
井上雄彦の「リアル」と「バガボンド」が大好きで、
年に何度も読み返します。
年に1巻のペースで新刊が出るので、
そのたびに1巻から読み返してしまいます。
リアルはいま9巻だからまだいいのですが、
バガボンドは31巻で寝不足の素です。
先日、NHKの番組の中で、
井上雄彦の話を聞きました。
井上は8歳のときに、両親が別居し、
東京から母の実家に戻り、祖父と暮らしたと言います。
そして、高校生のとき、井上が描いた絵を見て、
祖父が言った言葉。
「髪の毛が生きとっごたいね」
その祖父の一言が、
いまも彼の描き続けるエネルギーだと話していました。
「その絵を褒められたってことがうれしくて、
それがこう、糧になっているっていうか、
自分の中でやっていける電池みたいなね。」
私が彼の作品の隅々から感じていたのは、
「電池」だったのだと、
改めて思いました。
わたしが「贈り物」のテーマで書きたかったのは、
そのことでした。
大人になっても、幾つになっても、
「自分の中でやっていける電池」。
私はいつも、目に見えるもの、能力や作品以上に、
子どもが抱く動機を大切にしたいと思うのです。
それは、山田泉さんの言葉とまっすぐにつながります。
「…せめて、学校だけは「人は信じられるんや」
ということを伝えてほしいんよ。
社会に出て、人に裏切られて、
どんなに惨めな人生であっても、
子どもの時、友達は信じられる、
信じられる大人がいたという思い出があれば、
やり直しがきくと思うの。」
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