ワニなつノート

子どもを分けてはいけない4つの理由 (4)



≪北村小夜さんの、『子どもを分けてはいけない4つの理由』≫

3・ ≪将来にわたって地域で普通の生活をすることがむずかしくなる≫ 



地域で暮らすには地域の暮らしの場数を踏んでいないとだめですよね。
私が今でも付き合っている27歳になるなおちゃんという人がいます。
小学校と中学校と普通の学校に行きました。
その人は言葉は少ししか出ません。
普通学級に行って何ができるようになったかと言われると、
何もできるようになっていませんけれど、
でも地域で暮らすことはできます。

養護学校だと、紙のお金で練習したりすることがありますけど、
障害を持っている人は、机の上ではできても、
実際のとこではできにくいということがありますよね。
なおちゃんはみんな実物でやっているわけですから。

なおちゃんと駅に集まって一緒に出かけたりすることがありますが、
なおちゃんは券売機のところに行って、
左側の一番安い切符を買って、さっさとホームに入ってしまいます。

私はなおちゃんから教わることが多いです。
その駅で買った切符は、絶対その駅の改札が通れるんですよ。
分かりきった事ですけど、
ついつい行き先がどこだから、いくらだとかを考えるわけです。

なおちゃんにしたら、とにかく改札に入るのが第一目的なわけで、
そのためには切符を買えばいい。
きっと何回も失敗したり、損をしたりして得た結論だと思います。

一番左端のところに電気が付いたらそれを押す。
降りる時にはどの駅にも駅員さんがいる改札があるので、
そこへ向かって突進していき、切符見せながら、
いつもウエストバッグにジャラジャラとお金を入れているので、
駅員さんに足りない分を取ってもらう。

お金を取ってもらうとね、なおちゃん言葉で
「ワチャワチャηλξπρρ」と何か言うんです。
それは「ありがとう」とか「ご苦労さん」だとかに聞こえます。
いまどき、駅員さんにねぎらいの言葉をかける人は滅多にいませんから、
駅員さんはニコニコしながら、
「気をつけて行ってきなさい」とか言ってくれるんですね。
まったく困らないです。

地域でずっと暮らしているから地域の人とも顔なじみだし。
スーパーに行ってもその調子で、だいたいうまく買い物します。

彼は、千円で買えるのはだいたいこのぐらいだとレジに行く。
私たちはレジに行って一生懸命数字を見ますが、
彼はレジのお姉さんの顔をジーっと見ています。
お姉さんは、お金が足りないときは足りない顔をちゃんとしてくれますからね。
そうしたらもう一枚出すとか、物を減らすとかすればいいですからね。
全然不自由はしていません。

普通の生活をしようと思ったら、普通の経験を沢山積む。
学校でいうなら、普通学校に行くべきですよね。
普通学校とは普通の子どもが普通に行くところですから、
特別なところではないわけですから、
普通の暮らしをしようと思ったら、そこに行くしかないと思います。

そこが居心地が悪いから逃げ出すのでなく、
居心地良い様にしていかなければいけないのです。

居心地が悪いのはこっちのせいではなくて、
学校を作った人たちのせいなわけですから。

そのことは学習指導要領にも、
「心身に障害を持つ子どもがついていけそうにない教科は、
それなりに工夫をすること」とちゃんと書かれているわけで、
決して不都合なことをしているわけではないんです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ようこそ就園・就学相談会へ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事