今、この本を読んでいる。
池上彰と僕は同じ時代を生きてきた。
池上は1950年(昭和25年)生まれで、僕は1951年(昭和26年)生まれ。
この本に書かれてる事は、全て僕らが経験したことだ。
池上は慶応で僕は同志社でマルクス経済学を勉強していた。
当時の大学の経済学部にはマルクス経済学(マル経)と近代経済学(近経)があり、マル経の方が優勢だった。
その後、池上はNHK、僕は東スポで記者になった訳だ。
読み進みながら「うんうん、そんなこともあったな~」と、懐かしく大笑いもした。
小学生の頃、新たにウチに来た電気冷蔵庫で氷を作り、白黒テレビで銀髪鬼ブラッシーが力道山に噛みつき、大流血させたのを冷たい氷を齧りながらガタガタ震えて観たのを思い出した。
電気掃除機で金魚を吸い込もうとして、掃除機を駄目にし、母親にメチャクチャ怒られたこともあったな。
東京五輪、大阪万博は大盛り上がりやったな。
学生達も街頭に出て活発に反戦デモをした。
柴田翔の「されどわれらが日々」、高野悦子の「二十歳の原点」も読んだな。
入社して髭を伸ばしたら、軍隊帰りの編集局長から「入社1か月で髭を伸ばすとは。明日は剃って来い!」と大声で怒鳴られた。
素直な僕は慌てて髭を剃ったな。
田中角栄がロッキード事件で逮捕されたのは会社のテレビで見たな。
そんなことを思い出しながら読んでいる。
あの頃は高度経済成長の真っ只中で、日本には勢いがあった。
みんな今日より明日はもっと豊かになれると信じていた。
そして日本は西ドイツを抜き、世界2位の経済大国になった。
そんな昭和を描写した本だ。
昭和天皇が崩御される頃にバブルが弾け、日本は「失われた30年」に入り、現在に至る。
そして今年、ドイツに抜き返され、日本のGDPは世界4位に転落する。