●五感俳句010・聴覚04・中尾白雨
○「鶫罠みて来し兄の口笛か」(中尾白雨01)
季語(鶫・秋)
今回の五感は聴覚の第4弾。基本的な俳句の五感は、写生に代表される視覚なのですが、聴覚もあなどれません。
鶫(つぐみ)を仕掛けた罠を見てきた兄が帰ってきました。しかし、その表情を目で見たわけではありません。口笛の音でわかったのです。その口笛で、兄の不敵な表情が見えるようです。若くして亡くなった作者の病床での句かも知れません。
○中尾白雨(なかおはくう)(1909~1936)
代表句「喀血の蚊帳波うつてはづされぬ」02
季語(蚊帳・夏)
静岡県浜松市出身。1915年、浜松師範付属小学校に入学、修了後浜松中学校に入学。1926年家庭の都合で東京の明治学院中等部に入り卒業。教員となる。1930年、結核を患い退職。療養生活を経て自宅に静養。1932年→水原秋櫻子の「馬酔木」に初めて投句し、認められて1935年同人となる。
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