ありふれた民家――ではありません。
全景は
こうです。
もうお分かりになりましたでしょ?
そうです、
駅舎です。
愛知県江南市布袋町にある名古屋鉄道犬山線「布袋(ほてい)」駅。
なかなかクラシックでしょ?
それもそのはず、
外観は何度か補修されていますが、
本体は大正元年(1912年)に本線が開業した際に建てられたもの。
つまり築87年というのは、200余を数える名古屋鉄道の駅舎の中でも、最も古い駅舎なのです。
瓦葺きの屋根に、アーチ型の洋風の車寄せ。
その車寄せの軒下にあるのは、
名古屋鉄道の前身・名古屋電気鉄道時代の社紋だそうです。
駅舎の天井にある、たぶん以前は照明が取り付けられていた部分の模様も、
いかにも大正ロマンの趣があります。
そして、
その車寄せの屋根を支える柱の根元を見ると、
地震のせいだったのかどうか、
土台の石と少なくとも5、6㎝もズレているじゃありませんか。
「歴史」を感じます。
名古屋市への通勤圏内であるこの駅の
一日の利用者は8000人前後。
開業以来では一体、何人の乗降客がこの改札口を通ったのでしょうか。
江南市のホームページには「高架化の計画に伴い2012年には建て替えられる」とありますが、
「えっ? そうなの? そんな話、聞いてませんよ」と駅員さんは言います。
そう聞いてホッとするのは、
ただ単に大正ロマンに郷愁を覚える部外者に過ぎないからでしょうね。
----------------------------------------------------------------------------