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映画「ローマでアモーレ」

 
2012 米伊西 101分 原題≪To Rome with Love≫TV(シネフィル・イマジカ)で鑑賞
監督脚本 ウディ・アレン 出演 ウディ・アレン ジュディ・デイヴィス エレン・ペイジ ロベルト・ベニーニ ペネロペ・クルス アレック・ボールドウィン ジェシー・アイゼンバーグ

ウディアレンは欧州への移住以来、ロンドン、パリ、バルセロナでコメディを撮っているが、これはローマが舞台。
原題は「ローマへ、愛をこめて」

4つの物語が同時進行する
 
①イタリアの田舎から上京した若夫婦

② 娘の結婚式にローマにやってきた米国人夫婦(ウディアレンとジュディ・デイヴィス)
 婿は左翼系の美青年で名前がミケランジェロ、その父親は葬儀屋だが歌がうまい。
 
③ロベルト・ベニーニの平凡な勤め人。とつぜん有名になりパパラッチに追われる
 これはフェリーニ映画へのオマージュであろう。
④30年前の留学生時代の家を探すアレック・ボールドウィン 今そこに住むジェシー・アイゼンバーグと恋人 その友人の小悪魔(エレン・ペイジ) が実質のない知的文化的なおしゃべりで男をほんろうする。 

①道の入り組んだローマ、ペネロペクルスの娼婦、安易に情事に走る映画スター
②だれもが玄人はだしの歌のうまさ₃ただシャワー室で声がひびくのは世界共通で、何もローマだけではないだろう。
③パパラッチの大騒ぎ、つまらない些事をいちいち公表するブロガーの風潮への皮肉も感じた
④では衒学的だが中身のないお喋りと言う、初期から一貫したウディ・アレン映画の特徴が出ている。

ウディアレンではお馴染の群像劇だが、高速で展開するので記憶の中で人物同士が混じったり、TVだと途中席を立って見損ねた部分も。これじゃ記事を書けないかと一旦は思ったが、このまま放置しては多くのほかの映画同様に忘却の彼方に消えるだけ。書きながら調べながらでもう一度整理しなおしている。

実は先月来シチリアを舞台にした刑事ドラマを見始め、イタリア人の魅力にどっぷりつかっているため、アレンが彼等をどう描くか期待したが、あまりに期待しすぎたようだ。ここに登場する人物は、もちろん例によって米国人が多いがイタリア人さえも、脚色と演出のためかウディ・アレンの、つまりNY人の神経症に染まっているよう。

ただミケランジェロの美貌はイタリア男そのもの。男女とも美貌の偏差値が高いイタリアではよほど美しくないとそもそも画面に出してもらえないようだ。

初めと終わりに出てくるお巡りさんの交通事故(音だけ)への反応は面白かったが、これはイタリア的と言うよりはウディアレン的。「タロットカード殺人事件」を思い出す。

ジェシー・アイゼンバーグは「イカとクジラ」(05)「ソーシャル・ネットワーク」(10)のような少し異常な役とはちがう尋常な役で感じが良かった。建築士志望の青年であり、そもそも建築には総合的能力が必要とされるのかも知れない。。

エレン・ペイジの人を幻惑するお喋りは、彼女が14年2月同性愛を告白した時のセリフ「嘘をついて生きるのに疲れた」を思い出すが、以後はもっと違う役が付くのかもと思ってしまう。

ウディアレンのローマ愛とは、もっぱらオペラや映画を愛するということで、それ以外は旅行者並みの皮相な観察にとどまり、他のヨーロッパ都市への愛に比べるとそう深くも大きくもないのか。小泉純一郎がサミットでイタリア首相に「カンツォーネ、スパゲッティ」と連呼して恥ずかしかったのを思い出す。それとも78歳で毎年1作というノルマがそろそろ応えて来たのか。かくいう当方も同じように年を取っているし、もしかして鑑賞力が落ちてきたせいではとも思ったがネットでは、私と同意見も結構ある。

エレン・ペイジ
→「ジュノ」8-11-14
ウディアレン
→「それでも恋するバルセロナ」9-12-6
→「恋のロンドン狂騒曲」14-11-16
→「ミッドナイト・イン・パリ」14-8-5
→「タロットカード殺人事件」14-11-11
→「人生万歳!」14-11-29
→「ジゴロ・イン・ニューヨーク」15-4-4
ペネロペ・クルス
→「ボルベール」7-7-25「それでも恋するバルセロナ」9-12-6
「美しき虜」15-1-24「抱擁のかけら」10-7-15
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (セレンディピティ)
2015-03-25 09:39:21
こんにちは。
ローマを舞台にしてはいるものの
アレンの世界全開の皮肉に満ちたアメリカ映画でしたね。
私はこれはこれで楽しく見れましたが
イタリア人からしたら、イタリアやイタリア人を
ステレオタイプに描いているところがあるかもしれませんね。

ジェシーくんはソーシャルネットワーク以来のファンですが
そういえばイカとクジラを見ていません。今度チェックしなくちゃ。
 
 
 
Unknown (margot2005)
2015-03-25 19:42:42
こんばんは。

皮肉たっぷりのアレン映画は大好きです。

>初めと終わりに出てくるお巡りさん...あのシーンは今でもしっかりと思い出す事ができます。粋なシーンでした。

ジェシー・アイゼンバーグはいつも変な?役柄が多い俳優ですが、これの彼ってかなりまともで、逆に笑えましたね。
エレン・ペイジはレズビアン発言しましたが、やっぱりという印象です。

アレンの次作「マジック・イン・ムーンライト」は大好きなコリン・ファース主演で今から楽しみです。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2015-03-25 20:33:43
セレンディピティ様
コメント有難うございます。ウディアレンですから、いつもなら30点くらい底上げしてみるのですが、今ちょうどイタリアと熱烈なハネムーン状態にあるのでウディに対して冷静すぎるかも知れません。ステレオタイプ化すると、どうしても当人には納得がいかないけれど、ジョークにはこれほど面白いことはないのですよね。
「イカとクジラ」は「ソーシャルネットワークよりもさらにいたい感じの配役でした。今度の役が一番幸せそうです。「モンタルバーノ」はひかりTVで見ています。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2015-03-25 20:40:59
margot2005さま
コメント有難うございます。「マジック・イン・ムーンライト」って、アレンがゲイがらみで出てくるのではありませんでしたか?アメリカが舞台ですよね。私も楽しみにしています。

エレン・ペイジは10代で妊娠出産する「ジュノ」しか見ていません。あの映画のタイトル部分がレズビアンのムードに満ちていたことは感じましたが、彼女自身にそれは感じませんでしたが、「やっぱり」なんですか?

ジェシー君がまともなのは、ウディアレンが自分自身を投影したんでしょうね。
 
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