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気のおもむくまま。たこやきの日記的雑記。

アルツハイマー。「ヒト」というプログラムの限界(β版)

2005-07-01 | ネタとしての生物学
今度はアルツハイマー。今日習ってきたばっかりのことです。
アルツハイマーと言えば、加齢によってどんどん脳細胞が萎縮していく、進行性の病気ですね。
脳細胞の萎縮によって、いろいろなことを忘れていく。自分が誰かすらも分からなくなる。そんなイメージでしょうか。
このアルツハイマー病は、一体ナニが引き起こしているのか。
要するに脳の神経細胞が壊れてしまうんですが、その原因は、細胞の内側や外側に絡まり、カタマリを作って細胞を締め上げるタンパク質の繊維なんです。

何でんなモンが出来るんだ。
誰しもそう考えます。
それが出来る原因を取り除けばいいじゃないか、と。だって脳細胞にわるさをして、脳を破壊してしまうタンパク質ですよ?
しかし、しかし。そうは問屋が卸さないんですね。
糸くずみたいにダマになってるそのカタマリをほぐしてみたら、なんとそれは、脳細胞の中でとても重要な役割を持っているタンパク質(あるいはその一部)じゃあありませんか。
元になったタンパク質の遺伝子を壊した日には、ボケるどころかそもそも生まれてこれません。

しかし……そんな大切なタンパク質が、一体何だってそんなところにダマになってるんだ?
そこで、ナニがそのタンパク質にちょっかいをだして、本来のお役目から離れさせ、悪の道に誘っているのかが調べられました。
大体タンパク質を変えてしまうのは酵素なんですが、この場合もやっぱり、酵素でした。内側にダマを作る酵素がひとつ、外側にダマをつくる酵素がひとつ。
(ダマになるタンパク質の種類も内側と外側で違います)
じゃあ、この酵素をやっつけてしまえば……!
……やっぱり、ボケる以前に生まれて来れませんでした。
こちらも脳の発達に関係して、とても重要な働きをしていたのです。

脳の形成や発達に重要な働きをしている酵素が、重要な働きをしているタンパク質に作用して、脳を壊してゆく。
お互いに、まともに働く時の相方は別にいて、そちらと一緒ならば何の問題もないのに。
偶然、何かの弾みでこのタンパク質と酵素が出会ってしまうと、一つ、脳細胞を壊す要素が出来上がる。
そうやって、何年も、何十年もかけてそれらは蓄積してゆき、脳細胞を壊し始めます。
このことに対する先生のコメントが印象的でした。

「これは言い方を変えれば、発生(一個の受精卵が分裂しながら成長していくこと)の最終段階なんですね。そもそもヒトは、こんなに長生きするようにできてないんです。だからプログラムが未完成なんです」

そう、私たちは、生物はこんなに長く生きるモノじゃなかった。
様々な環境要因で死んでゆき、生物としてのプログラム自体の矛盾が浮き彫りになるところまで生きることはなかったのです。
そう考えると、私たちヒトは一体何処に立っているのか。どこへ向かうのか。そんな不思議さまで感じてしまいます。
生命の何物も見たことのない、限界と言う名の地平線。
そこへ向かって歩く私たちは、これから一体何を目にするのでしょう。

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