Sideway

気のおもむくまま。たこやきの日記的雑記。

イモムシから蝶へ。華麗なる変身(β版)

2005-07-01 | ネタとしての生物学
――あの醜いイモムシが、やがては華麗な蝶へと変わる……。
それは『変身』の象徴として人々の心に希望の光と神秘への憧れをあたえる……かもしれない。
全部が蝶になるんじゃなくて、中には蛾になるのもいますがね。

このような幼虫と成虫が似ても似つかぬ姿をしている昆虫たちを、完全変態昆虫と言います。
似ても似つかぬと言いましたが、実際問題彼らは蛹の中で「なんとな~く」な想像を軽く飛び越える、とんでもないことをやってます。

イモムシがその辺の葉っぱの上をのそのそ這っている。
ある日それが糸はって蛹になって、動かなくなる(動く奴もいるけどっ!)
しばらくしたらさなぎが割れて、胴体の大きさも、肢の長さも、目も翅も、ナニもかもが違うチョウチョが出てくる。
だけど普段、私たちはそれを、「そーゆーもんだ」と思って、蛹の中のことなんてさして気にしてもいないんじゃないでしょうか?
イモムシが蝶に「変わる」
この言葉をみなさんは、どんな風に受け取りますか?
「変身」っつったらやっぱり、「イモムシ」だったものが形を変えて、「蝶」になると思ってませんか?

実は違うんです。

遺伝子的には確かに、同じ一個の受精卵から分裂した、同じ個体なんですけど。
でも幼虫をやっていた細胞が分裂したり変化したりするんじゃないんです。
実は幼虫の中には、成虫(蝶)の素になる細胞が、既にワンセットそろって眠っているんです。
タイムカプセルみたいに「蝶」の体の素(原基と言います)は、幼虫の中に埋まってるんですね。幼虫が生まれた時から。
その原基は、その個体がイモムシの間は、ただ埋まってるだけです。全く働かないし、幼虫の細胞として活動したりしません。
そして、蛹になると……。
幼虫の細胞は全部溶けて消えます。
全部、なくなっちゃいます。
んで、代わりに原基が分裂を始めて、蝶の体を作るんですね。

つまり幼虫と成虫、イモムシと蝶は全く別の個体と言っても過言ではないのです。
ある程度、幼虫だった時の条件が成虫に響いたりもしますが、
基本的に一卵性の双子のように、遺伝子は全く同じものを持っているだけで、イモムシだった体が、蝶になるわけではないんです。
それというよりはむしろ、イモムシの中から蝶が出てくるんです。

……なんつう不可解な生き物だ。
(そう思ってもらえないなら、多分私の文章力不足です)
人間に例えるなら、
私が動かなくなってしばらくすると、私と同じ遺伝子を持った「別の」全く違う姿をした「誰か」が溶けた私のスープの中から出てくるんですよ。
その人の「種」はずっと私の中にあったんだけど、きっと私はそのことを知らないでしょうね。
一卵性の双子が別人のように、いや、姿形が全く違う分だけそれ以上に、
「私じゃない別人」が私の中から出てくるんです。私は、その誰かが相手を見つけて子孫を残すために、せっせと今を生きるわけですよ。

……え~、ほんのちょっとでも、「う~わ~(汗)」と思って、妄想を掻き立てられていただければ幸いです。
ではでは。

最新の画像もっと見る