Sideway

気のおもむくまま。たこやきの日記的雑記。

照れくさく格好良く……。

2008-04-21 | 日記。
何か気の効いた題名をつけられればと思いつつ、つけられなかった。
多分、この記事の題名を思いついたら、私はその題名をそのままある物語の題名にするだろう、と思う。


周囲に内定、の声が多く聞こえる中、最高まで行って初回面接で止まる私の就職活動。
ナニを失敗したのか掴みきれないまま、先に進む選考のなさに暗澹たる思いで床に就いた昨日の夜。
選考結果待ちが一社。その結果が気になって寝付けず、まどろみかけては悪い結果を半ば夢に見て目を覚ます事の繰り返しで、ほぼ眠れずその夜は明けた。夜中、自宅の布団の中、今の自分には眠ること以外に出来る事などないのに、眠っている場合ではないと頭の片隅でヒステリックに叫ぶ「焦燥」という奴の声が一晩中眠りを阻み続けたのだ。

「選考通過の電話は来ない。でも、もし選考に落ちてたらもうWEB上に結果がアップしてあるはずだ」

どうにもプラス思考に持っていけなくなった重たい頭でそう唸るように考えた私は、睡眠不足で重い体を引きずって学校まで行き、インターネットに接続した。

結果は、落選。

だるくて一向にまとまらない散らかり放題の頭の中。睡眠不足にやられて砂でも詰めたような胃袋。そんなものを抱えて一日中ずるずると這いずっていた私は、多分傍から見ていて決して愉快なものではなかったはずである。
実際問題、落ち込んで後ろ向きになり、果てしなくネガティブ思考にめり込んでいる人間というのは、見ている方も苦痛でストレスになるものだ。それは私も良く知っている。
だから出来るだけ、そんな振る舞いはしたくない。
だが、したくないと言って強がって、挙句強がっている自分が惨めになって周囲を逆恨みしかけるくらいまで理性が飛んでくると、さすがにそうも言っていられなくなる。
ある日突然ヒステリーを起こして周囲に迷惑をかけるよりは、多分凹み放題凹んで迷惑をかけるほうが、ましだろう。……そこまで考えるよりも先にこらえ性が効かなくなって、結局今日は朝っぱらから暗い顔をして、幽鬼のような声でネガティブ発想を垂れ流していた。

夕方になるとそこそこ気分も回復して、どうしようもないネガティブシンキングからは多少解放された気分だった。相変わらず寝不足の頭はロクに使い物にはならないが、腹に力を入れてしゃべり、会話を楽しむ余裕は出来ていた。
しかし、だいぶマシになったとはいえ、まだまだまともに稼動しない頭は、友人と別れるとすぐに暴走する。

立ち寄ろうとしたスーパーの駐車場を、車が右へ左へ動き回っていた。
駐車するためであろうが、結構なスピードで動くそのヘッドライトが、一瞬無闇に怖かった。

ふと、考える。
ああ、今ここで車に轢かれて死んだら、これ以上は無いくらい惨めに死ねるだろうな。

自嘲交じりの軽い冗談のように、その思考は笑いを伴って脳裏を過ぎていった。
それを自覚して、いよいよ自分の頭はイッちゃってるなあ、と半ば苦笑し、半ば更に落ち込む。この調子で悪い考えに嵌って今日も眠れなかったら、きっと明日も使い物にならない。明日使い物にならなければ、明後日の説明会へ向けてエントリーシートを用意する事が出来ない。用意が出来なければ、また一つ就職先の可能性が潰える。……ああ、何という悪循環。
とりあえず寝る努力はしてみようと、――努力をする時点で敗色は濃厚だと相変わらず悪い方向へばかり考える頭を抱えつつ――家に帰った私は、かばんを部屋に投げ出してまず手洗いに立った。
手洗いから出ると、最近新調した携帯が着メロを鳴らしている。
相手は、先ほど別れたばかりの友人だ。
「……?」
何か忘れ物をするような機会が先ほどの間にあっただろうか? そう不思議に思いながら電話に出た私に、彼女は尋ねた。
「良く眠れる薬、いる?」
彼女は医者から、そういった抗鬱・抗不安の薬を処方してもらう機会のある人物だ。昨晩の不眠に音を上げた私は昼間、もしその手の薬を持っていたら少し譲って欲しいと頼んでいた。
「……いる、でも今から……?」
渡しに来てもらうわけにもいくまい。そう思う私を置いて、彼女は続けた。
「今家だよね?」
「うん、そうだけど」
「んじゃちょっと待ってて、渡しに行くから」
申し訳ないとは思ったが、その申し出が嬉しく、私は有難く彼女の到着を待つ事にした。しかし――。

ピンポーン!

間髪を置かずに家のドアベルが鳴った。
まさかさっきの今で、と驚く私に、ドアの向こうから声がかかる。

間違いなく、先ほどまで電話していた友人の声。

慌てて扉を開けると、友人がにこにこと笑って立っていた。
「この時間じゃベル鳴らしても立派な不審者だろうと思って、とりあえず電話をね」
そう言って、三錠分の薬を手渡してくれる。
「な、私さっき帰って……すぐトイレに入って出たばっかり……」
私だけ買い物をしていた時間があるとはいえ、どれだけの速さで薬をとり、取って返してウチまで来てくれたというのか。
あまり急な事に、寝不足で回転の鈍くなっている頭は追いついておらず、ろくに言葉も出てこない。ただぱくぱくとそう言って、あとはただ、気の利いたことも言えずに「ありがとう」と礼を述べるしか出来なかった。
「ありがとう、ありがとう」
何も言えないが、とりあえず礼は言わなければと、単純な言葉をひねりも何もなく繰り返す。

そうして別れ、扉を閉めて一人になったそのとき、不意に嗚咽がこみ上げてきた。

苦しくて、辛くて、重たくて、一日中暗い方向にばかり考えて唸っていたのに、その間、泣きたいという気持ちはなぜかあまり起きなかった。
それなのに、「友人に気遣ってもらった。こんな遅くにわざわざ届けてもらった」と自覚した瞬間、涙が止まらなくなった。
心配してもらえている。
気遣ってもらっている。
その嬉しさと有難さが涙になって、堰を切ってあふれ出した。

昔から、そういう性分のような気がする。
悔しい時や悲しい時よりも、その悔しさや哀しさを分かってもらった時、慰めてもらった時に一番涙が出て止まらなくなる。慰めてもらって更に泣くのも申し訳なくて毎度困るのだが、大概の場合そこで何かが切れて泣きやめなくなってしまう。

しばらく一人で泣いて、ぼろぼろと涙をこぼして鼻をすすったら、随分とすっきりした。
すっきりした頭で今日のことを反芻すると、色々と思い出し、気付くことがあった。
別にウチの研究室で内定先が決まっていないのは私一人ではないこと。
教職を目指す友人など、まだまだ今からが本番で、何度も何度も受験機会があるわけではない。いつも多忙な彼女も相当ストレスをためているはずなのに、今日無様にめり込んでいる私を、穏やかに慰めてくれていた。
最終選考を残す友人も、決して進路が決定しているわけではない。自分一人追い詰められているように落ち込んでいる私を見て面白いはずもなかっただろうが、普段と変わらずいてくれた。
担当教官の先生も、わざわざ私に向きそうな求人のコピーをいくつか集め、私の机に置いてくれていた。

そこまで気付いて、もう一度涙が溢れた。

何をこの世の終わりのように落ち込んでいたんだろう。
今日の私は、幸せ者だった。
幸せな事に、今日の終わりになってやっと気付いた。
これだけ幸せで、何を悲観する必要があるんだろう。
不眠になるほど落ち込む必要があるだろう。

ないじゃんか。

泣きながらそう思い、涙をこぼせばこぼす分だけ心が軽くなった。
それから同時に、この事を書いておこうと思った。
こういう風に幸せに気付く事は、普段の生活で頻繁には起こらない。
普段当たり前に近くにあるから、自覚する機会は逆に少ないんだろうと思う。
それにふと気付いた時は、大体私はボロボロ泣いているし、そうやってボロボロ泣いた経験は一生記憶に残るのかもしれない。
実際、中学の頃に泣きじゃくった記憶は今でもしっかり残っている。
詳細は忘れたのに、「友人が、自分との関係を大切に思ってくれている」と気付いた事、それが嬉しくて一人で泣きながら歩いた思い出だけは忘れた事はない。

でも。
書いて残しておくのも良いのではないかと思う。
しばらく経って自分で読み返して、もう一回その気持ちを鮮明に思い出して味わうもよし。
いつかなくなるものだとしても、今此処にたしかにあったという事を記録するだけでも価値があるとも思う。
そしてもう一つ、
私を知っている誰か、私を知らない誰か。
この文章をたまたま読んだ貴方に、何か伝わるものが、おすそ分けできるものがあればとても嬉しい。


他人の言葉を受け流すのが下手で。
建前を上手に使って世の中を泳ぎ渡るなんて芸当はとてもできそうになくて。
やろうと努力すれば酷く苦痛で。
すぐカッカして、すぐ凹んで。
そういうのを我慢して大人の笑顔を作るのなんて夢のまた夢な不器用人間をやってます。

たまに自分で「馬鹿正直で世渡り下手な類の人種だよな、多分私って」と思う。
就活なんかやってるとこの辺がモロに出て辛くてしょうがない時もある。

でもその分、
こうやって馬鹿みたいにボロボロ泣くことが出来るのは、結構幸せだと思う。
そして、
怒る時も凹む時もこらえ性が効かないのならせめて、喜ぶ時、感謝する時も素直でありたいと思っている。
間抜けなくらい単純に、「ありがとう」と繰り返すだけでもいいから、ちゃんと感謝を表現できる人間でありたい。そう思う。

そして、
短気で、度量が狭くて、自己顕示欲の強いアホなりに、誰か友人が落ち込んでいるときには精一杯、支えて励まして慰めてあげられるよう努力したい。





んな事を考えながら、グダグダとこの文章を打ちました。
当人は打ってる間も泣き泣きですが、読んでる人にどのくらい伝わったものかはまったく自信がありません^^;
いやはや、何かもうこのまま布団に入れば寝れそうですが、万全を期して睡眠をむさぼりたいと思います。
医師処方の薬を勝手に云々、というお説教は今回ばかりは勘弁してやっていただけると幸いです。次からは薬局で睡眠導入剤をゲットいたします~。

以前からぐだぐだ言っている異世界に女の子がふたり飛ばされる話(そしてオマケで飛ばされた方が主人公)って、要するにこういう事↑が書きたいらしいんですけどね……。題名思いつかないのですわ。


そんなところで、
おやすみなさいませ~。

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