2010年度 133冊目
記録のみ
『〈私〉時代のデモクラシー』
宇野重規 著
著者紹介
宇野重規(うの・しげき)氏は1967年生まれ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所准教授(政治思想史・政治哲学)。
著書に『デモクラシーを生きる―トクヴィルにおける政治の再発見』(創文社)、『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『トクヴィルとデモクラシーの現在』(共編、東京大学出版会)、『希望学[1]希望を語る―社会科学の新たな地平へ』(共編、東京大学出版会)ほか。
岩波書店
岩波新書 新赤版 1240
2009年12月18日
226ページ 本体 798円
昨日(8月9日)のこと。
風をひいたのだろうか。
頭が痛かったので、わかりやすい言葉で書かれていた『〈私〉時代のデモクラシー』を読む。
頭痛のわたしにも読むことができたのはうれしいことだ。
現在も社会に置いての平等化について触れられた部分の興味深い箇所があった。
社会・経済的階層に基づく不平等を認識しない、或は伝えない現実。
子どもの「努力平等主義」「結果平等主義」が問題だと指摘されている。
第一章の「世代間対立も顕在化」(35~39)は今まさに私が気二t目ている内容について触れられていて面白い。
「年功序列システムが崩壊した」→「貧乏くじ」→「レールをおりる」
よって「今の報酬を求める」といった声を実際に耳にすることもある。
中高年齢層には中高年齢層の、若者には若者のいい分が心にしみる。
著者は上に加えて私のような中間層にも対立があると記す。
第二章 新しい個人主義 は全体を通して面白かった。
「行動が変われば・・・運命が変わる」といった自己啓発本などが流行る中、自己コントロールだけを求め続けるという悪夢だけは、なんとシテもさけなければならないという著者の言葉に、重みと現在社会の問題点を感じ、背筋が寒くなる思いがする。
第三章 浮遊する〈私〉と政治 では、結構言って欲しいことをのべられる感じがした(笑み)
第四章〈私〉時代のデモクラシーで、『現代政治の思想と行動 増補版』丸山眞男を引用。
この「狭い個人主義」の個人は同時にリースマンという他者志向型の個人なのだ。だから現代においてひとは世間の出来事にひどく敏感であり、それに「気をとられ」ながら、同時にそれはどこまでも「よそごと」なのである・・・・・・逆に無関心という・・・・・・しばしば他者を意識した無関心のポーズであり、したがって表面の冷淡のかげには焦燥と内憤を秘めている。 (154から145)
目次
はじめに
第一章
平等意識の変容
1 グローバルな平等化の波
2 可視化した不平等
3 「いま・この瞬間」の平等
第二章
新しい個人主義
1 否定的な個人主義
2 「自分自身である」権利
3 自己コントロール社会の陥穽
第三章
浮遊する〈私〉と政治
1 不満の私事化
2 〈私〉のナショナリズム
3 政治の時代の政治の貧困
第四章
〈私〉時代のデモクラシー
1 社会的希望の回復
2 平等社会のモラル
3 〈私〉からデモクラシーへ
むすび
参考文献
あとがき
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